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[#1-殺戮と快楽に溺れる日々]

[#1-殺戮と快楽に溺れる日々]


「死ね⋯⋯⋯⋯死ね⋯⋯⋯死ね⋯⋯⋯あー死ね⋯死ね⋯!!死ねよーーー⋯あーつまんね⋯⋯弱っちぃなぁ⋯あん?あ、やった。勝ってんじゃん⋯よっしゃ」


「んふぅん⋯⋯ハァ⋯ ハァ⋯⋯ハァ⋯ハァ⋯ハァ⋯⋯んぁん⋯⋯ンン⋯いい⋯⋯イク⋯⋯ヤバい⋯⋯きもちい⋯⋯⋯」


「死ね⋯⋯⋯死ね⋯死ね⋯あー死ね死ね死ね⋯おいそこに芋っててもしょうがねぇだろうが⋯ウヘヘハハハハハハハ⋯よっしゃ⋯⋯え、おい!!んっざげんなよ!!」


「⋯⋯んふぅ⋯ンハァ⋯ンハァ⋯⋯ンンンンンンん⋯⋯イクイクイク⋯ンハァんふぅぅぅン⋯⋯」


無限ループ──────────────。



これがわたしの毎日。これが私。これでいいの。ずっとこんなんでいいのよ。もうわたしはこの世に未練なんて無いから。ずっとこれでいい。こうじゃなきゃ嫌だ。こうじゃなきゃダメだろってなってる。

この世にとってもそれがいいんだよ。そうしなきゃ、不必要な人間が社会性を孕む必要なんて無いじゃん?

だからわたしは自らがその生活から退去して、歯車のサイクルから離れる事を自決。その結果がこの生活。

オンラインゲームに明け暮れ、自慰行為でオンラインゲームのストレスを発散して、またオンラインゲームへ挑み、また自慰行為に走って、んでぇちょっとアダルトビデオを見て、オンラインゲームをやって、あまりにも弱過ぎたりな雑魚プレイヤーと対峙したり、自分の仲間だったりすると、その時間が勿体ねぇ!!⋯ってなって、オフラインのストーリー中心のゲームへと移行する。

そんでもってオフラインゲームが良い方向に転んだら、わたしのアソコがヌメヌメしてくる時間へと突入するので、また自慰行為⋯はぁ⋯わたし、何逃げてんだよキモ。別にいいじゃんか、ねぇ。


はいはい、“オナニー”ですよ。オナニー。なに自慰行為とかオブラートに包んだ言葉選んでんだよきんもち悪い。わたしなんかがさァ、そんな余裕もって馬鹿みたいに汚い言葉を選んでんじゃねぇよ⋯⋯ってんだよ。


生きてる意味⋯あんのかな、わたし。別にほんと、自殺なんてしようと思えばいつでも出来る。それに対して、怖さとかを感じた事がない。でも、未だに実行に移そうとは一度たりとも思った事ない。これって矛盾してる気がする。わたしの知らないところで、わたしの意志が衝動的行動を抑制している⋯のかもしれない。わたしの人間性にそんな細かいメカニズムなんて要らないけど。

単純でいいのよ、単純で。

今、ゲームしたい。

今、エッチなことしたい。

それでいいよ。

他には何も要らない。

一人。ずっと、一人でいい。

このまま暗闇の空間の中で、人生を終わらせる。

わたしには今の生活が一番にちょうどいい。


それなのに、人間って嫌だよね。

普通に生活してたら、腹は減るし、身体は臭くなるし、口からも嫌な匂いがするし、顔面もヌチャヌチャしてくるし、うんちも出てくる⋯。

生理現象に逆らおうとは思わないので、そういう時のみ、居室から出て、家を散策。

でもそれを主に行うのは、家族3人が居ない時と寝静まっている時。

わたしの姿をあんま見られたくないから。家族には合わせる顔も無い。パパとママはわたしの扉の前に立ち、何回も何回も、わたしに語り掛けてくれている。

わたしはそれに一回も答えたことは無い。なのに、両親は今でも継続的にわたしとの交信を望んでいる。

なんで⋯。こんなクソ雑魚に、もう関わらなければいいじゃん。居室の扉から、聞こえてくる言葉っていうのをわたしはだいたい聞いていない。

“聞こえてこないようにしている”と言えば、適切だろうか。

ヘッドフォンを装着。ゲーム音量を最大にして障害となる外界からの雑音をシャットアウト。2人には申し訳無いけど、わたしは一切呼応するつもりは無い。したとしても、あとからどうするっていうの?どうせ、学校に行って?とかでも言うんでしょ?

