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『「安物には裏がある」と婚約破棄された公爵令嬢、その審美眼で辺境の街を最高級ブランドへと変える』  作者: ゆっきー
第3章:境界を越える審美眼と失われた遺産

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第2話:黒ずむ虚栄と、謎の断片

前回の開幕からたくさんの反応をいただき、ありがとうございます! スカーレットの言葉が、さっそく形になって現れます。 「安物には裏がある」――その真実、どうぞご覧ください。

 ベルダ男爵夫人が滞在する迎賓館。 そこには、ヒステリックな叫び声が響き渡っていた。


「な、何よこれ! どういうこと!? スカーレットの言った通りじゃない!」


 夫人が鏡の前で絶叫している。 つい数時間前まで黄金の輝きを放っていた彼女のドレスは、今や煤でも被ったかのように、どす黒い斑点が浮かび上がっていた。


 この街の「辺境織り」の定着剤に使われる特殊な鉱石成分。 それが、夫人のドレスの粗悪なメッキと反応を起こしたのだ。


 私は、メイドが差し出した紅茶をゆっくりと口に含み、平然と告げる。


「ですから申し上げたでしょう? その金糸は、この街の空気には耐えられませんわ」


 夫人は顔を真っ赤にしながら、私の元へ詰め寄ってきた。


「貴女、何か細工をしたんでしょう! 恥をかかせるために!」


 私は静かに首を振る。


「滅相もございません。ただ、そのドレスを作った職人が、材料費をケチって利益を上げようとした……それだけの話です。裏がある品を選んだのは、夫人、貴女自身ですわ」


 夫人は絶句し、その場にへたり込んだ。 隣国の特使として、この街を見下しに来た彼女にとって、自国の「最高級」が否定されることは最大の屈辱だ。


 私は、項垂れる彼女にそっと一枚の布を差し出した。 我が街で織られた、深い群青色のシルクだ。


「……何よ、これ」


「当座の着替えです。我が街の職人が織ったものですが、メッキのような紛い物ではありません。真珠の粉を練り込んだ糸で織り上げておりますので、何年経ってもその輝きは失われませんわ」


 夫人が恐る恐るその布に触れる。その圧倒的な本物の質感に、彼女の目が見開かれた。


「……なんて滑らか。これが、あの『吹き溜まり』で作られたというの?」


「ええ。ですが、夫人がここへ来た目的は、私のドレスの講評ではありませんわね?」


 夫人はハッとした表情を浮かべると、懐から小さな木箱を取り出した。 中には、古びた布の切れ端が入っていた。


「……我が国の王家に伝わる遺産の一部よ。でも、今の職人の誰にも、これがどうやって織られたのか分からないの」


 私はその布を凝視した。 途端、私の視界に、これまで見たこともないような複雑な「理」が溢れ出す。


「……お預かりしても?」


 私の問いに、夫人は力なく頷いた。 この瞬間、物語は失われた歴史の探求へと動き出した。

最後までお読みいただきありがとうございます! ざまぁ展開からの、ミステリー要素。 スカーレットが見つけた「古代の布」には、一体どんな秘密が隠されているのでしょうか。 次回の更新も、どうぞお見逃しなく!

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