第10話:王都の門と、審美眼の宣戦布告
いつもお読みいただきありがとうございます! ついにスカーレットが王都へ帰還しました。 かつて自分を追い出した場所へ、堂々と乗り込みます。 嫌がらせをしてくる連中を、その「審美眼」でどう黙らせるのか。 王都編、本格開幕です!
王立審美博覧会を控えた王都の城門前。 あえて装飾を省いた、漆黒の馬車が一台。
「 ……懐かしい空気ね。煤と、虚栄の匂い」
車窓から見える王都の景色に、私は小さく毒づいた。
そこへ、一際派手なピンク色の馬車がこちらを遮るように止まった。 中から現れたのは、エドワード。そして、その隣には彼の新しい婚約者、メリンダ。
メリンダは私の姿を見るなり、高笑いした。
「 あら、まあ! 本当に来たのね、スカーレット様。辺境の砂埃を撒き散らして、この博覧会を汚すつもりかしら?」
エドワードも尊大な態度で胸を張る。
「 彼女なりに、辺境のゴミを宝物に見せかける努力はしてきたのだろう。……だがスカーレット、君のそのドレス、宝石一つ付いていないではないか」
私は馬車から降り、静かに二人を見据えた。
「 メリンダ様、そのドレス。王都で今最も高価な『紅蓮のシルク』ですわね? 素晴らしい赤ですわ」
「 ふふ、わかるのね? 貴女が一生かけても買えない品よ!」
「 ええ。ですが、残念ですわ。そのシルク、煮沸の段階で温度を間違えています。……今夜のパーティーの照明の下では、それは美しい赤ではなく、泥のような茶色に沈んで見えますわよ?」
「 な……っ、なんですって!?」
「 ついでに、その首元のネックレス。裏側に赤い薄紙を貼って色を誤魔化していますわね。……そんな『安物』で、王立の場に出るおつもり?」
メリンダは顔を真っ青にし、ネックレスを必死に隠した。
「 真実かどうかは、今夜の会場で証明されますわ。……それでは皆様、ごきげんよう」
私は凍りついた二人を無視して、優雅に門を潜った。 王都の社交界という戦場。 私の武器は、ただ一点の曇りもない「本物を見抜く力」だけだ。
最後までお読みいただきありがとうございます! 王都到着早々、メリンダの「裏」を暴くスカーレット。 照明の下でドレスが泥色に見えるという予言。 次回、いよいよ博覧会本番。スカーレットの真価が問われます!




