第八四話 帝国軍の壊滅と、公国軍
帝国本軍には、帝国の名だたる将たちがいた。大陸が統一されればもう戦争はほとんど起きない。
軍人たちは、手柄を上げるチャンスを見逃すわけにはいかないのである。
「ふむ。これでやっとあの王国も終わりか。長かったものだ。」
「そうですな。ですが、今回はまだ攪乱の段階です。トドメはアレを使うのですから。」
「ははは。実は神獣などいなかったのだからな。いやはや、愉快な事だ。」
彼らは、誰も将軍以上の職を持っている。それが示す事は、帝国譜代の将という事だ。
ーーすなわち、ドルムの復讐相手ということでもある。
王国軍と帝国軍が衝突し、王国軍が壊滅しようとしていた時、帝国軍の足元に大きな穴が空いた。
落ちた帝国軍たちは、周囲に木の根のようなものが張り巡らされていることがわかった。そして、木の残骸も。
ドルムが、ピッキーに命じて地中に根を張り巡らせ、そのうち一つを肥大化させて破裂させたのだ。大きくなった根が入っていた分だけの空洞ができ、帝国軍が落ちてしまったという事である。
そして、落ちた帝国兵はその次の瞬間、周囲の根に体を貫かれてあっさりと絶命した。
根は、貫かれた兵たちから何かを吸い取るような動作を見せた。その瞬間、帝国兵たちはカラカラに萎びてしまったのだ。
そして、いまだ状況を掴めていない兵たちに、再び根は襲い掛かる。
アムド総将は畏れていた。やはり帝国を防ぐ事は叶わず、撤退すべきと思った時に、帝国軍が沈んだのだ。天の助けかと思うと同時に、その力強さに畏怖していたのだ。
それは、王国兵も同じである。言い伝えにあった、王国の神獣かのようなその動きに見惚れてしまったのだ。
帝国兵たちは、逃げ出そうとした。だが、低い穴の底に落ちている以上、脱出は容易ではない。となりで同じ釜の飯を食った仲間が貫かれて倒れる。前を歩いていた仲間が、貫かれて萎びる。
一瞬で共に戦地を駆けた戦友が、優しかった先輩が、微笑ましかった後輩が、死んでいく。それも、人ならざる姿に変えられて。
それは、お前らは人ではないと言外に言われているような気がして、兵たちの戦意をガンガンと削っていった。
もはやその光景は悪夢そのものであった。
後に、この事はかろうじて生き残った帝国兵たちによって大きく語り継がれることとなる。「悪魔の木」として。
ドルムは、ほくそ笑んでいた。皇国を滅ぼし、自分から権力を奪い取った奴らがなすすべもなく倒れていく。その光景に歓喜していた。だが、彼のその笑みも、長くは続かない。
〜〜〜
そのころ、王国軍を打ち破った公国軍は、まっすぐ進軍していた。ドルムが出した山脈突破作戦がうまくいくとは思ってもいなかったが、いざやってみるとすんなりと行けた。
公国軍の将たちは、意外と楽に終わりそうだと笑い合っていた。
やがて、彼らは王都まで攻め上ってきた。そう。最終防衛ラインの学園がある王都である。
基本王国は子供を戦場に投入しない。だが、領内まで攻め入られている場合は投入しなくても略奪や暴行などで死ぬ者も出てくる。
だから、国内決戦の場合は子供の投入が許可されるのだ。
学園で戦い方を教えているのはもちろん知らないと魔物や盗賊に襲われるということもあるが、非常時の戦力にするためでもあるのである。
公国軍が迫るところには、クルトたち学生が張り巡らせた罠が、敵がはまるのを今か今かと待っているのであった。
【次回予告】
なんか学園での決戦はあっさり終わった。
次回 学園戦
【〜おわりに〜】
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次回更新は8月1日木曜日です。




