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[#11-弟のワイシャツがデカい]

[#11-弟のワイシャツがデカい]


「え、、、、來智花、なにいってんの」

「その言葉の通りだよ?」

⋯ダメで元々。勝ち戦じゃ無いことは分かってる。でも何とか⋯もうちょっと!もうちょっとで⋯!いや、正直めちゃくちゃ自己中心的な思考だし、姉さんの今までのファイトスタイルを鑑みても、中々に激ムズ、ラスボスの裏に相当するものだと思ってる。⋯⋯慣れないゲーム&アニメの用語を使ってみた⋯⋯。

「⋯⋯出ると思ってんの。わたしがそんな簡単に」

「姉さん、一緒に中野ブロードウェイ行こうよ!」

「は、はぁ?!」

一緒に座っていたベッド、姉さんを震源地に大きく揺れた。

「い、行くわけ無いでしょ!?」

「姉さんは行ったことあるの??」

「⋯⋯ない、、、けど」

「このまま行かない人生でいいの?」

「は?」

「中野ブロードウェイってさ、アニメ好きからしてみれば“聖域”みたいなとこなんでしょ?人生で一度は行ってもいいんじゃないかな」


⋯⋯⋯中野ブロードウェイ。來智花より、圧倒的にわたしの方がそこに関して知ってるわよ。

行きたい。1回なんかじゃ無理。2回3回⋯なんなら、中野に引っ越したい。中野ブロードウェイ⋯中野ブロードウェイ⋯⋯中野ブロードウェイ⋯中野ブロードウェイ⋯中野ブロードウェイ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯イキテエ⋯。


「⋯わたし、きょうみない」


來智花、あんたわたしのこと本気で外に出させる気あんの?そんな軽い気持ちならわたしはここを出ないから。わたしには今まで、あんたら家族を無視して来たプライドとスタンスの確立性があるのよ。もっと、押してほしいんだけど⋯⋯⋯


───────

「そっか、じゃあしょうがないね」

───────


素っ気ねえぇぇええeえええ!!!!さっきまであんなにわたしに対して、ゾッコンみたいな雰囲気でコッチに来てたし、ベッドで座ってる横からプンプンスカスカ感じていたのに、なんなのよ!?なにィ?ひょっとしてこのガキ、わたしを弄んでるゥ??可能性としては捨てきれないわね⋯⋯⋯だけど⋯ちょっと⋯あまりにも“素っ気”が無さすぎないィィいい!?!


「じゃあ、おれは友達といこっかなぁ」

真横にて。來智花が彼方へと、相手無き空虚に言葉を吹き込む。その様子を見た熾泉花が唸る。

「來智花」

「ん?」

「わたしを⋯守ってくれる?」

「⋯⋯⋯うん!!守るよ!」

「ほんとに??」

「ほんとほんと!!」

「1年間、引きこもってきた一人の女が外に出るの⋯來智花は守れるの?」

「姉さんと少し離れた状況になってから、惚れ惚れする男になったの、判らないかなあー」

「うん、判らないわ」

吐き捨てるように言ってのけた熾泉花。

ベッドから横転し、ズコーッ⋯とコメディチックなリアクションで來智花は、“自分”を見せた。

「ンフフ」

熾泉花は笑ってくれた。來智花からしてみれば、『狙い通り⋯!』と言ったところだろう。首をコクッと右に傾け、熾泉花から見て左横にいる來智花に向けて、笑みをアピール。來智花は不思議なように、姉に心惹かれていた。

熾泉花の笑顔。どれだけ待っても、来ないと思っていたそれ。いつか⋯いつか多分⋯今度は⋯またの機会に⋯⋯⋯⋯ずっとずっと、求めてるようで逃げ続けていた自分が嫌だった。熾泉花の顔を見れれば良い⋯それでいて、笑顔を引き出そう⋯なんて、注文が多過ぎるんじゃ無いか⋯と。そんな夢にまで見た光景が、広がっている現状を目の当たりにした來智花は、あまりの嬉しさに自身の姉と若干の距離を置いてしまう。


