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1.「人外さんがロリ神様に呼び出された様です」

はじめまして、井戸の岩と言います。

新作です。そして注意。


・この作品の主人公はメタい発言をする事が有ります。

・主人公最強ものですが、一切自重しない最強ぶりを見せつける場合がございます。

・タイトルの通り、この作品は異世界をぶらり旅するものです。冒険者やギルドも有りますが関わりは少ないかも知れません。

・最後にこの作品は不定期更新です。すみません。


以上の注意点を読み、それでも良いという読者様はお読み下さい。


では、どうぞ

「よし、帰るか」



 最初から「いきなり何言ってんだコイツ」と思われがちな台詞だが、そこは突っ込まないで欲しい。


 さて、この物語が始まって最初の言葉がいきなりバイナラ宣言であった俺こと「■■■ ■■」は神様に呼び出され、天界にやって来ていた。


 しかし、早々にして問題発生だ。


 もうお分かりと思うが、俺の名前が先程の様に「■■■ ■■」と、モザイク表記になってしまい、表示する事が出来ないのだ。いやはや、これは由々しき問題だ。


 なんせこの物語が始まってまだ1000文字すらも超えていないのに俺の名前が表示されないと来た。この作品を書いている作者は主要キャラの扱いが酷い様だ。本当に酷いねぇ。わははは。


 まあ別に俺の名前が決まっていないとか、俺の名前について全然考えていないとか、俺の名前なんぞ別に必要ない、という訳では無い。たぶん。


 まあ、そういう訳だが……俺の事は『人外さん』と呼んでくれ。安直なネーミング程、覚え易いものは無いだろう?


 問題も解決した所だし、そろそろメタい茶番は終わらせるとして、現在俺の目の前には幼女の神様が土下座している。ふむ、幼女が土下座とはシュールな光景だ。


 だが、勘違いしないで欲しい。目の前に幼女の神様が土下座しているシーンは色々な小説に良く有るテンプレ要素だが、俺の場合そうでは無い。


 俺は神様に呼び出されただけ(・・・・・・・・)で、間違って殺されてはいない。何故、俺の目の前で土下座しているのかは一切不明という訳だ。


「よし、本当に帰るか」

「まっ待って下さいぃ! 帰らないで下さいぃぃ!」


 何と無く面倒臭い展開になると直感で感じた俺は踵を返し、バイナラしようとする。その様子を見て血相を変えた幼女もといロリ神ちゃんは、土下座の体制から神速の速さで俺の脚にしがみ付いた。というか、小柄な身体を全部使ってがっちりホールドした。コアラか。


「ほ、本当に帰らないで下さいっ! ゼウス様が師匠にお話が有るとの事なんですぅ!」


 目に涙を溜め、上目遣いで必死に俺に懇願するロリ神ちゃん。普通の常人なら一発でノックアウトの可憐さだ。


 だが、俺を甘く見ては困る。事実、俺はこの子より年上だ。まず第一に、森羅万象や神という存在自体が誕生する遥か過去から存在していた俺にとって、神という存在はまだ年端もいかない子供同然なのだ。


 つまり何が言いたいのかと言うと、俺の魂の年齢は神という存在よりも全てにおいて遥かに(年上)だと言う事だ。


 そう、スーパージジイだ。


 それこそ俺の容姿は20歳の青年だが実年齢は……幾らだったかな? 確か俺自身の魂を人間の姿へと象ったのが今から約143兆年も前の事だから、それよりも更に年を喰ってるなぁ……まあいいか。


