第三話 状況確認は大切だ
産まれた。
それだけがわかった。他にも何か大事なことがあったような気がする。
思い出せない。
生後1ヶ月。
井上康史、運が悪い、ジャンケン、熱中症。
なんだかよくわからない言葉が浮かんでくる。
生後2ヶ月。
神様、精神世界、転生、強運……?
「はっ!」
思い出した。
どうやら生まれてからだんだんと脳を転生前の状態まで成長させたらしい。
夢じゃなかったのか……
まあ今更嘆いていても仕方ない。まずは現状把握だよね。
辺りを見回すと、自分はベビーベッドのようなものに寝ているようだった。鏡があったので覗き込むと、完全な幼児になっている。茶髪黒目の普通の子供だった。
かなり粗末な家。農民かそのあたりの身分のようだ。
「ステータスとか見れないのかな」
空間に念じてみる。
ヴゥン
ほ、本当に見れたよ。
唸り声をあげて本のようなものが出てきた。
開いてみる。
1ページ目にはステータスが書かれていた。
【名前】 クルト
【種族】 人間
【年齢】 0歳
【才能】 創造
【レベル】 1
【経験値】 0/10
【体力】 1000/1000
【スタミナ】 1000/1000
【魔力】 1600/1600
【スピード】 1000
【攻撃力】 800
【知力】 1500
【防御力】 800
【運】 ∞
【スキル】
キョウ運、自動回復、???、ステータス改ざん、鑑定
【称号】
転生者、神に認められたもの、運命神の加護
比較基準がないからわからん。けど運∞てなんや。おい。神様?いやめっちゃ嬉しいけど!雑くないですか?
ふー。一旦落ち着け。
次のページを見てみる。
【創造】
【元素】ーーーー【??】
|
【18族】【??】
スキルツリーである。
で、それはいいのだがなぜに化学?僕は確かに高校時代には物化生地全ての部活を兼部するというスーパープレーをしていたが。
それにもっと言うとなんで最初が18族なんだ?あれか?反応しづらいからちょうどいいってことか?
でも反応しないと言っても量によっては酸素濃度が下がって窒息することもある。
決して安全なわけじゃないんだけど……神様わかってるよね?大丈夫だよね?
次のページを開ける。
【元素】 【レベル】1 【経験値】0/100
【18族】 【レベル】1 【経験値】0/100
ほほう。経験値が必要なのか。使っていればたまるかな?
次のページはメモ帳だった。念じると書ける。雑念は反映されないようで、使い勝手がいい。
その後のページは全て白紙だった。でもメモのような機能はなかった
最後のページに何か書いてある。
「クルト様
この度、この世界にいらっしゃったことを歓迎します。
この本はあなたの仲間か天上人のみに見える魔導書です。
なお、ご要望の「キョウ運」ですが、漢字が読めなかったので「キョウ運」としています。
ステータスもキョウ運に従って決めておりますのでご安心ください。
なお、言葉は通じます。魂の界転送時におけるテストケースで定められた条件による物です。
それでは、異世界をお楽しみください。
運命神」
…
>神様は馬鹿だった
ものすんごい適当にきめてた。いやなんでわざわざカタカナにするの?ちょっと何考えてるかわからないですー。
ん?ちょっとまて。「漢字が読めなかった」っていうことはなんか漢字があるってことか。で、それが読めなかったから仕方なくカタカナにしたと。
うーん。その漢字ってなんだろう。めっちゃ気になる。
もっと言うとなに?その言葉が通じる?ご都合展開?
ー彼は知らなかった。魔導書のカバー裏に「なお、転生者はとても強いステータスやスキルを持って生まれます。また、転生者を含む一部の生物には成長限界がありません。」と書かれていたことを。
ー彼は少しも考えなかった。この世界の仕組みを。
ー彼は疑わなかった。この魔導書に書いてあることを。隠された情報に、気づきもしなかった。
元素元素言ってますけど、実のところ化学ばっかりじゃないですよ。今は化学要素が強いってだけです。
文理関係なく楽しめるように書いていくつもりなので、是非楽しんでください〜(o^^o)
【〜おわりに〜】
今日も「キョウ運」をお読みいただきましてありがとうございます。
下にスクロールしたところにある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎をタップしたり、右下にあるいいねボタンを押したりしてくれると作者のやる気が上がります。
また、ご意見、ご感想、誤字脱字報告など受け付けておりますのでなんでもお気軽に書いてください。
次回更新は12月8日金曜日です。