第8話:色褪せた栄光と、偽りの公爵令息
いつもお読みいただきありがとうございます! ついにやってきた、元婚約者のエドワード。 かつてスカーレットを「安物好み」と切り捨てた彼は、一体どんな姿で現れるのか。 今、辺境の街で「本物の価値」を巡る、最も残酷な再会が始まります。
「……ここが、あの『吹き溜まり』だというのか?」
豪華な紋章が描かれた馬車から降り立ったエドワードは、周囲を見渡し、不快そうに鼻を鳴らした。 だが、その声には以前のような絶対的な余裕がない。 私は工房の入り口で、レオンを伴い、優雅に彼を迎え入れた。
「 お久しぶりですわ、エドワード様。……あら、そんなにキョロキョロなさって。何かお探しでも?」
「 スカーレット……! 貴女、その姿は……」
エドワードが絶句する。 今の私は、ハンスたちが織り上げた最高級のシルクドレスを纏っている。 派手な装飾はないが、波打つ光沢は、王都のどんなドレスよりも気高く輝いていた。
「 ……ふん、田舎で少しはマシな格好を覚えたようだな。だが、所詮は成金趣味だ。私の手紙を読んだだろう? その『布』を献上するなら、貴女の追放を解いてやってもいいと言っているのだぞ」
私はふっと溜息をつき、彼の手元を指差した。
「 残念ですわ。そのカフスボタン、本物のエメラルドではなく、着色しただけの安物のガラスですわね。それに、そのジャケットの縫製。……今の公爵家、相当お困りなのではありませんか?」
エドワードの顔が、みるみるうちに青ざめていく。
「 な、何を……!? 貴女ごときが、私の目利きを疑うのか!」
「 いいえ。事実、貴方のその靴……底を張り替えた跡がありますが、それも二流の職人の仕事ですわ。……今の貴方に、我が街の布を纏う価値はありません。私を『安物』と呼んだ貴方こそが、今や誰よりも安っぽく見えますわ」
「 な……貴女、後悔させてやるからな!」
負け惜しみを叫びながら、エドワードは馬車へ逃げ帰っていった。 走り去る馬車の轍を見つめながら、ハンスがスカッとした顔で笑い声を上げる。
私は隣に立つレオンを見上げた。 復讐は終わったわけではない。むしろ、これからが本番なのだ。
最後までお読みいただきありがとうございます! エドワード、完全論破! 自分の価値が下がっていることに気づかない彼の惨めさが浮き彫りになりました。 しかし、このまま引き下がるとは思えません……。 次回、いよいよ王都へ!




