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幼なじみ  作者: 柴犬
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第十三話 明美さんの家

日曜日の朝

千鶴の部屋では、一夫が整理タンスから丸襟長袖の白いよそ行きのブラウスと紺色のプリーツの吊りスカートに着替えていた。

ガチャン

千佳お姉ちゃんが俺の部屋に入るなり

「千鶴! よそ行きの洋服着て、男の子とデート?」

「ううん、同じクラスの女の子の家にお呼ばれしているの」

俺は女の子言葉に慣れてきたせいか抵抗なくすらすら喋れるようになったが、興奮すると男言葉が出る事もあるのだ。

「行ってきます!」

千鶴の家を出て、歩いて20分ほどで明美の家に着いた。明美の家は門構えが大きくて庭が広く芝の手入れが行き届いている。いかにもお金持ち家である。

玄関のインターホンを押すと

ピンポン ピンポン

「はい! どなた?」

「私、緑ヶ丘小学校の6年2組の小川千鶴といいます」

「小川さんね、どうぞ御上がり下さい」

ガラガラ!

玄関の引き戸を開けると土間は広くて鎧兜が飾っている。奥から川上明美が和服姿で出てきた。学校の時のラフな服装とはえらい違いだ。

「どうぞ、御上がりになって!」

黒のハイヒールを脱いで、玄関を上がり、広い廊下を歩き、畳10帖ほどの居間に案内された。

襖を開けると広い畳の居間に大きな長方形のテーブルが真ん中に据えてあった。「どうぞ、お座りになって」

「はああい」

俺は座布団の上に正座して座った。

「お茶、持ってくるから」

お盆の上に吸臼と湯呑を載せて明美が持ってきた。

お茶の葉を吸臼に入れお湯を注ぎ、吸臼から湯呑にお茶を入れた。

「どうぞ、お召し上がれ」

湯呑を一夫の座ってる前に出した。

ズゥゥーツ

(うまいっ! 今まで飲んだことねえお茶だ! 俺ん家や千鶴ん家のお茶とはえれい違いだ)

「斉藤一夫君でしょ?」

「いいえ、あたしは小川千鶴です」

「斉藤君、無理しなくていいのわ。でもあなた達二人見ていると楽しくって」

「どうして? あたしいや俺は千鶴と何かの拍子で入れ替わってしまった。千鶴も同じだ。慣れない女の子の生活で辛いんだ。千鶴はもっと俺より辛いかも…」

「あたしもわかる、だってあたしの家、父が社長だから常にお行儀よくしないとだから、学校にいる時ぐらいは男の子みたいな服装するの」

「あなた、元の斉藤一夫に戻りたいでしょ」

「いや、あたしはもう小川千鶴だわ! もう女の子の事に慣れたから」

「本当の事、言って! 男の子に戻りたいのでしょ!」

明美は立ち上がり、一夫の後ろから胸に手を廻し二つのおっぱいを掴んだ。

「痛てててぇつ! 何するんだよ」

「やっぱり、男の子だ」

ガラッツ

「明美お姉ちゃん、これ直して」

明美の弟が壊れたミニ四駆を持ってきた。

「アキヒロ! 今、お姉ちゃん達は大事なお話しているの後にしなさい!」

「嫌だ 嫌だ!」

「もう、わがまま言わないの」

「これ、俺が直してやる」

外れたタイヤをはめてプラスチックの歯車を噛ませてスイッチを入れると

ウィィィン〜 キュルルル

タイヤが回った。

「わーい! わーい! やった直った! お姉ちゃんありがと!」

喜びながら居間を出た。

「斉藤君って、やっぱ男の子ね」

一夫は男の子に戻りたいという気がした。

ジーン ジーン

ドタッ! グキッ!

「痛あっ! 痛てててぇ!」

一夫は慣れない正座で足が痺れ、立ち上がろうとしたら倒れ足首を捻挫した。

「小川さん、大丈夫!」

「大丈夫!」

「足首が赤くなってる、捻挫だわ」

「手当てするから、あたしの部屋に行きましょ」

びっこひきながら明美の部屋へ

湿布して包帯巻いて

「しばらく、あたしの部屋で休んでいって、蒲団敷こうか?」

明美の部屋は和室なので、押し入れから蒲団を出して敷いた。

「しばらく間は安静にしとくいいわ」


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