「姉さん、行こう!」

だがそれでも、到来したチャンスを掴むため、來智花は熾泉花との距離を縮めようと試みる。その第1段階として彼が実行したのは⋯

「ん?なにこれ、あくしゅ??」

「握手⋯じゃないよ。王女様にやったりするじゃん?」

「手の甲にキス??いやそれ、わたしから差し出すパターンで成立するんじゃないの?今、來智花の方から手出てきてんじゃん。しかも甲じゃないし、“ヒラ”だし」

「じゃあ姉さんから手を差し伸べてくれたら、手の甲にキス⋯してもいい?」

「ダメに決まってんでしょ」

「そうでしょ?じゃあ⋯」

「⋯?」

「おれの王女様」

わたしの真ん前に立ち、座っているわたしを見下ろすような角度へ。でもその表情は、“見下ろす”というシチュエーションにはそぐわない優しい顔が形成されていた。來智花はわたしにもう一度、手を差し出し、接触を望んでいる。わたしは、彼にどういった形で応対したら良いのか判らなくなる。わたしの頭の中には今まで鑑賞・読書してきた数多のエンターテインメントが内蔵されている。しかし現状に酷似した展開を含んだ作品が、わたしのメモリには一切無かった。

わたしは“作品”をいつも思考に組み込み、生活している。こういう状況になったら“あの作品の主人公はこう立ち振る舞うなぁ”など、どんな時でもそう考える脳になっているのだ。⋯とは言っても、わたしは引きこもっている身なので、そのような状況に陥るのは必然的にゲームになるんだけれど。それも作品なんだけどね、一応自分の操作で物事の完結と方向性が決まるから、わたしの考えには適合してる。

來智花の今の行動。無いよ⋯ないない!なにこれ⋯⋯立ってる男が、座ってる女に手を差し出すなんて⋯!!そんなのわたし、知らないよ!


一応⋯⋯⋯⋯これが正解かは判らない。だけど⋯⋯差し出された側の人間として⋯そして、相手のこと、來智花のことを考えると、こう⋯なるのかなぁ⋯と思い、わたしは思考の末を実行に移した。

「姉さん⋯!?」

「⋯⋯これしか、知らないから。これの⋯正解」

來智花の手の平に、自分の右手を置いた。來智花の右手指がわたしの感覚に注ぎ込まれる。他者との接触なんて⋯いつぶりだろうか⋯。てか、こうなる前にも、こんなことしてないと思う⋯。



3日後──。


「姉さん⋯??」

「なに?」

「その格好で行くの?」

「ええ、そうよ。何か文句?」

「え、、あー⋯⋯いや⋯⋯その⋯⋯パジャマ⋯っていうのは⋯あまりにも外出するには⋯アレなんじゃないかな」

今日は姉さんと中野ブロードウェイに行く日。姉さんとしては外出なんて1年以上ぶりとのこと。昼前、おれは姉さんに呼び出されて、姉さんの部屋に入室。そして、現在に至る。

「部屋着で行くのが悪いの?」

「姉さん⋯別に、引きこもってから1年でしょ??1年前にもパジャマで外出してたの?」

「いいや、してないけど」

「じゃあその時の服を着て行ってよ」

「無いもん」

「え」

「いや無いもん」

「な、、、ない?」

「うん、ぜんぶ捨てた」

「え、、ちょっと待ってよ⋯クローゼットに⋯母さんが買ってくれた服あったじゃん」

「わたしの好みに合わない服だったから全部捨てた」

「え、じゃあこのクローゼットには⋯」

姉さんの部屋には当然、クローゼットがある。ここに姉さんの服が大量に収納されているのかと思っていた。だがそれは大きな勘違いだったようだ⋯。

「これよ」

姉さんがクローゼットを開ける。するとそこには、大量の書籍と円盤、それにゲームディスクが格納されていた。ハンガー掛けにはアニメ作品のタペストリーなど。姉さんは公開的にグッズを楽しむオタクでは無いみたいだ。こういう推しグッズって、部屋に飾ってコレクションを楽しむ⋯といった行為が普通だと思われる。というか、そう、ネットを調べて分かった。


