第四話:夜の盟約と、布の番人
いつもお読みいただきありがとうございます! バルコニーに現れた謎の青年、レオン。 彼はこの「古代の布」の何を知っているのか。 スカーレットの審美眼と、謎の番人による息詰まる交渉が始まります!
月光を背負い、バルコニーに佇む青年、レオン。 彼の瞳は、夜の湖のように深く、それでいて底知れない知性を湛えていた。
「……番人、ですって? そんなお伽話、私の審美眼には通用しませんわ」
私は動揺を押し隠し、優雅に扇子を広げた。
「 その布を返しなさい、と言うのかしら? だとしたらお断りしますわ。これは隣国の特使から正当に預かったもの。返す相手は彼女であって、貴方ではありません」
レオンはふっと鼻で笑い、音もなく床に着地した。
「 返せとは言わないさ。どうせ今の人間には、その布を『目覚めさせる』ことなんてできない。宝の持ち腐れを見物に来ただけだよ」
「 目覚めさせる……?」
私はその言葉に反応した。 ハンスが言っていた「魔法陣を形成している」という言葉が脳裏をよぎる。
「 ええ、わかっていますわ。この布には魔力の流れがある。……ただ、その『鍵』が足りないだけでしょう?」
私が真っ直ぐに見据えると、レオンの瞳に微かな驚きが走った。
「 ……ほう。ただの令嬢かと思ったが、本当に『見えている』らしい。面白い。……なら、一つ賭けをしないか?」
「 賭け、ですって?」
「 私が知恵を貸そう。その代わり、この布が完成した時……それがどんな光を放つのか、一番近くで見せてもらう。それでどうだい?」
私は一瞬躊躇したが、目の前の青年の瞳に嘘がないことを、私の審美眼が告げていた。 それに、この布の謎を解くことは、わが街「ヴァランティーヌ」をさらなる高みへ導く鍵になる。
「 ……よろしいわ。その賭け、乗りましょう。ただし、私の工房を荒らすような真似をしたら、即座に追い出しますからね」
「 承知したよ、お嬢様。……最高の『舞台』を期待している」
こうして、謎の青年レオンが私たちの仲間に加わった。 この出会いが、王都を揺るがす奇跡の始まりになるとは、まだ誰も知る由もなかった。
最後までお読みいただきありがとうございます! レオンとの契約成立。 一筋縄ではいかない彼ですが、スカーレットの右腕となってくれるのでしょうか。 次回、いよいよ製作開始です!