「はっはっはっ、駄目だねロリ神ちゃん。俺がそんな甘っちょろい誘惑に惑わされるとでも? ガキンチョだなぁ」

「ええええええええ!? ゆ、誘惑だなんてこれっぽっちも……」


 スーパージジイである俺がロリ神ちゃんの誘惑なんぞに引っ掛かる訳も無く、この通りだ。ロリ神ちゃん自身はその気は無かったのかも知れんが、そんなものは知らん。


「よし、ならばさっきの一部始終をこっそりと撮影していたこのスマホを使って天界や地上界全体にこの映像や画像を垂れ流してやろう」

「ひゃああああああああ!! やめて下さいっ! ご勘弁を〜〜っ!」


 俺はそう言うと先程の上目遣いで俺に懇願しているロリ神ちゃんの画像を表示しているスマホを取り出す。


 このスマホは俺が創った特別製で、動画と写真を同時に撮る事が出来て、尚且つ撮った画像の画質は超高画質という優れものだ。簡単に例えれば視力5.0の人間が見た風景がそのまま映像として収まるといえば良いか。当然、ブレは残さない。


 その超高画質で俺に懇願している自分の画像を見たロリ神ちゃんは、血相を変えた最初とは違い、顔を朱に染めて許しを乞うと同時に俺のスマホを奪い取ろうする複合技に出た。まあ器用なものだね。


 さっきも言ったがこの子は非常に可憐だ。一種のロリコンなんかは見ただけでハアハア言ってしまう程の一級品だ。この映像だけで相当稼げるのではないか、と思う程に需要が有る。


 翡翠の様にさらさらとした金髪ロングのツインテールにくりくりとした(みどり)色の目、身長は120cm程で、体重も30kgを普通に切っている。※ロリコンを司る神からの情報


 え? さらりと女性の体重を公表しちゃ駄目だろって? 大丈夫だよ、スリーサイズを言ってないだけマシだから。第一、知らないしね。※ロリコンを司る神は当然知っています


「俺に許しを乞いながらスマホを奪い取ろうとするとは、中々悪どいね」

「悪どいのは師匠の方ですよぉ〜〜っ!」


 俺の持っているスマホに手を伸ばし、ピョンピョンと飛び跳ねるロリ神ちゃんだが、お互いの身長の差が有る事は明白。俺のスマホに擦りもしなかった。


 しばらくして、ロリ神ちゃんがペタンと座り込む。今にも泣き出しそうな表情をしている辺り、本当に参っている様だ。


「ふえええぇぇぇん。本当に勘弁して下さいよぉ〜」

「わははは、本当に参っているみたいだから垂れ流すのはやめておこう。俺は鬼畜で意地悪だが、外道じゃないしね」


 流石に映像や画像諸々を垂れ流すのはやめておこう。しかし、消去するとは一言も言っていないけどね。ロリ神ちゃんはその事に気が付いていない様だ。精々、他の神への交渉材料にしてやろう。


「全く、何をしておるんじゃ……」


 そう黒い笑みを浮かべていると、老人の声が聞こえてくる。その声の方向へ顔を向けるとそこには屈強な図体をしている老人が居た。


 この老人は現在、ロリ神ちゃんの上司になっているゼウスである。オリンポス十二神の一で神族の長であり、ギリシャ神話の最高神だ。


 流石は最高神だけあって、現在使用している378個の制限技能力(リミッタースキル)を全て解除した俺と()り合っても15分程度は俺に善戦出来る程の実力者だ。


 とは言っても、本命の制限(リミッター)である『Χの鍵(キーロック)』の内、一つでも解除してしまえば瞬殺だが。まあこの事は物語を進める中で追い追い説明して行くとしよう。記念すべき第一話目でいきなりネタバレするのは早いってものだ。