「姉さん⋯こういうのって、部屋に飾ったりするんじゃ無いの?」

「未来を考えたのよ」

「未来?」

「これからもわたしは多くの推しグッズと相対し、それを購入すると思う。そんな事を考えたら、部屋の中⋯つまりはわたしの見える位置に置いているのが勿体無いなぁって感じるようになったの」

「⋯⋯?勿体無い⋯⋯???」

ちょっと意味が判らない⋯。別に⋯⋯⋯だったら購入しない方がいいのでは無いか⋯と思ってしまう。

「埃よ」

「埃⋯??」

「クローゼットに格納してたら、そのグッズに埃が溜まらないでしょ?わたし、そういうのスッゴイ嫌なのよ」

「あー⋯なるほど⋯⋯」

ちょっとは理解出来た。でも⋯⋯⋯

「いや姉さん⋯服は⋯⋯母さんからいっぱい貰ってたでしょ?めっちゃ高いやつ」

「だから捨てたわよ。わたしの趣味に合わないから」

「えええええ⋯」

それこそ勿体無いよ⋯⋯⋯。

「姉さん、母さんのプロデュースするやつ⋯何万円するか知ってんの?」

「ええ、知ってるわよ」

「じゃあなんでそんな事を⋯⋯」

「快感なのよね」

「え」

今日はまだ始まったばかり。それなのに、姉さんの口から度肝を抜かれる言葉が数々と飛んでくる。

「やっちゃいけないこと⋯って分かっておきながら、こんなこと出来るってすごくない??だって絶対に來智花が正解だよ。一つ10万円以上する服を、わたしは呼吸するように断捨離していった。あ、唯一かな⋯わたしはそういう時だけ、外出したの。深夜のゴミ捨て場に」

「姉さん⋯ちょっと⋯⋯すごいね⋯⋯」

「引いた??」

「あーーー⋯⋯正直⋯ちょこっと⋯⋯⋯」

「まぁいいわ。わたしだって自分で言ってても恐ろしいもん。他の家庭じゃ絶対やれない事を、平気でやってのけてる自分に酔いしれてる所もあるからね」

「姉さん⋯なんか変な感性が芽生えてる気がするんだけど⋯」

「だってわたしら、裕福な2人の家庭に育った訳じゃない。他の愚息民とは価値観が違うのよ。現にわたしはこうして全く外に出ていなくても、生活出来てるし。來智花も将来はあ 安泰よね。何もしなくても生活できるぐらいに、安定した職業に就ける」

「姉さんもそうなんなきゃだからね」

「どうだかね〜」


「姉さん、取り敢えずなんか違うの!着よう」

「じゃあ來智花のワイシャツは?」

「え、、おれの?制服で着てるやつだよ?」

「うん、それでぜんぜんいいよ」

「こんなのでいいの?」

「こんなの“が”いいの」

おれは即座に自室へ戻り、制服を着る時に着衣するワイシャツを姉さんの元へ持ってきた。

「ふーん⋯いいね」

「まぁ⋯普通の⋯だけど⋯てか、姉さんと同じ高校のやつだから」

「女と男のやつで色々違うのよ、材質が」

「てか、姉さん、高校の制服は?」

「ああ⋯それならあるよ」

「じゃあそれ、着ていこうよ!」

「えぇぇ⋯⋯」

今まで以上に怪訝な表情を浮かべた姉さん。

「どうしてそんなに嫌なの?」

「制服を着ると思い出すからよ、高校の事が」

「あんまり、思い出したくない?」

「うん⋯⋯⋯」

姉さんが引きこもった訳を、おれは知らない。断片的にも聞いたことが無い。父さん母さんは、高校で虐められたんじゃ無いか⋯と危惧している。だけど、一緒の高校にいる人間として、そのような噂は聞いたことが無い。おれが入学してくる前に、起こった可能性もあるので一概には言えないが⋯。

