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『「安物には裏がある」と婚約破棄された公爵令嬢、その審美眼で辺境の街を最高級ブランドへと変える』  作者: ゆっきー
第3章:境界を越える審美眼と失われた遺産

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第4話:月下の交渉と、審美眼の限界突破

いつもお読みいただきありがとうございます! 突如現れた謎の青年。彼は敵か、それとも……? 「審美眼」を持つスカーレットと、人ならざる雰囲気を持つ青年。 緊迫した夜の交渉劇が始まります。 今話も最後までお楽しみください!

「……その布は、人の子がむやみに触れていいものではないよ」


 月光を背負い、バルコニーに腰掛ける青年の声は、心地よい音楽のように部屋に響いた。 だが、その言葉に含まれた警告は、私の肌をピリつかせる。


 ハンスは恐怖からか、ルーペを握りしめたまま固まっている。 私はゆっくりと紅茶のカップを置き、青年を真っ向から見据えた。


「淑女の部屋に無断で入り、さらに私の所有物にケチをつける。……ソルスティア王国では、それが最新のナンパの作法なのかしら?」


「ははっ、ナンパか。君は面白いね、スカーレット」


 青年がバルコニーから軽やかに飛び降り、室内へと一歩踏み出す。 その瞬間、私の「審美眼」が激しく警鐘を鳴らした。


(……見えない。何なの、この人は?)


 私の瞳は、あらゆる物の「質」や「真実」を見抜く。 だが、目の前の青年に関しては、その輪郭が霞がかかったようにぼやけ、代わりに圧倒的な「純度」だけが伝わってくるのだ。 例えるなら、最高級のダイヤモンドが人の形をして歩いているような、そんな異常な気配。


「その目は、ただの鑑定眼じゃないね。……なるほど、彼が君にこの布を預けた理由が少しわかった気がするよ」


「彼……? 夫人の背後に、誰かあるじがいるということ?」


 青年は答えず、私の机の上にある古代の布を指差した。


「それは『月光蚕』の糸に、精霊の加護を編み込んだものだ。扱いを間違えれば、この街一つを消し飛ばすほどの魔力が暴走する。君のような人間に、それが制御できると思うかい?」


 冷たい問いかけ。 並の令嬢なら腰を抜かすところだろう。 だが、私はふっと口角を上げた。


「制御? 誤解しないで。私はこれを兵器にするつもりなんてありませんわ」


「ほう?」


「私は、この布の『真の美しさ』を、現代に蘇らせたいだけ。……もしそれが危険だと言うのなら、貴方が私の専属講師アドバイザーになればいい。そうでなくては、この布を預かった責任が果たせませんわ」


 私の逆提案に、青年は虚を突かれたように目を見開いた。 まさか、自分を雇おうと言い出す人間がいるとは思わなかったのだろう。


「私を雇う? 私の『価値』が、君に払えるかな?」


「ええ、もちろん。私は、本物の価値を見誤ることはありません」


 私は一歩も引かず、青年の瞳をじっと見つめ返す。 沈黙が流れる。 やがて、青年は降参したように肩をすくめ、優雅な一礼を捧げた。


「面白い。君のその『審美眼』が、どこまで本物か……少しの間、近くで見守らせてもらおう。私はレオン。以後、お見知りおきを、スカーレットお嬢様」


 新たな「協力者(?)」を得た瞬間だった。 だが、彼の瞳の奥に潜む底知れない深淵は、まだ私の目でも捉えきれていなかった。

最後までお読みいただきありがとうございます! スカーレットの強気の交渉術、いかがでしたか? 謎の青年レオンが仲間に(?)加わり、古代の布の解析が本格的に始まります。 しかし、レオンの正体にはさらなる秘密が……。 次回の第5話もお楽しみに! 感想やブクマをいただけると、執筆の励みになります!✨

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