『ちょっとずつでもいいから外に出てみて?』

なんてこんなことをどうせ言っているんだろう。

ちょっとでも両親からの雑音が聞こえさえすれば、装着されていたヘッドフォンの音量は最大に。

だから、両親からの声を全く聞いてない。

いつだろ⋯最新で2人の声を聞いたのは⋯⋯⋯うーん⋯⋯覚えてないな⋯。

電話とかも掛けてくるからな⋯あの2人。同じ家に居るのにさ⋯⋯。

⋯⋯⋯自分勝手すぎるよな。この疑問。

わたしが逃げてるだけなのに。2人がよくわたしの心配をしてくれているんだ⋯と、そこは重く受け止めている。だけど、もうわたしは無理かな。2人に合わせる顔が無いよ。

勇気が出ない。

血縁関係とは思えないんだよねわたしは。ここまで家族との繋がりを隔てた世界を構築すると、わたしってワンルームで生活しているのかな⋯って思っちゃう。みんなが消えた時に、一軒家のこの自宅を徘徊するから、そこで『あ、わたし⋯結構いい家に住んでるじゃん』ってなる。

オンラインゲームには色々な種類があって、FPS視点のシューティングゲームはもちろんの事、街作り系のシムゲームもよくプレイしている。なので、自然とインフラ整備の知識がどんどん貯蔵されていくんだ。

そのおかげかあって、インフラへの知識が人並みよりはある。インフラだけじゃない。

ゲーム、映像、読書。

ここ3つから得られるものは計り知れない。

結果、わたしを外出させない要因にもなっている。最高だよね。家から一歩も出ずに、わたしは世界各地に旅に出ている気分になれるんだ。これは、ほんと、最高。たった1000円払うだけで、数々の個性豊かな登場人物達が織り成す群像劇を体験出来るんだよ?

見たことも聞いたこともない、紛い物の世界だけど、そこにはリアリティがある。小説を書ける作家ってほんと⋯どんな脳みそしてんだか。

わたしにはもう、理解が出来ないよ。なんでこんな知らない漢字があるのって⋯⋯。

いやわたし、こんなんだけど一応は小学校と中学校はちゃんと通ってたんだからね。高校も⋯⋯うんまぁ⋯⋯2年間ぐらいは?⋯まぁ通ってたけど、あんまり身体には染み付いてない。

反抗的だった。

嫌だ!!!ってなっちゃった。

インドア趣味に覚醒しちゃった日から、他の事に時間を潰すのが馬鹿な気がしてきたんだよね。それって、いけないこと?別に良くない?わたしの人生なんだから、わたしに決めさせてよ。


⋯⋯ん?あ、また今日も始まった。

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯え、もうこんな時間⋯⋯?

さっきまで朝だと思ってたのに、もう3時か。

この時間は、家に誰も居ない。2人は親は仕事に出ているし、弟は高校に行っている。普段なら、ここでリビングに置いてあるお菓子を物色して、自室へ持っていくのが普通。ただこの時間からは大切な大切な、ランキングマッチが発生してしまう。午後の3時に全世界のプレイヤーが集って、100人以上のバトルロワイヤルがスタートするんだ。

このバトルロワイヤルは、複数のランクシップに分かれている。


レジェンダリーシップ。

マスターシップ。

ゴールドシップ。

シルバーシップ。

ブロンズシップ。


もちろんわたしは〜〜、“レジェンダリーシップ”!!

てか、こんな時間から始まるのなんて、普通の社会人は参加出来ないんじゃん。きっと全世界にはわたしみたいな人間が溢れているんだ。だから、この時間帯にテレビモニターを凝視して、100人のプレイヤーが一同に集合する事が出来る。

各シップは、当然ながら一つではない。

レジェンダリーシップも幾つものグループが存在している。

モニターへ表示されたレジェンダリーシップのグループ数を見てみると⋯200グループ存在する事が判明。

つまり2万人がレジェンダリーシップに参加しているという事となる。

これ、物凄いよ。普通に。

レジェンダリーシップってね。もう⋯⋯廃人しかなれないわけよ。要はわたしみたいな人間ね。

化粧のやり方とかをロクに知らなそうな女とかでも無い限り、ゼッッッッッタイになれない!!

何回も、通常時間帯にて発生するバトルロワイヤルに挑戦して、100人の頂点に何度も立たないと、レジェンダリーシップへの参加券は貰えない。

頂点に立ったからと言って、簡単にレジェンダリーシップへの参加券を獲得も出来ないのが、オンラインゲームの肝。経験値の上にやり込み要素も網羅しなければならない。もう、わたしみたいな社会性を脱ぎ捨てた人間しかレジェンダリーシップなんか参加出来ないんだよ普通。

それが⋯⋯ええ?2万人キッチリ!?

すごいな⋯⋯わたしが⋯わたしみたいなのが2万人も居るってことよ!それさぁ⋯即ち、わたしって間違ってないんじゃないの??

わたし、このままでも十分生きていけんじゃん!