「姉さん、おれ、なんて言ったっけ?」

「⋯⋯⋯⋯『守る』」

「うん、そうだ。守る。姉さんがどんな事になろうとも絶対その時、おれが横にいるから」

「⋯⋯⋯⋯⋯」

姉さんの瞳。それは、“助け”を求めているに十分なものだった。

「制服⋯これ⋯⋯⋯」

「ワイシャツは⋯おれの使う?」

「來智花のワイシャツ⋯」


來智花のワイシャツ⋯着たいかも⋯。


「うん、着る」

「じゃあちょっと着てみよ」

とは言いつつも、サイズが絶対合わない。そんなことは分かっていた。だけど、なんか⋯ここで止まるのは違う気がした。だって今から姉さんはおれのワイシャツを着るんだぞ。こんな⋯⋯⋯天国みたいな展開があるか?おれがこれからも着る⋯ワイシャツを⋯姉さんが⋯⋯⋯て、ちょちょっと!?!

「姉さん!?おれ出ていくから!!」

「え」

姉さんはおれが部屋にいる事なんて、お構い無しに着替えをし始めた。

「姉さんおれ!出るから!」

「あ、、うん⋯⋯別に、いいけど⋯」

「あ、うん⋯⋯そ、そうだよね⋯⋯姉弟だし、そんなの考えてないよね」

「うん」

そうだよな⋯普通に考えたら、姉弟だし⋯え、でも⋯姉さんだって年頃の女の子だし、おれだってそうだ。仮に姉さんだとしても⋯いや、姉さん“だからこそ”、いやらしい視線なんて⋯⋯視線なんて⋯。

「あ⋯⋯」

「なによ⋯」

「あー!!!ゴメンなさいゴメンなさい!!見てないです!見てないです!!」

「下着着てるし別にいいよ、そんなの気にしない。あと弟だし」

「じゃ、じゃあ⋯⋯」

『じゃあ』ってなんだよ。まるでおれが姉さんの裸に興味ある⋯みたいな枕詞じゃねえか。まぁ実際そうなんだけど⋯⋯

パジャマから着替えて、おれのワイシャツを着る。その間に訪れる妖艶なシークエンスを、おれは見過ごす事が出来なかった。それに、姉さんからの許可も得ている。これは合法だ。間違った方法で、おれはこれを見ているのではない。

「あんま⋯ジロジロ見られるとキツいんだけど⋯⋯」

「あ!ゴメン!!ゴメン⋯⋯⋯」

「ンヒヒ⋯⋯來智花、來智花も男になったんだね」

「え?⋯ああ!!」

姉さんの言葉を受けて、おれは姉さんの方に意識をシフトさせた。だがそのシフトさせた瞬間、姉さんのたゆたゆなおっぱいが、視界全体に広がった。眼球レンズは自然的な流れで、ターゲットである姉さんの胸にピントを合わせる。それ以外の光景は全てに、ボヤけが生じ、“人間視点ポートレート”の完成披露試写会が、おれの体内⋯眼球内で開かれた。細胞がガッツポーズしてる。


