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"キョウ"運異世界創造誌  作者: up down
第2章 学園編1 揺れ動く1年生
81/102

2024七夕特別話 七夕だけどなんか違う!

《作者のつぶやき》

本日2話同時更新!

この話は1話目です。


え?いや、別に書き溜めしてから七夕に気づいたとかそう言うことじゃないし。違うし。(必死)

 日本を含めて、世界各地には様々な伝承が残っている。特に、何かの日に関連付けて記念日にしてしまう風潮がある気がする。

 特に日本人はほぼ毎日に何かしらの意味をつけている。たとえば5/9はアイスの日、6/16は和菓子の日といった具合である。


 しかし、そんな近代的というか、軽いというか、とにかく安っぽい物(偏見)とは一線を画す古くから続く記念日もあるのだ。


 その一つが、七夕である。毎年7/7に訪れる日であり、織姫と彦星についての話を知らない人はいないだろう。


 だが、それは異世界においては適用されない。当然、この世界にも7/7は訪れる。……春だが。地球換算で4月初頭に当たるのだ。

 そしてだ。この世界では7/7は桜の日である。

 ……あったんだ。桜。異世界に。


 桜の日は、日本で言うお花見のような物であり、桜を見ながらご飯を食べるのだが、この国では少し勝手が違ってくる。

 なぜなら、この国には桜の街であるチェイルがあるからである。なんでも、桜の名所ということで春の観光を利用して儲かっているらしい。

 桜餅だの、桜煎餅だの、桜ラーメンだのと、もう「桜」をつければそれでいいんじゃないかと思うものがたくさんある。


 ……ちょっと待てラーメンだと?この世界に来てから食べてないんですが。是非食べたいんですが。よし行こう。


 と、いうわけで早速やってまいりました桜の街。


「おいクルト!めっちゃいい匂いがするぞ!早く買いに行こうぜ」


「すごいニャ……こんなの初めて見たのニャ……」


 うんうん。みんな喜んでいるようで何より。あとロック?君はもう少し桜に気を遣おうか。


 さて、それはともかく本当にすごいぞこの桜。直径何十メートルもありそうな幹に、満開に咲き誇る桜。しかも八重咲き。高すぎててっぺんが見えないが、一面がたった一本の桜に埋め尽くされているのだ。感動物だね。

 いわく、「桃風」と呼ばれているらしいその桜だが、確かによく見れば風が吹いていないのに花が動いている。

 どう言う仕組みなのかは研究者でも分からないらしい。


 街を見渡せば、他にも様々な桜があった。咲いて散るのをずっと繰り返す桜や、色がグラデーションのように虹色の桜など。

 え?ピンクじゃない桜があるの?梅じゃないんだから……


 そしてだ。もっと驚いたのはここに七夕伝説みたいな話があるのだ。


====


 あるところに、一本の桜があった。その桜は、まだ芽が出たばかりで、ともすれば踏み潰されてしまいそうであった。

 その桜が芽吹いた土地の持ち主は、優しい人だった。その桜を大切に育て、自分が年老いて育てられなくなってしまってからは息子の青年に世話を託した。


 その青年は毎朝欠かさず水を与え、毎晩欠かさず桜相手に今日あった出来事を話した。

 それを、その桜は見ていたし、聞いていたと言う。


 ある日、彼の隣にとある女性が引っ越してきた。彼は、彼女に一目惚れしてしまった。何度も二人で話すうちに、彼女の方も次第に彼に惹かれ始めた。


 二人の仲は進展した。しかし、仲が良くなるにつれて彼は次第に桜の世話をしなくなってしまった。桜のことを、忘れてしまったのだ。


 桜は悲しんだ。それでも、いつかは再び世話をしてくれると信じて、彼がまた庭に現れるのを待っていた。


 ーだがしかし、彼はやってこなかった。


 桜は、自分が目立たないせいだと思った。だから、目立つようにしようとした。背を伸ばした。花を増やした。頑張って彼の目に止まろうとしたのだ。


 ーだがしかし、彼の目には止まらなかった。


 桜は悲観した。もう二度と、あの時のように彼に世話をしてもらうことはできないのだと思った。そう気づくと同時に、彼に対しての怒りが湧いてきた。でも、自分はこのまま朽ちていくんだとどこか諦めていた。


 ところが、天は桜を見捨てなかった。その桜に力を与えたのだ。桜は成長した。もっと背丈を伸ばした。

 その過程で、桜は自身を捨てた彼の家を飲み込み、彼と一緒に家の中にいた彼女を枝に引っ掛けて彼と引き剥がしたのだ。


 彼は悲観した。何度も桜の木を登って彼女に会いに行こうとした。だが、瞬く間に大きくなったその桜を周りの人は神木だと崇め始めたのだ。

 登る彼はたちまち引き剥がされてしまった。


 彼は、自分が桜の世話を怠ったせいだと理解した。それと同時に、もう一度世話をし直すことにした。そうして、しばらくの月日が流れた。


 桜の怒りは、次第に収まっていった。もともと彼に世話をしてもらえないのが不満だっただけなのだ。許してやる気にもなれた。


 だけど、一度成長してしまうともう戻れない。そして、木の上の彼女は降りることができなかった。

 彼が木を上るしかなかったのだ。


 そこで、その桜は花をつけた。登る彼の姿を隠すために。全体に咲かせるため、多くのエネルギーを消費するその花は1日しか咲かない。

 だが、彼が彼女の元へ会いに行くのには十分であった。その後、彼はずっと木の上で暮らしていると言う。彼女と共に。

 桜は一度つけた花を散らせたあと、毎年その日に花を咲かせる周期に入った。それは今でいう、7/7に当たるのだと言う。


 ーーその二人の名は、咲姫(さきひめ)彦森(ひこもり)と言うらしい。


====


 細部は違うものの、まあ似たような話である。特に、7/7にしか咲かないと言うのがポイント高いね。

 そして、実際にこの桜は今日1日しか咲かず、真夜中になると散ってしまうらしい。その散り具合は凄まじく、『最上の花吹雪』と呼ばれており王族や一部の有力貴族の結婚式などに使われるらしい。

 そして、この日のことは、『七花(たなばな)』と言うのだとか。……作った人との同郷感を覚えてきた。




 でだ。本当に様々な桜の名所があった。木のうろに潜む隠れスポットとか。

 見る角度によって近くのこれまた富士山のような綺麗な形をした山が桜をかぶっているかのように見えるスポットとか。

 いやー。本当にすごいね。ここ。


 それはともかく、そろそろ僕達を振り回していた女性陣も一通り満足したらしいので早速ラーメンである。


 見たところ、本当に中華料理屋っぽい店内をしている。問題は味だよ。大丈夫かな?


…………


…………



 ……ビミョー。


 いや、なんかね?確かにラーメンっぽいんだけど、例えるなら……そうだなぁ、うどん?みたいな感じ?なにかが違うんですよ。

 麺は麺なんだけど、それじゃない感が酷い。ふふふ。ここで僕が本当のラーメンを広めてみせるっ……!


そうやって新たな決意を胸に、僕達はチェイルをあとにしたのだった。

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