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『「安物には裏がある」と婚約破棄された公爵令嬢、その審美眼で辺境の街を最高級ブランドへと変える』  作者: ゆっきー
第4章:至高の真価、不変の美

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40/40

最終話:瞳に映る、たった一つの宝物

ついに、本作も最終回を迎えました!

「安物好き」と追放されたあの日から、スカーレットは自身の「審美眼」を信じ、多くの仲間と出会い、世界を変えてきました。

最後に彼女がその瞳で見つける「最高の宝物」とは何か。

最後までお付き合いいただければ幸いです。

 喧騒の去ったルミナリエの夜。

 迎賓館のバルコニーからは、宝石を散りばめたような街の灯りが一望できた。

 かつては「辺境の荒れ地」と呼ばれた場所は、今や世界中が憧れる「美の聖地」へと姿を変えている。


 スカーレットは、まだ身に纏ったままの「真理のドレス」の裾を夜風に揺らしながら、独り夜空を見上げていた。


「……終わりましたわね、レオン」


 影から静かに現れたレオンが、彼女の隣に立つ。

 その銀髪は月光を吸い込み、この世のものとは思えない神秘的な輝きを放っていた。


「ええ。貴女の審美眼は、世界のことわりを塗り替えました。もはや、貴女を『安物好き』と嘲笑う者はこの世に一人も存在しません。偽物は淘汰され、本物だけが輝く時代が来たのです」


 レオンの言葉は穏やかだったが、どこか遠い場所を見つめているような寂しさが混じっていた。

 彼は一歩下がり、スカーレットに向かって深く一礼した。


「番人としての私の役目も、これで終わりです。神の欠片であるその瞳を正しく導くことが、私の存在理由でした。女王となった今の貴女には、もう私という守護者は必要ないでしょう」


 スカーレットはゆっくりとレオンを振り返った。

 その黄金の瞳は、夜の闇の中でも、レオンという存在の本質を鋭く、そして優しく捉えている。


「あら、レオン。貴方は自分の価値を、まだそんな風に低く見積もっているの?」


 スカーレットは優雅な足取りで彼に近づき、その端正な顔を覗き込んだ。


「私は審美眼の持ち主ですわ。この世のあらゆる名品、秘宝、そして魔導具を見てきました。ですが、それら全てを合わせても、貴方の隣にいる時間に付く『値札』は見当たりませんでしたわよ」


 レオンの瞳が、驚きに揺れる。


「スカーレット、それは……」


「私は『女王』になりたかったわけではありません。ただ、自分が信じる『本物』に囲まれて生きたかっただけ。……そして私にとって、世界で一番の掘り出し物は、あの絶望の日に私の手を取ってくれた、無愛想で神秘的なアドバイザーですわ」


 スカーレットは、レオンの胸元にそっと手を置いた。


「レオン。命令ではなく、私のお願いとして聞いてくださる? 番人としてではなく、一人の男として……これからも私の隣で、この世界の『価値』を一緒に見極めていってほしいのです。代金は、私の生涯をかけてお支払いしますわ」


 沈黙が流れる。

 夜風が二人の間を通り抜けていく中、レオンは堪えきれないように、小さく、だが幸せそうに笑った。


「……ふっ、最高級の審美眼にそう言われては、断る理由がありませんね。私の主。いいえ……私の、スカーレット」


 レオンが彼女の手を取り、その甲に誓いの接吻を落とした。

 その瞬間、二人の周りに銀と金の光が混ざり合い、ルミナリエの夜空へと高く昇っていった。


 それは、どんな高価な宝石よりも美しく、どんな権力よりも強い、真実の愛の輝きだった。


 翌朝、ブランド「ヴァランティーヌ」の工房には、いつものようにハンスの威勢のいい声が響き渡った。

 その傍らで、指示を出すスカーレットと、彼女を支えるレオン。

 彼らの物語は、これからも続いていく。

「本物」を愛し、守り抜く、至高の審美眼と共に。


完結です!

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

スカーレットが最後に選んだのは、地位や名声ではなく、自分を信じてくれたレオンという「宝物」でした。

皆様の心にも、何か一つでも「本物の価値」が残る物語になっていれば嬉しいです。


ブックマーク、評価、感想など、最後まで頂けると作品の完結をより一層実感できます!

また別の物語でお会いできることを楽しみにしています。

ありがとうございました!

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