───────────

『良くぞ!やってくれた!』

『遂に捕捉出来たんですね!!』

『非常に長い旅時だった⋯。脳からの神経伝達では幾度となく迫られていたからな。⋯⋯早く!早く!!さっさと善知鳥熾泉花の裸体を捉えろ!⋯⋯と』

『やっとです!さて、それでは我々も⋯』

『ご鑑賞タイムに移るとするか』

『ですね!』

───────────


なぁんて、馬鹿げた事がおれの眼球内にて行われてるに違いない。


「はぁ⋯やっぱダメ。來智花、鼻の下伸びすぎ。キモい。あっち向いてて」

「かァァァァァァァァァ⋯」

おれは自分を呪った。いい感じの塩梅で見てればよかったのに。欲しがりすぎた⋯⋯。


「どう?」

「⋯⋯“おっきいね”⋯」

ワイシャツの上からでも十分に判る“サイズ”。Fカップ以上はあるなこりゃあ。てか⋯⋯

「姉さん下は⋯」

姉さんは今、上半身にワイシャツを着たままの状態。ワイシャツのサイズはやはり、おれの着用物⋯という事もあって適切なサイズでは無く⋯ワイシャツの下は太ももと⋯股関節の部分にまで伸びていた。つまり、今、姉さんの下半身は太ももから足先までが空白。綺麗な肌白いキャンパスがテカテカと光っていた。それにしても⋯いい肉付きだなぁ⋯姉さん本当に引きこもってんのかな、なんかおれ達の知らないところで運動とかしててもおかしくないぐらいに、足が筋肉質なんだけど⋯。バレーボールプレイヤーの母親譲りって事か。⋯めっちゃエロい。


「下?穿いてないよ」

「え、、、それは⋯⋯ん?⋯え、、、」

「穿いてないよん♡」

「嘘⋯⋯⋯え、、マジ⋯」

嘘⋯⋯⋯⋯え、、、マジでガチ??嘘⋯⋯

「いやいや⋯姉さん⋯それはちょっと流石に⋯⋯」

「⋯見る?」

「は、、、、、」

「このワイシャツの下、何も穿いてないんだよねー」

「ガッ!?!!!」

姉さんが徐々に、そのワイシャツの切れ端を上げていく。するとそこから広がるのは股関節部分の入口。え、、うそ⋯このままだとマジで見えるじゃん⋯⋯姉さん本気で⋯⋯

「ンヒィ⋯はい、もう分かりました」

「え、、」

熾泉花は、ワイシャツの前身頃を上げる行為を終了させる。顕になっていた左足の太ももは、ワイシャツによって再び隠れる事になる。

「わたしが知らない間に來智花が相当変態さんになった⋯っていうことが分かったって言ってんの」

「いやいや姉さん⋯さすがにそんなことされたらどんな男でもこんなリアクションするに決まってんじゃん!」

「ええぇぇ?わたし達、姉弟だよねー?姉に対してそんなエッチな顔になるなんて相当変態だと思うんだけどなぁー」

────────

「おれは⋯姉さんを“女”として見てる」

────────


「え⋯⋯來智花、今、何を言ったの?」

姉さんには聞こえない程度の声で言った。姉さんに聞こえてもいい内容ではあったが、ちゃんと伝える自身がおれにはまだ無かった。本当に伝えたい⋯だけど、今じゃない気がする。

「ううん、なんでもない。⋯てか姉さん!早く行こうよ!」

「う、うん⋯そうね⋯⋯⋯」

さっきまであんなにおれの理性をいじめていた姉さんが、『行こうよ』とおれが言うなり、気分が下落するのが見て取れた。現実に引き戻された感があるんだな⋯それは無理もない。だって1年間今まで家を出なかった一人の女の子が、外出しようとしているのだ。覚悟のいることだとは十分にわかっている。

本人も、そして、弟であるおれも。


「制服きたよ⋯」

「うん、めっちゃ似合ってる!」

「当たり前でしょ⋯これでもJKなんだから」

「じゃあ行こっか!」

「今日、パパとママは?」

「2人は今日仕事だよ。夜までらしいから、それまでには帰ってこようね」

「うん⋯そうね」

「本当は、2人にも見せてあげたいなぁ。姉さんの制服姿!ねぇねぇ!姉さん!」

「『ねえ』が多くてやかましいわね⋯どうしたの⋯」

「写真撮ってもいい?」

「ヤだ」


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