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幼なじみ  作者: 柴犬
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第一話 始業式

おす、俺は斉藤一夫だ。

実はこの物語の主人公だが、俺が「あたし」となってしまうのだ。変な感じだろうがまあ聞いてくれ。

4月5日の始業式

春休みも終わり、緑ヶ丘小学校は新年度の一学期がスタートした。校庭の桜も満開で花びらがひらひらと散り始めた。そんな中、斉藤一夫は新しく小学六年生に進級し、一学期の始業式終了後に新しい六年のクラス替えが発表になった。一夫は二組になり慣れ親しん五年生の教室をあとにし、ランドセルを持って今までのクラス数人で新しい二組の教室に入った。「斉藤一夫」の名札の貼った席に着くと

「一夫君! 斉藤一夫君!」

後ろから女の子が俺に声を掛けてくる。後ろを振り向くと

「やっぱ、斉藤一夫君だ! あたし覚えてる? ひまわり幼稚園の時、一緒に遊んだ千鶴よ 小川千鶴!」

(小川千鶴? 幼稚園にそんな子と遊んだっけ?)

長い髪に目がクリクリしてピンクのキャラクタートレーナーにジーンズ姿の背の高い女の子が俺の後ろに立っていた。

「知らないよ!」

「知らないの? あたし、一夫君事知ってるわ。デベソでおしりにホクロが二つあるの、パンツ脱いで見せてよ!」

「バカ! そこで脱ぐバカいるか?」

俺がムキになると千鶴もムキになりとんでもない事を言い出した。

「じゃあ! 覚えてる? 一夫君が幼稚園の時、あたしん家に遊びに来た時、おもらししてあたしのパンツ穿き替えたらおちんちんが出せずにおちんちんが無くなったと泣いての覚えてる?」

千鶴が大声で喋るものだから教室中に聞こえ、爆笑の渦になった。

ゲラゲラ ゲラゲラ

俺は顔が真っ赤になり恥ずかしくなった。

「ほら、顔が赤くなっる」

ゲラゲラ ゲラゲラ

(穴があったら入りたいよ)

「デベソでオネショの斉藤一夫君!」

クラスの悪ガキどもが囃し立てた。

ガラッ

「静かしなさい! そこ席ついて!」

短い髪にジャージ姿のボーイシュな女教師、大場恵子(30歳独身)先生が教室に入り、このクラスの新しい担任の先生だ。

下校時間、俺は黒のランドセルを背負って教室を出ようとしたら、小川千鶴が

「ねえ、一緒に帰ろうよ」

花柄の手提げバックを持って。

「お前と何で一緒に帰るんだよ」

「いいじゃん、あたし達幼なじみだもん」

「何が幼なじみなんだよ、お前のおかげで今日恥かいちまったんただそ、だいだい小学六年生が男女一緒に仲良く帰ったら変に思われるじゃんか」

「あっ! 帰りにあたしん家に遊び来ない? あたしん家幼稚園の頃から変わらないわ」

下駄箱で靴を履き替え

「じゃあな バイバイ!!」

俺はその場から走って帰った。

「あーん! 待ってよ!」

千鶴も俺を追うように走って来た。

ハアァ ハアァ ハアァ

俺は千鶴を振り切ろうと必死に走った。

いつしか、小高い丘の神社に来てしまったのだ。神社の境内で一息した。

ふと見ると神社の石段の所に長い髪にピンクのトレーナーを着たジーンズ姿の女の子が立っているではないか。まさしく小川千鶴だ。(俺に散々恥かかせやがって、よし)

千鶴の背中にそっと近づき大声で

「わあっ!!」

「きゃーあ!!」

千鶴はびっくりして石段から踏み外しそうとなった。俺は思わず

「あっ! 危ない!」

千鶴を抱き止めたはずみで二人とも一緒に石段を転げ落ち気を失ってしまったのだ。

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