第一七話 受験(中)
「え、えーと、じゃあ次は筆記試験です。どうぞ、会場Bへ移動してください。」
……こころなしか案内の人が丁寧になった気がする。気のせいだろう。
案内人の顔がこわばっているのも……気のせいだろう。
気にすんな気にすんな!気にしたら負けだ!
さて、筆記試験に関しては毎年全く違うタイプの問題が出るため予測は不可能と言われている。
しかし、ナビゲーションを持つ僕からすれば簡単である。
試験は個室で行われるため、覗き見はないのだが。
全く部屋を贅沢に使うよね。余ってんのか?
なお、部屋にものは持ち込めない。事前に鉛筆やら消しゴムやらが用意されていて、そこに置かれているものだけが使えるのだ。資源の無駄遣いとかじゃないんかな。予算食いすぎなんじゃないの?
さて、全く知らない知識問題はナビさんに任せて思考系の問題を解く。僕はレポートを一生AIにやらせなかった人なのだ。このタイプの問題は自分で解くと決めていた。
……頭が固いって?うっさいうっさい!
問題は基本的な読み書き、計算と地理歴史だけである。計算で四則演算しか出なかったのには笑えた。
地理歴史は流石にナビに任せたが。
【問】
ダンジョンに潜った帰り道、戦闘中の冒険者を発見した。どうやらやや苦戦しているように見える。あなたならどうするか。
こういうあなたはどうするか系の問題が多かった。やっぱりナビに聞かずに解いた方が良さそうだ。
【答】
もし、自分に余力があり、加勢して自分が不利になることが一切ない場合に加勢を検討する。この時に一度相手に同意確認を行い、相手が助けを求めた場合に限る。ただし、相手が助けを求められないレベル(気絶、瀕死等)の状況の場合は同意を待たずに助ける。
多分こんなもんでいいだろう。わざと苦戦しているふりをして助けてもらったところを「これから秘密兵器を使う予定だったのに獲物を取られた」と言われてはこっちが損することになる。また、正義感で人は生きていけない。自分がボロボロの時に助ける気にはなれないのだ。って昔村の警備担当の人が言っていた。
他にもこんなタイプの問題が数問あったので、全て解いておいた。
で、時計を見たわけだが……左手をナビさんに任せて知識系を解き、右手を自分で考える系の問題に使ったせいで50分(地球換算)の試験時間が35分(地球換算)余っている。
仕方ないから試験管を呼んで聞いてみたら、
「あ、そうですか。なるほど。ええ、では、えーっと、はい。わかりました。実技試験に進んで良いですよ。」
はじめのは何?めっちゃ気になるんだけど!とにかくまあ……次に進むのか。そう思って部屋を出て歩き始めたところに試験管のつぶやきが聞こえた。
「はぁ、なんなのあの子。すごい子がいるって聞いてみれば15分で終わりとかどうせ全然わからなかったんだろう。なーんだ。ただ単にちょっと特殊な才能持ってるだけかぁ。あ〜あ期待外れだったな〜。」
あ、勘違いされてる。僕全部といたんだけどな〜。とは思うがもうすでに案内の人に連行され次の会場に向かっているので、誤解を解きにいけない。まあ、いいか。そのうち誤解も解けるっしょ。
別に他人どう思われていようと僕は僕だからそれで満足だ。




