第八三話 ドルム大司祭
ドルムは、貴族の出であった。だが、幼い頃に両親が盗賊に襲われて他界してしまう。残された遺産をめぐって母方の一家と父方の一家が対立してしまった。
その混乱の中でドルムの家は母方の叔父によって燃やされてしまい、使用人たちのほとんどが亡くなった。
ドルムはその後街を歩いていた時に教会の神父に保護され、教会内の孤児院暮らしとなった。実に、ドルムが2歳の時のことである。
教会内で暮らしている内にドルムはニューテル教に触れ、大きな関心を持った。ニューテル教を用いればこの生活を抜け出すことが可能であることに気づいたのだ。
それは、金儲けを目的とした宗教の使い方であるが、悲しいかなどんな宗教でも使う人が使えば金儲けのためのものになってしまうのが現状である。
ドルムがこの宗教を心から信仰していれば話は違ったのだろうが、残念なことに進行する前に商売としての利用価値に気づいてしまったのでそうはならなかった。
もっとも、それに気づいた時点で神童と呼べる類のものであるのだが……
その後ドルムは教国内で順調に地位を確立して行った。また同時に、非合法な物事の解決法を学んでいった。その方が早いからである。無論自分との関わりを漏らすような真似はしなかったのだが。
大司教となったころには上からの命令に嫌気がさしてきた。それもあって半ば押し倒すような形で皇国へとやってきたのだ。
だが、結局帝国に滅ぼされ皇国は公国へとなってしまったのである。
皇国へと来た頃から既に人として何かが欠如したようなドルムであったが、この地での自分の権力に溺れてさらに傲慢になっていた。使用人もみな奴隷と同じ扱いである。
だがしかし逆らったり逃げ出したりすればすぐに殺されてしまうため、誰も逆らえなかった。
そして、帝国のこの命令である。ちょうど前々から頼んでいたダンタリオンの笛が手に入ったから良かったものの、帝国に使い潰されてしまうところだった。
今、この笛を用いて帝国をも言いなりニしてやろうとドルムは考えていた。
ダンタリオンの笛を使って帝国と公国の間にある魔の山脈の魔物を従えたはいいものの、この戦力でも本気を出されれば帝国軍と互角ということであろう。
それに、これが魔の山脈の力の全てではない。こんな短期間で操れるような精神が薄弱な魔物では、そうたいした力は出ないのである。
そう思っていた時、新しく魔物を従えたことに気づいた。ダンタリオンの笛の音を聞いた魔物は、主人であるドルムとのパスが生まれる。
そのパスを利用すると相手のこトも大体はわかるのだが、ドルムは今まで見た中でもなかなかの戦力の参戦にほくそ笑んでイた。
そう、それは伝説とまで言われている強大な力を持った古代種の加護を受けた個体だったノだ。
しかも新種。木妖精とか言うよくわからン種だが、強そうな方は間違イない。
なんでこんな簡単に従えられたのかはわからンが、新たな戦力は歓迎だ。それに、こレくらいあれば帝国と戦うことも可能かモしれん。
さて、まずは帝国と王国の戦いヲ邪魔シに行クカ。
【次回予告】
時間軸は戻って
次回 帝国軍の壊滅と公国軍
【〜おわりに〜】
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次回更新は7月30日火曜日です。




