第六八話 国王暗殺
ここは王宮である。帝国の侵攻が発覚してから、連日のように会議が続いていた。
「むぅ……やはり三手に分けての防衛がよろしいのでは?」
そう意見するのはハッシード・ランタンだ。この国の参謀を務めており、軍事に関しての第一人者である。
「そうだのう。その場合どうなる?」
リートロドル42世(頼りない国王)も、一応いた。影は薄いが。
「どの場合でも対応できると言う利点はありますが、やはり集中攻撃がくるとかなりきついです。何か良い対策があれば良いのですが……」
「大丈夫ですよ。きっと天の助けが訪れるでしょう!この国には神の加護があるのです!
まあ連携を密にするとともに冒険者ギルドに協力要請を出せばなんとかしてくれるはずですよ。
そう。天の御力は冒険者と共闘した時にあるのです。協力すべきと言う思し召しに他ありません!
帝国はギルドの存在を認めていないんですから自分たちの身を守るためにも戦うでしょう。
やはり神は素晴らしい!」
そう言うのはアムド総将だ。ゴブリンスタンピードを抑えた功績で大将から総将に昇進したのだが、あれ以来何故か言動がおかしくなっている。
立派な作戦を考えてくれる有能な部下なのだが、なんか変なのだ。
「う、うむ。そうか。で、ではその通りにするが良い。」
ちなみに宰相だが、ここの会議には出ていない。軍事で忙しい時に内政を代わりに行える人物として抜擢された……と言えば聞こえはいいが、実際には軍事の才能が1ミリもないからである。
なんというか、作戦がお粗末なのだ。「騎馬で突撃してドーンとやればいいでしょう!」とか言うが、そんなことをすれば盾や柵などで止められるのは明らかである。
内政はこれ以上ないほどできるのだが、うん。まあ、ねぇ。
そうして、会議を繰り返して流石に疲労が溜まった国王は休むことにした。読みたい本があったのである。
日も沈み、少し喉が渇いたと思った国王は飲み物を持ってくるよう人を呼んだが、あいにく誰もいなかった。
いや、いなかったと言うのは語弊だろう。国王は重要人物である。しっかりと護衛がついているし、何か要望があった時に叶えられるよう侍女もついている。
では何故返事がなかったのか。答えは簡単だ。誰もいなかったからである。
……この世に。
不思議に思って振り向いた国王は愕然とした。護衛となっていた近衛騎士は冒険者で言えばZランクはある。国王の護衛なのだ。半端なものはつけられない。
とは言っても現在帝国の侵攻に備えて国民の暴動を防ぐためそこそこの量の近衛騎士が出払っていたので、ついているのは性格には難がある者だったが。
だとしても実力は十分だったのだ。そう。そのはずだった。
なのに、その護衛が首なしで立っていた。
……立っていたのだ。首だけがない状態で。国王は読書に夢中になっていて気づかなかったが、ものすごく静かにこの護衛は殺されていた。恐らく、自分が死んだことも気づいていなかっただろう。
Zランク相当の騎士が、だ。その時点で大抵の者は相手にならないだろう。
一般に、ランクが一つ上の相手なら逆転のチャンスもある。二つ上でも善戦はできる。三つ上だと傷つけるくらいが精一杯だ。だが、気づかないレベルとなると七つは上になる。そんなもの、かつての大英雄と同レベルだ。
そのような相手がいるならば、かの厄災であるシェイクキングと同等の扱いを受けるだろう。
大英雄の力を持ってしても封印しかできなかったのが9厄災なのだ。まあその大英雄の封印を再現した王宮の封印術師も凄すぎるのだが。
侍女も死んでいた。こちらも首がない状態で。
国王のお気に入りであり、戦争前に景気付けと抱くのが楽しみだったのだがすでにこの世にはいない。
現状を理解した国王が絶叫したのも無理はないだろう。
そして、その瞬間は唐突に訪れた。気がついたら、自分の体を見ていたのだ。その体には首がなかったが、自分の体だった。何故こんなものが?と思う頃にはすでに意識は闇に包まれかけていた。
「ふふふ。これで大丈夫ですね。それにしても混沌ですが。いいことを言いますね。ふふふ。楽しくなってきそうです。」
国王が最後に見たのは、黒ずくめの謎の男だった。
【次回予告】
次回
【〜おわりに〜】
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次回更新は6月26日水曜日です。




