第七二話 トリック・トラップ
さてさて、早速罠を作りますか。
図書室の本に帝国に関して書いてあった。それによると強く多い軍にてゴリ押しするのが主な攻め方らしい。策は策ごと突破するというこれ以上ない脳筋思考だ。
調べたところ、30年前まではもう少し策らしい策を使っていたようだが、当時の参謀が国家反逆罪かなんかで殺されたらしく、それ以降参謀はただの懐を肥やすためだけの職になっているようだ。
なお、半分くらいはナビさんの情報である。
それを踏まえて罠を作ろう。まず、小手先の罠では罠ごと突破されるのは歴史が証明している。よって、できる限り無視できないような被害を相手に与えた上でこちらを守らなければならない。
先輩たちの中には防衛のための訓練をしたり学校を一時的に要塞に組み替えたりとしている。結構生徒会の自治が進んでいるようだ。
これで1年生にはその存在を隠していられるんだから凄いよな。
まず作るのはこちら。
その名も、「風船爆弾」である。日本が第二次世界大戦の時に米本土へ向けて放ったアレではない。
言うなれば地雷だ。結局罠ってのは設置型だから地雷が一番有効なのである。
まず、前提として【元素】のレベルが上がると創造する物の自由度が増える。
具体的には色や形状などである。
で、だ。
今回手に入れたのが、「時間差」である。つまり、創るタイミングをずらせるようになったのだ。
これによって、地雷の作成が可能になった。地球では地雷は禁止されているが、ここは異世界である上に、自分が作ったものはいつでも撤去可能なので、問題はない。
だが、これはすなわち一定座標に触れた兵を爆破するものであり、敵に被害を与えるとは考えにくい。また、味方が踏んでしまう可能性がある。安全装置はつけていて、敵が侵攻してくるまで外しはしないがだとしても安心はできない。
帝国兵と生徒を見分けられないかな……無理だな。うん。今の僕の力では多分むりだ。
これらのデメリットを覆すいい罠はないかなぁ……あ!そうだ。
困ったときは自然に学べ。これは我が家で代々言い伝えられてきた家訓で、意外と役に立つ。森の中から逃げ出す時とか、人に見つからないように行動する時とか。
そこで僕は思いついた。自然のトラップといえば、蜘蛛の巣である。つまり、細く見えづらく粘着性と強度に優れた物質を張り巡らせればいい。
強度を上げれば糸ノコみたいになるし、粘着性を上げれば動きを封じられる。とくに、動きを止められるのはでかい。
前の兵士が止まっていても、蜘蛛の巣は見えにくいため後ろの兵士は気づかない。よって、後ろの兵士は前の兵士を押す。すると、さらに引っかかる。
これを繰り返すことによって大量の兵士を1箇所で止めることができるのである。
蜘蛛の巣は火が弱点らしいので、周囲に僕の魔力でコーティングをしておこう。暇な時にナビさんに頼んでオートで鍛え上げている(邪道)僕の魔力はいまやかなり使い勝手が良くなっていた。
そうして、僕は学園のあちらこちらにトラップを張り巡らせた。なんでもこの世界、蜘蛛といえばただの虫としか考えておらず、蜘蛛の巣は気持ち悪いものというだけらしい。
蜘蛛の魔獣とかいないんだね。これはさらに帝国兵が引っかかるかも……!
【次回予告】
暇つぶしに狩りでもするか〜。って、ん?
次回 スライム・スタンピード……?
【〜おわりに〜】
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次回更新は7月5日金曜日です。




