表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『「安物には裏がある」と婚約破棄された公爵令嬢、その審美眼で辺境の街を最高級ブランドへと変える』  作者: ゆっきー
第3章:境界を越える審美眼と失われた遺産

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/40

第12話:大公妃の審判と、ヴァランティーヌの誇り

いつもお読みいただきありがとうございます! ついに王都の審美界の頂点、カトリーヌ大公妃との対面です。 彼女の目は、どんな小さな誤魔化しも許しません。 スカーレットが心血を注いだ「月光のボレロ」は、その厳しい目にどう映るのか。 極上の緊張感をお楽しみください。

 カトリーヌ大公妃の周囲だけ、空気が張り詰めているようだった。 彼女は、スカーレットが羽織るボレロを、刺すような鋭い視線で見つめている。


 会場の貴族たちは、息を呑んでその様子を見守っていた。 大公妃が「俗悪」と一言言えば、その瞬間にスカーレットのブランドは王都から追放される。


「 ……スカーレット。貴女、これをどうやって手に入れたのかしら?」


 大公妃の声は低く、感情を読み取らせない。


「 手に入れたのではありませんわ、大公妃様。我が街の職人が織り、私がその『ことわり』を導き、完成させたものです」


 スカーレットは臆することなく、真っ直ぐに大公妃を見つめ返した。


「 ほう。……ハンスという職人の名は聞いているわ。だが、この布の光沢……これは、ただの技術で出せるものではない。まるで、月の光そのものを閉じ込めたような……」


 大公妃は、そっと白手袋をはめた指でボレロの袖に触れた。 その瞬間、ボレロが魔光灯の光に呼応するように、波打つ銀色の輝きを増す。


「 お気づきになられましたか。これは『月光蚕』の糸。……ですが、ただ織るだけではこの輝きは生まれません。糸の中に眠る魔力の流れを見極め、一点の澱みもなく整えて初めて、この『命の輝き』が宿るのですわ」


「 魔力の流れ……。それを貴女が『見極めた』と言うの?」


「 ええ。私の目は、隠された『裏』だけでなく、素材が持つ『真の価値』を見逃しません。……大公妃様。このボレロに、貴女を欺くような裏地うそは一枚もございません」


 会場が静まり返る。 大公妃はしばらくの間、無言でボレロを、そしてスカーレットの瞳を交互に見つめていた。


 やがて、彼女の唇がふっと緩んだ。


「 ……ふふ。面白い。王都の馬鹿げた流行を追いかける連中とは、格が違うわね」


 大公妃は周囲に聞こえるような通る声で、高らかに宣言した。


「 見なさい。これこそが本物よ。派手な宝石で飾らなければ価値を示せない成金共には、一生かかっても届かない美学。……スカーレット・ヴァランティーヌ。貴女のブランド、私が保証しましょう」


 その瞬間、会場中から割れんばかりの拍手が巻き起こった。 大公妃のお墨付き――。それは、王都のファッション界において絶対的な「勝利」を意味する。


 遠巻きに見ていたエドワードとメリンダが、屈辱に震えながら会場を去っていくのが見えた。


「 ……お見事、お嬢様」


 いつの間にか背後に忍び寄っていたレオンが、耳元で小さく囁いた。


「 ですが、あまり目立ちすぎるのも考えものです。……今、会場の入り口に現れた影。あれは、大公妃以上の『難敵』かもしれませんよ」


 スカーレットが入り口に目を向けると、そこには軍服を纏った、氷のように冷たい瞳を持つ男が立っていた。 王室近衛騎士団長、そして王座に最も近いとされる第一王子、ユリウス。


 スカーレットの審美眼は、彼の背後にどろりと渦巻く、かつてないほど真っ黒な「裏」を捉えていた。

最後までお読みいただきありがとうございます! 大公妃に認められ、完全勝利!と思いきや、新たな火種が……。 第一王子ユリウスの登場で、物語は美学の競い合いから、王宮の陰謀へと足を踏み入れます。 彼の「黒い裏」に、スカーレットはどう立ち向かうのか。 次回の更新もどうぞお楽しみください! 感想やブクマをいただけると、スカーレット様のドヤ顔がさらに輝きます!✨

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