「ようゼウスちゃん。ロリ神ちゃんを弄りまくっていたぜ」

「弄るも何も此方から見れば、お主の鬼畜さと意地悪っぷりに脱帽するばかりじゃよ」


 俺の鬼畜と意地悪っぷりは既に周知の事。ゼウスの様に脱帽してしまう神ばかり居る様だ。神々の心の中を代弁すれば、



「「「「「絶対に絡まれたくねぇ!!!」」」」」



 とか、



「「「「「絡まれたか。今、お前の頭上には死兆星が見えているぞ……」」」」」



 などなど、そんな声が聞こえてくる。前に検証してみた事が有るけど本当に聞こえた。皆が合掌していた時なんかは心中爆笑しっぱなしだった。


「ふえええぇぇぇぇん。ゼウス様ぁ〜」


 ゼウスの姿を見たロリ神ちゃんはぽてぽてと走りながらゼウスに駆け寄り、その脚に抱き付いた。そのロリ神ちゃんの頭を撫でるゼウス。端から見れば爺と孫の様にも見える。和む。


「しかし、ロリ神ちゃんもすっかり丸くなったね。俺が上司の時は超生意気なクソガキだったのになぁ」

「それは此奴が神に昇華した当初の頃だったからじゃろう。昇華した当初の神は自分の力に自惚れる奴らが多い。まあお主を上司にした事は有る意味正解じゃっただろうな」

「ああ、そう言えばそうだったね。俺が上司になってしばらくした後にこの子をフルボッコにしたんだっけ」

「お陰で此奴はそれがトラウマとなって、今ではこの有様じゃよ。儂からすれば相手は子供同然なのに容赦無くぶん殴っている姿に度肝を抜かれたわい」

「わははは、男女平等パンチって奴だよ」

「もうその域を超えていると思うのじゃが……」


 さあ何の事かねぇ?


 俺は手加減はするが、自重は一切しない。美少女とて容赦無く殴り飛ばす。あわよくば虫の息にする。下手すれば殺す。こんなものだ。


 こんな要領で昔、ロリ神ちゃんにも(・・)容赦無くフルボッコにした。ゼウスの言う通り、俺に対してある種のトラウマを抱えたロリ神ちゃんは当初の生意気癖がすっかり消え、とても良い子に育った訳だ。神としての仕事もちゃんとする様になって一石二鳥って奴だよ。めでたしめでたし。


