第六六話 公国の思惑
《作者のつぶやき》
ところで、梅期大改稿と言っておきながら今週でようやく梅雨入りという事実(^^;)
今年は梅雨が遅いみたいですね。ちなみに私は雨は大っ嫌いです。
ぬれるのやだ。
濡れるし。
冷たいし。
ここはアラムスタ公国。この地を支配するヨルグ=アラムスタは信頼できる重鎮のみで密会を行なった。
「リートロドルに攻め入るなど……お、恐ろしい。帝国はどうせ我らを使い潰すつもりであろう……ううう……この恐怖はいつ終わるんじゃ……」
そう呟くのはこの国の中では最も偉いヨルグ=アラムスタである。
この国は20年前に帝国によって攻め落とされ、属国とされている。その時に抵抗した故アラムスタ皇国の貴族たちは一族郎党皆殺しになった。
彼はその恐ろしさに勝てず、属国の地位に甘んじている。
「王よ、だから言ったのです。教国を頼れと。そうすればこうはならなかったでしょう。」
そう言うのはこの国の大司祭、ドルムである。帝国に対して面従腹背の姿勢を保っており、公国が属国となったことで教会は取り壊されて帝国の宗教へと変える宗教弾圧が起きたものの、屈さずに水面下で独立を企てている一派であった。
「ドルム大司祭よ。それはいかがなものか。あの帝国であるぞ。教国と王国、海洋国が組んでやっと互角というものでしょう。」
そう唱えるのは元宰相だったジルである。帝国との交渉も行っている文官だ。
「そ、そうだそうだ。あの帝国ぞ?そう簡単に倒せはするまいて。」
この国王も愚帝ではないのだが、いかんせん在位の時期が悪かった。平時ならば問題なかったであろうが……
〜〜〜〜
「ええい!ばかばかしい!」
そう叫ぶのはドルム大司祭である。
彼は家にいた使用人(奴隷・法の穴をついて賄賂を送ればギリ合法と看做されないこともない)を苛立ち紛れに殴りつけた。
「何が帝国じゃ……あんなもの神に裁かれればいいのじゃ!」
その前にまずお前が裁かれて欲しい。それがこの屋敷の使用人たちの共通の思いだった。
もちろん口に出すとどうなるかは赤子でもわかるようなことなので、影でも誰も言わないが
そのとき、ドアをノックする音が聞こえた。
「なんじゃ?わしは今苛立っておるんじゃ。あとにしろ!」
「そ、それが……」
「うるさい!わしの言うことが聞けんのか!」
言いながら使用人を殴りつけ、外に出ると……
「お、おお。これはこれはビーブル殿ではないですか。どうぞどうぞこちらへ」
その男の姿を見た途端、態度が1260度くらい変わった。なお、1260度は3回転半を表す。
彼はこの辺りを拠点にした闇商人で、ドルム大司祭と懇意にしている取引相手である。
貴重なアイテムを扱ってくれるため、重宝していた。
「ニヒヒヒヒ。ドルム様、ご機嫌麗しゅう。しかし、とうとう見つけましたぞ。」
「ほ、本当か?よ、よくぞやった。金は払う、現物を見せてくれ!」
「ニヒヒヒヒ。これぞ伝説の悪魔の笛ですぞ。これにはいかなる相手も操ることのできる魅惑の悪魔、操人魔が作ったとされる至高の一品です。」
「はっはっは。流石だ。必ずしも見つけてくるというお主の言葉に嘘はなかったのだな。」
「ニヒヒヒヒ。私、嘘は絶対に吐かないので。その笛に関しても言ったとおりの効果があることを保証しましょう。」
「ふははは。これであの忌々しい帝国ともおさらばよ。
この力を使えば逆に帝国を支配してやることもできよう!あの皇帝の泣きっ面を早く見たいものよ。ハーッハッハッハ!」
ドルム司祭は、浮かれに浮かれていた。そのせいで、その笛から出るわずかな闇に気が付かなかったのかもしれない。
聖職者であるドルムなら、気づけたはずだろう。だが、長年の属国状態への不満と、戦争に駆り出されるかもしれないと言う焦りから注意力が散漫になっていたのだろう。
「それではドルム様。私はこの辺で。上手くお使いくださいませ。」
「うむ。わかっておる。今後もよしなに頼むぞ。」
そう言ってドルムに代金とチップ(使用人の給料1年分)を渡されたビーブルは帰って行った。
その顔に、ドルムに見えないようにニヤリとした暗い笑みを貼り付けながら……
【次回予告】
そのころ、教国
次回 教国の思惑
【〜おわりに〜】
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次回更新は6月21日金曜日です。




