日向 航
「明日は朝から雑誌のインタビューとバラエティの番組2本どりの撮影があります。」
「朝7時に迎えにいきますから準備して待っててください。」
「はい。たまには自分で現地までいくよ?本栖さん最近疲れてそうだけど。」
「ご心配ありがとうございます。交代制ですし、来週から光本さんですから大丈夫ですよ。お休みもありますい、最近は働き方改革でお休みもきちんととれるようになったので。航君こそ身体に気を付けてください。」
「はーい。じゃまた明日。お疲れ様です。」
航は乗ってきた車を降りて、ドアを閉めて、アイドル級の笑顔で自宅に帰った。
「ただいま。」
そう返答してもかえってくる返事はない。静まり返った音。中高層マンションの為凄い景色言い訳ではないが、それなりに景色はひらけている。
カーテン開けてもビルの明かりや空の星、車のランプなどできらきらしているのみで、部屋の中と外とのギャップにくすりと笑う。
航は夕食は仕事の時に出たロケ弁を食べたので今日は特にこのままお風呂入って洗濯して寝る。時刻は22時。
なるべく早く動いて24時までには寝ようと、さっそく行動。
お風呂は基本はいつも湯舟に入るが、今日は時短の為シャワーで済ませる。
部屋着の準備をして、さっそくシャワーを浴びる。
シャワー中は特に何も考えることはないから、頭がすっきりする。
浴室から出て、身体拭いて、パックしながらファンから頂いたボディクリームで保湿する。女性でも男性でも使えるユニセックス仕様のボディクリームで、インスタなどで流行っている。航も名前は知っていたが実際には使ったことがない。香りはシアバター配合ではちみつなどの成分も入っていてほのかに花の香がするクリーム。
自分のルーティンでもあるクリームをつけて気持ちを落ち着かせたり、癒されたりして、眠りにつくことが多い。保湿やトリートメントも済ませ、歯も磨き、ベットにはいる前に準備。加湿しながら、ストーンアロマで香りと漂わせて、アイマスクとリップケア。
準備万端。明日の目覚ましを2台分セットしてベットに入る。
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ピピピピ ブーブー
アラームを知らせる音が鳴る。まだ眠いけど起きなきゃと目覚ましを確認するが、時刻は5時。2時間前だが朝食とか洗濯、服など朝の準備に時間がかかるので起きる。
しかし、起きて違和感がある。見たことない景色が眼科に広がっている。
アイマスクもそうだし、加湿器やストーンアロマ、しかもパジャマ。
「あれ?まだ夢?」
寝ぼけているけど何かが違う事がぼーっとした頭で気づく。
「えっ。何処ここ。」
天井には見たことない壁やパジャマ。しかも男物。このパジャマ見たことない。
すぐに起き上がり、近くのカーテンを開けて、部屋の明かりを少し取り入れ、部屋の電気を探す。しかし、いつもの感覚なのかすぐ電気の場所がわかり、洗面台に向かう。
鏡を見て驚愕した。なんとそこには自分の推しである、日向 航だった。
意識は私自身なのに外見だけ、日向 航である事が少しわかった。
私そういえば日向 航の夢を見れますようにって思ったけど、まさか推しになるとは思ってなかった。
「どうしよう。ほんとどうしよう。」その場で立ちすくむ。「あっ。スマホ。」スマホ見ても私のじゃないので中を見ても何も私の情報わからない。
てか感覚で全部動けるってどういうこと。スマホのロックも解除できたし、部屋の電気の場所もわかるし、感覚は日向 航君なんだ。心が私なのか。