 そう言えば、あの日以来俺の事を師匠と呼び始めたのは一切不明だが、特に気にしていない。これについての話は閑話休題の時にでも語るとしよう。


「で、それは置いといて。本題に移ろうか」

「良いじゃろう。お主のペースに巻き込まれたらキリが無いからのぅ」


 俺はそろそろ本題を切り出す事にした。主に俺の所為だが、それは仕方が無い。


 ゼウスはふぅ、と溜息を吐いた後、自分の脚に抱き付いていたロリ神ちゃんを抱き抱える。どうやら、この子についてだそうだ。


「此奴の事じゃ。お主に改心させた後、此奴は真面目に神としての仕事をこなす様になった。だが、少々問題が有ってのう……」

「……まあ大体予想が付くよ。在り来たり(・・・・・)のアレだろう?」

「お主も予想が付くのは仕方の無い事じゃ。此奴は今で言うーーー









 ーーードジッ娘属性の神じゃからのう……」









 ……ゼウスのその一言が大きく響き渡り、周りを包み込む。ロリ神ちゃんの上司として相当苦労していた様だ。うん、いつか一緒にお神酒(みき)でも飲もう。そうしよう。


 俺は取り敢えずゼウスに合掌し、その後にロリ神ちゃんを見る。ロリ神ちゃんはビクッとしているが、知らん知らん。問答無用で問い詰めて行こう。


「……で、今迄ミス(・・)して来た回数は?」

「……137回です」

「死因は?」

「……全て神鳴り()による半径500メートルの範囲内に居た人間の感電死です」

「死者は?」

「……1672人です」

「原因は?」

「……私が寝ぼけて『神鳴の鉄槌(トールハンマー)』を床に落とした事です……」

「よーし! 歯を食いしばれッ!!」

「ひゃああああああああっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい〜〜〜〜〜ッッ!!」


 駄目だわこの子。もうドジとか言う範疇じゃ無い。この子にはキツ〜いお仕置きが必要の様だ。それこそ一撃で天界が滅ぶ程度の威力で。


「大丈夫だってロリ神ちゃん。ワンパンするだけだから」

「全然大丈夫じゃ無いですよぉぉっ!」

「なら俺の全力のワンパンか『神殺(ロンギヌス)の槍』で貫かれるのどっちが良い?」

「ど、どっちもりゃめでしゅうぅぅううううぅぅぅっ!」


 俺は鬼畜で意地悪なのでロリ神ちゃんにとって究極の選択である『俺のワンパン★』と『槍でグサリ♡』を突き付ける。ロリ神ちゃんは完全に怯えてしまい、ゼウスの抱えている腕から脱出し、背後に隠れてしまった。


 その様子をその場で見ていたゼウスは先ほどよりも深い溜息を吐いた。これ程ミスを侵してもロリ神ちゃんに鉄槌を下さなかったゼウスの心の広さと相当抱えていた心労を改めて思い知らされた俺はもう一回合掌するのだった。


「……ゼウスちゃん、どうするんだ? 此処までミスするとこの子に対する処遇も鬼畜レベルだと思うんだけど。本当に『神殺の槍』での公開処刑ものだぜ?」

「実際にそのレベルになるのじゃが、その事についてじゃよ。お主を天界に呼び寄せたのは。ついでに謝罪として此奴をお主に土下座させたのじゃが……」


 ああ、だからか。天界に来た時にロリ神ちゃんが俺に土下座していたのはそれが原因か。というか本当に鬼畜レベルになってるのか……


 まあそれは置いといて、俺にテンプレ要素を求めるのは愚の骨頂。その後の展開が地味な結果になるのが目に見えるからね。例えばワンパンでラスボス撃破とかシリアスブレイクとかフラグを全力で折るとか。


 他にはギャグ補正とか、ご都合主義、主人公補正等もあまり効果がない。要するに「俺に対して嫉妬による黒いオーラで迫る恋人」とか、「無駄に主人公らしい言動や行動等」のシーンは有り得ないという事だ。さっきの例の様に全部台無しにしてしまうから。


「お主を此処に呼び寄せたのは他でも無い、此奴を一度異世界へと修行させようとその同伴として着いて行って欲しいのじゃ」

「おk、任された」

「引き受けるの早くないかお主!?」


 別に理由を聞いたりなんかしない。一応、俺はこの子の上司だったからね。部下の失態は上司の失態でも有るし。ゼウスちゃんには此処らで休んで貰おう。所謂休暇だ。


「あ、でもこの子一応神だからラスボスぐらいはこの子と張り合える実力を持つ奴じゃないと修行にならないと思うんだよね」

「え!?」

「安心せい。それなりのステージは用意しておる。レミカよ、その者の下で修行して来るが良い。その時にはお前の処遇についても軽くしてやろう」

「は、はいぃっ!! 頑張って見せます!」


 いつの間にかゼウスの背から離れ、シャキンと背を伸ばしてゼウスから課された修行を謹んで受ける。現在の上司はゼウスなのだから反対は無い。


 それに、胸を張ってああ言っているが、これからの修行先の世界でこの子の持つドジッ娘属性が生死を分けるだろう。……たぶん。


「では行って来い」


 ゼウスはそう言うと手を上げる。すると、ロリ神ちゃんーーーレミカちゃんの足元の床がパカッと開いた。


「え? ……ひゃああああああああ!?」


 レミカちゃんがそう呟いたのも一瞬、その後はパカッと開いた穴にヒュウッと落ちて行った。


「……落ちて行ったね。オチだけに」

「まあ気にするで無い。それよりも頼んだぞ。お主の方が彼奴の扱いに慣れておるじゃろうからな」

「あいよー。まあ任せときんしゃい」


 俺はそう言うとパカッと開いている穴に近づき、ヒュウッと飛び降りて行った。




 ……オチでは無かった。


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