全世界にはわたしらみたいな、隔絶された世界を生きている人間が少なくとも19,999人は居るんだよ!それが、わたしを更なる暗黒へと誘う。これでいいんだ!って思えた事でより一層、『このままでもいいや』に拍車をかける。


わたし、今の生活が幸せ。

ほんと、幸せ。ここから出ない。そう決めた。

家族からなんと思われてもいい。

ぜんぜんいいよ。わたしは絶対出ないから、外へ。

わたしをこうしたのは、世界なんだから。こんなわたしでも本当は、世界向き合おうとしてたんだよ。それを⋯なんだよ⋯⋯わたしが必要じゃ無くなったら直ぐに断捨離してさ⋯⋯。キツイよ。キツイ⋯辛いし、悲しいよ。

そんな思いは、わたしの大好きなものと、快楽で上書き。


今日も今日とて、わたしの最高超ハッピーな世界が15時間経過。あとの9時間⋯どう過ごそうかなぁなんて考えたのは、わたしがこのような閉塞生活を送ろうとした初日のみ。

わたしには時間が無いのだ。


「は、、、、おい!!っっざげんナ!!!死ね!!」

あ、、、死んだ。レジェンダリーシップ⋯。

わたしの苦労が終わった⋯。呆気なく⋯1人目のドボン⋯⋯。嘘だろ、マジか⋯⋯⋯。

2週間後⋯か。次のランキングマッチ。

一つ一つを大事にしていこう、としていたのに⋯。

わたしが死んだ瞬間のハイライトがモニターに表示される。わたしはそのハイライトにブチ切れた。

「死ね!スナイパー!!まだ始まったばっかりだろうが!!!死ねよ!!」

台パン。台パン。台パン。台パン。台パン。。。


「⋯⋯⋯いった⋯手ぇいった⋯」

あーあ、血ぃ出ちゃったよ。こんな事で血ぃなんか出るかね。はぁぁ、もう嫌だ。身体ボロボロじゃんわたし。ちょっと気が触れただけで直ぐこうだ。

こんなにインドアの全てを掌握し切ったんだから、少しでもそれが身体に染み込めばいいのになぁ。発達するのは想像力だけ。筋力、衰えるのかもしんない⋯。インドアの一つでもあるよね、筋トレって。

ちょっと試しにやってみよっと。


⋯⋯

⋯⋯⋯⋯⋯

⋯⋯⋯⋯⋯⋯

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ムリ。

ムリだ。ムリムリ。無理過ぎる。まぁいっか、デブキャラに成り下がらないぐらい、お腹がポヨンになってるわけじゃないから。わたしはこのままでいいや。


直ぐ負けちゃったし⋯お菓子取りに行こっと。時間は、15時5分。よし、この時間なら1階のリビングには誰も居ない。大丈夫大丈夫。

部屋を開ける時。誰も居ないはずなのに、何故かそろりそろりの歩幅になってしまうのは何故だろう。この時間帯に家を徘徊するのは初めてじゃないのに。いつまでこんな気分で家に居たらいいんだろうね。階段を降りて、リビングにまで到達した。

昨夜、映画で貧乏家族の映画を鑑賞した。貧乏家族の兄と妹が万引きの常習犯なのよ。それに加えて、両親はどクズのギャンブラー。息子娘の事を愛しているのにも関わらず、止められない賭け事。そんな家族の住処というのは、オンボロな団地アパート。それに比べたら、わたしの家族ってだいぶ裕福なんだなぁと感心する。親がチャは成功したって感じかな!うれちい。

ただ、どクズである部分はこの映画に登場する親2人と何ら変わらないよね。それはわたしでも判ってる。

だって、『親ガチャ』って言葉を思ってしまうんだもん。口には出しゃあしないけどさ。心で思っちゃうんだよねー。考え過ぎ?別に、表に出さなきゃいいじゃん⋯⋯って??

違うなー。違うのよ。わたしには、“表が無いから”。

表が無いから、裏も無いのよ。他人から見ると、隔絶世界に居るわたしは“裏”のように見えていると思うけど、わたしにとって完全な“表”なの。

表裏の無い女。それがわたし。

嘘が付けないのよね。いい女でしょ?わたしって。

じゃあ『死ね!』を連呼しているわたしはなんなんだよ⋯!!あれは⋯⋯⋯ゴメンさい⋯⋯もうアレは病気だーーァァァ!トホホ⋯⋯これは治らないな。不治の病。


「チョコレート。せんべえ。あ、このチョコレート、サクサクのやつだ。そ・れ・に〜⋯⋯ん!やった!わたしの大好きなコーラ!!ママ大好き」

台所に設置されているお菓子コーナーと冷蔵庫には、わたしが取る専用の箱が存在している。わたしは大胆にお菓子コーナーを物色して上の階へ持っていくので、当然ながらこの行動は親に知られている。それが判明してからというものの、お菓子コーナーの充実度が向上。広さも1.5倍となり、冷蔵庫にも、冷凍食品が置かれる事となる。本来これは、高校一年の弟の弁当に使用したりする物だと思うが⋯わたしのコーナーに置かれているので有難く貰っておこう。

こうなると⋯自分の部屋に電子レンジが欲しくなるな。


⋯ん?

┌────────────────────┐

「熾泉花、チョコレート好きだよね。これ、良いとこのやつだよ!体調気を付けてね。お願いだから、パパとママに顔見せて」

└────────────────────┘


あー、たまにあるんだよね。ママからの置き手紙。私たちが留守にしている間にきっとあの子は1階に降りてくるから⋯とか思ってんだろうね。まんまとその罠にハマったってわけよ。


ありがたいけどね。

よろしくお願いいたします。

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