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『「安物には裏がある」と婚約破棄された公爵令嬢、その審美眼で辺境の街を最高級ブランドへと変える』  作者: ゆっきー
第2章:波紋を呼ぶ「ヴァランティーヌ」

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7/40

第一話:辺境からの静かなる進撃

いつも本作をお読みいただき、ありがとうございます。


第1章では、王都を追放されたスカーレットが、辺境の街バレー・ド・ラヴァで伝説の職人バーナビーと出会い、真実の価値を持つブランド『ヴァランティーヌ』を立ち上げるまでを描きました。


いよいよ始まる第2章では、その「本物の輝き」が、静かに、しかし確実に王都の権力者たちの足元を揺らし始めます。「安物」を良しとしてきた第一王子カイルや、利権を貪るギルド。彼らがスカーレットの再起を知ったとき、どのような反応を示すのか。


辺境から王国全体へと波及していく、スカーレットの華麗なる逆襲劇。その幕開けをどうぞお楽しみください。

 辺境の街、バレー・ド・ラヴァの朝は早い。かつては「吹き溜まり」と揶揄されたこの街の空気は今、これまでにない熱気に包まれていた。


 スカーレット・ヴァランティーヌは、工房の窓から見える景色を眺めていた。通りを歩く人々の中には、この街の住民だけでなく、遠方からやってきたと思われる商人や貴族の従者の姿も混じっている。彼らの目的はただ一つ。スカーレットが設立したブランド、**『ヴァランティーヌ』**の製品を手にすることだ。


「お嬢様、本日の検品分です。極純銀糸の光沢、これ以上ない仕上がりになりましたぞ」


 背後から声をかけたのは、かつて「ゴミ漁りの老人」と蔑まれていた伝説の職人、バーナビーだ。彼の瞳にはかつての輝きが戻り、その手には、まるで月の光を織り込んだかのような、眩いばかりの銀色の布が握られていた。


 スカーレットはその布を手に取り、指先で微かな魔力の流れを感じ取る。


「ええ、素晴らしいわ、バーナビー。この『白銀のストール』には、王都の安価な魔道具のように、持ち主の魔力を枯渇させるような不純な回路は一切ない。これこそが、道具が持つべき真の姿よ」


 彼女の**「審美眼」**は、物の価値を単なる値段で判断しない。それがどれほど緻密に、どれほど誠実に作られたか。その本質を貫く視線は、かつて自分を「強欲」と呼んで追放した第一王子カイルに向けた冷ややかな視線と同じくらい、鋭く、そして正確だった。


 そこへ、足早に領主代行のレナードが姿を現した。彼の表情には、喜びと、それ以上に重い懸念が混ざっている。


「スカーレット殿。あなたの作ったストールが、ついに王都の夜会で『発見』されたようだ。……悪い知らせもある。王都の魔道具ギルドが、あなたの製品を『未認可の危険物』として調査するよう、国に圧力をかけ始めた」


 スカーレットは唇に端麗な笑みを浮かべた。


「想定内ですわ、レナード様。安物で市場を支配していた者たちにとって、本物の登場は恐怖でしかない。……ですが、本物を知ってしまった人々は、もう二度と、紛い物には戻れませんもの」


 彼女の視線の先には、かつて自分を貶めた王都の空がある。 ブランド『ヴァランティーヌ』の進撃は、まだ始まったばかりだった。

第2章の第一話をお読みいただき、ありがとうございました。


ようやく軌道に乗り始めたブランド『ヴァランティーヌ』ですが、その成功は同時に、既存の秩序を守ろうとする者たちとの摩擦を生むことになります。レナードがもたらした「王都の動き」は、スカーレットにとって次なる戦いの号砲でもあります。


かつて自分を「強欲」と断じた者たちに、彼女は言葉ではなく「至高の作品」で答えを突きつけていきます。


次話では、スカーレットの快進撃を快く思わない王都側の動向、そして新たな妨害工作にスカーレットがどう立ち向かうのかを描く予定です。引き続き、彼女の審美眼が切り拓く未来を見守っていただければ幸いです。

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