表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『「安物には裏がある」と婚約破棄された公爵令嬢、その審美眼で辺境の街を最高級ブランドへと変える』  作者: ゆっきー
第3章:境界を越える審美眼と失われた遺産

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/40

第13話:王子の誘いと、深淵の鑑定

いつもお読みいただきありがとうございます! 大公妃に認められ、一躍王都の寵児となったスカーレット。 しかし、光が強まれば影も濃くなるもの。 王宮の闇を象徴するような第一王子ユリウスが、彼女に狙いを定めます。 スカーレットの審美眼は、王室の闇をどう射抜くのか……。

 カトリーヌ大公妃による称賛の余韻が冷めやらぬ会場で、その男は悠然と歩み寄ってきた。 第一王子、ユリウス・フォン・アステリア。 白銀の軍服に身を包んだ彼の姿は、一見すれば絵画のように完璧な王子の鑑だ。


 だが、彼が近づくにつれ、私の「審美眼」が激しい警鐘を鳴らし始めた。


(……なんて、どす黒いのかしら)


 彼の纏う空気は、一滴の墨を落とした水のように、周囲の光をじわりと侵食している。 それは、エドワードのような小物とは比較にならない、巨大で洗練された「悪意」の匂いだった。


 ユリウス王子は私の前で足を止め、冷ややかな、だが完璧な笑みを浮かべた。


「 素晴らしい輝きだった、ヴァランティーヌ令嬢。カトリーヌ叔母様をあそこまで唸らせる品を、まさか辺境で作り上げるとはね」


「 身に余る光栄でございます、ユリウス殿下。……ただ、私の審美眼によれば、殿下が本当に興味をお持ちなのは、このボレロそのものではないようですけれど?」


 私の直球の問いに、周囲の貴族たちが息を呑む。 王子を相手にここまで不遜な態度を取るなど、本来なら許されないことだ。


 だが、ユリウスは怒るどころか、楽しげに目を細めた。


「 ……ふ。噂以上の鋭さだ。君の目は、人の心の『裏』まで見通すと聞いたが、どうやら本当らしい。……ならば、私の依頼も受けてくれるかな?」


「 依頼、でございますか?」


「 ああ。近々、私の私邸で、ある『秘蔵品』の鑑定会を行う。君にしか見抜けない真実を教えてほしいのだ。……もちろん、報酬は君の想像を絶するものを用意しよう」


 彼の言葉の裏。そこにあるのは、純粋な鑑定への願いではない。 私の能力を、自らの権力を強めるための「道具」として取り込もうとする、強欲な魂の影。


 私が答えを迷うより早く、背後から冷たい手が私の肩に置かれた。


「 あいにくだが、お嬢様のスケジュールは、私の『鑑定』をパスしなければ埋まらないことになっていてね」


 いつの間にか現れたレオンが、王子の視線を真っ向から受け止めていた。 普段の気怠げな雰囲気は消え、その瞳には凍てつくような敵意が宿っている。


「 ……誰だ、その無礼な男は」


 ユリウス王子の声から笑みが消え、会場の空気が一気に凍りつく。


「 彼女の専属アドバイザーだ。……王子殿下。貴方の『秘蔵品』とやら、あまりに腐敗がひどくて、お嬢様の目が曇ってしまいそうだ。お引き取り願いたいね」


 レオンと王子。二人の視線が火花を散らす。 それは、単なる身分争いではない、もっと根源的な「何か」を巡る争いのようだった。


 私は確信した。この第一王子との関わりこそが、ヴァランティーヌ家……そして私自身の「真の価値」を問われる、最大の戦いになるのだと。

最後までお読みいただきありがとうございます! 第一王子ユリウス、そして彼と一触即発のレオン。 レオンがここまで感情を剥き出しにするのは初めてですね。 果たして王子の「秘蔵品」とは何なのか? そして、レオンとの因縁は……? 次回、第14話。物語は王宮の奥深くへと進みます! 応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