第17話:大公妃の真意と、地下の秘密
前回の脱出劇への反応、ありがとうございます! 大公妃の馬車に飛び込んだスカーレットたち。 なぜ彼女は、甥である第一王子を裏切るような真似をしたのか? 王都の地下に隠された、真実の社交界へとご案内します。
馬車は追っ手を振り切り、王都の裏道を複雑に折れ曲がっていく。 車内には、カトリーヌ大公妃の焚きしめる香水の香りが漂っていた。
「 ……お礼は言いませんわ。貴女が私たちを助ける理由が、私の審美眼にはまだ見えていませんもの」
私がそう告げると、大公妃はふっと自嘲気味に笑った。
「 相変わらず可愛げのない目ね、スカーレット。……でも、その目が好きなのよ。ユリウス……あの男は、美しさを『支配』しようとしている。でも私は、美しさを『守りたい』だけ」
大公妃は窓の外を見つめ、声を落とした。
「 あの白磁の像……あれは私の亡くなった友人の子供だった。ユリウスは禁忌の術を使って、あの子を『最高の芸術』として固定したのよ。……貴女たちが壊してくれたおかげで、あの子はようやく眠りにつける」
彼女の瞳に宿っていたのは、偽りのない深い悲しみだった。 私の審美眼が、その言葉の「誠実さ」を証明する。
「 ……失礼いたしました。大公妃様の心まで、鑑定しきれていなかったようですわ」
「 いいのよ。……さあ、着いたわ。ここなら、あの子たちの手も届かない」
馬車が止まったのは、場末の廃屋のように見える建物の前だった。 だが、地下へ続く隠し階段を下りると、そこには豪華絢爛なサロンが広がっていた。
そこには、かつて王都から追放されたり、第一王子に異を唱えて没落した「本物の審美眼」を持つ貴族たちが集まっていた。
「 ここは『裏の社交界』。ユリウスの作る偽物の王国に抗う者たちの居場所よ。……スカーレット、貴女にルミナリエ(辺境の街)を任せたのは、いつかこの日が来るのを予見していたからなの」
大公妃が私の手を取り、真剣な眼差しで語りかける。
「 今こそ、貴女の審美眼で、この腐った王都の価値を再定義してほしい。……ヴァランティーヌの名を、王位よりも高貴なブランドとして刻むのよ」
最後までお読みいただきありがとうございます! カトリーヌ大公妃、まさかの革命軍(?)のリーダー的存在でした。 スカーレットが辺境へ送られたのも、実は彼女の遠大な計画の一部だった……? 次回、第18話。ついに第3章の最終決戦へ! 「王都を丸ごと鑑定する」。スカーレットの逆襲が始まります。




