第四話 初めての夜
四月の初め、日が冬に比べ長くなったといえもう辺りは日が暮れ暗くなってきた。千鶴になった俺は千鶴の家に行くいや帰るハメになった。小川という表札の門をくぐり、玄関を開けるとガラガラガラッ
「おじゃまいやただいま」
千鶴の母親が立っていた。
「千鶴! 遅かったじゃないの? 今までどこ行っての? 夕御飯の支度出来てますから食堂に来なさい!」
「はあい!」
「千鶴! 何ですかその格好は! ジーパンのチャック開け放しで、もう女の子でしょ!」
ジーンズを見てみるとチャックが開いてて花柄パンツが開いてるチャックから覗かしている。俺は恥ずかしくなりチャックを閉めた。「手を洗ってきなさいよ」
「はあい!」
俺はダイニングに入ると夕食の支度がしてあった。
「ねえ、ママ! 俺のいやあたしの席どこ?」
「いや! 忘れたの? あなたの席はお姉ちゃんの隣でしょ! しっかりしてちょうだい」
俺は席に着くと
「ただいま」
「千佳! おかえり」
千佳お姉ちゃんが帰ってきた。千鶴の姉、小川千佳(緑ヶ丘中学校の二年生)が帰宅しダイニングに入ってくるなり俺はお辞儀をしたら。
「何よ、千鶴ったらお辞儀なんかしゃって!」
セーラー服姿の姉が俺の席の後を通ると汗臭い女の臭いが鼻をついた。
「千鶴ったら、今日変なのよ! 帰るなり男言葉を使うし、自分の席は忘れたり」
「千鶴は新しく六年生になったから大人ぶりたいのよ」
「そうかしら!?」
ガツガツ ガツガツ ズウーッ クチャクチャ クチャクチャ ガツガツ…
「千鶴! もうちょっと女の子らしく食べられないのお行儀が悪い!」
「お袋! おかわり!」
「千鶴! あなたこれで五杯目よ」
千鶴の小さな茶碗で一夫にとって足りないくらいだ。
プルプル プルプル
「千鶴! 電話とってちょうだい」
「もしもし」
「もしもし、あたし千鶴よ」
「なんだ!」
「あんたのところ、うまくいってる?」
「ああ、いってるよ! そっちは?」
「うまくいってるわ」
「お前なあ、その気持ち悪いオカマ言葉やめてくれ男という事忘れないでくれ」
「わかったわ! 思い出したけど、あたしの体変なの、あれって形かわるのね」
「あれって…」
「おしっこの出るところよ、おしっこしたあと紙で拭いたら形がかわって…」
「バカッ! 紙なんかで拭くなよ! あんなもん振り回してしまえばいいんだ!」
「わかったわ、あなたのほうは紙使ってよ」
「わかったてば」
ガチャン
一夫の団地では
「一夫! ご飯よ」
「はあい」
団地の狭い居間で父母と一夫が正座してテーブルを囲んでいる。父がビールを飲みながら
「一夫! やけに行儀がいいなあ、何かあったんか?」
千鶴はうつむき下限に
「うん」
「今日! 同じクラスで一緒になった小川千鶴という女の子のせいですよ。一夫の魂を吸い取られたじゃ?」
「ハハァ! 小川千鶴か。その子に会ってみたいのう」
「バカな事を言うんじゃありません。あなたも魂吸い取られますよ」
「ごちそうさま」
「一夫、もう食べないの?」
一夫のどんぶり茶碗を半分残して
「具合悪いの…」
「あたし、もう寝るわ」
「パジャマに着替えなさいね」
「おやすみなさい」
千鶴の家では、夕食が終わり
「千鶴! ちょっと来なさい!」
「なあに?」
「おばあちゃんにご挨拶しなさい」
仏壇のある居間に連れて行かれ
「おばあちゃんに手を合わせなさい」
チーン!
「おおれ、自分の部屋で寝るの?」
「何、言っての? 当たり前でしょ!」
居間を出て、玄関を通ると千鶴の父が帰宅した。お辞儀をすると父は不思議そうな仕草をしていた。
千鶴の部屋に入ると
「うわっ! くせえ! 女臭い部屋」
一夫は部屋のドアを開けると思春期の女の子の臭いが鼻をついた。部屋の中は可愛らしいベッドと白の整理タンス、鏡台に勉強机に椅子は千鶴の赤のランドセルが掛けてあった。俺はそのままベッドに大の字になると
「何ですか! だらしが無い。パジャマに着替えなさい! 体操服にゼッケンつけておきましたからね」
バタン!
丸首袖口のエンジ色の白の半袖体操シャツに「6年2組 小川」のゼッケンが付けていた。ベッドの上にたたんであるピンクの花柄パジャマに着替えようとジーンズとトレーナーを脱ぎ、ブラジャーとパンツ一丁になった。ブラジャーを無理矢理外し小さなおっぱいを露にしパジャマのズボンを穿き上着を着ようとするとボタンが左右逆で戸惑ってしまった。布団にもぐりこんだ。なかなか寝付けず夜中トイレに起きた。トイレを探していると姉が起きていて「トイレどこ?」
「トイレ? あなた忘れたのを? 明かりがついてところよ」
トイレに飛び込んだ
「千鶴! ドア閉めて!」
バタン!
俺はパジャマのズボンと下着をおろし、便器に跨いでしゃがんだ
チィーッ ジョボジョボ
小便したあとワレメちゃんを紙で拭いて思った。
「男っていいよな、小便したあと振り回してしまえばいいもん」
用を足したあとベッドにもぐった。
(これが夢であれば…)