第一五話 がっ…こう?
さて、今年は人間歴6538年である。今年は僕が学校に行く年なのである。まさか学校なんてものがあるとは。こんな文明レベルが低そうなのに、異世界……侮りがたし!
このリートロドル王国は、子供は国の宝という方針のもと義務教育が徹底しており、6歳から子供を学校に通わせることとなる。学校は1領地につき1つあり、領主が管理する。すなわち、学校は学びの場であるとともに領主の教育に対する熱意を表しているのだ。学校を見れば領主がわかると言う人もいる。
本当に異世界?あれかな?前に転生者がいたとかかな?いやでもそれらしい記述がどの本にもないんだよな。誰かが広めたとしたらそういうのがあるはずなんだけど。
もっともそれらしかったのが初代国王であるのだが、伝記を見ているとどうにも元日本人ならもっといいやり方があるとしか思えない記述があるのだ。
どう見ても大砲にしか見えない図の横に、「国王はこれに何度も敗戦した」とか書いてあるのだから。
船の建造技術もなんか変だ。文明レベルはあれだが、職人はしっかりしているし、材料も豊富にある。たぶん設備と知識さえあれば1800年代くらいまではレベルをあげられただろう。なのに現代人からすれば稚拙としか言いようがない船しかないのだ。
うむむむむむ。謎だな。
学校には種類がある。一般生活に最低限必要なことを学ぶ初等学園、魔法や武術などの特化した物を専門的に学ぶ中等学園、多くの事柄を満遍なく学ぶエリートクラスの高等学園の3つである。年齢とかではなく、能力で区別されているのだ。
このヘルシオス領にはアーデミル初等学園、ノルマール中等学園、ヘルシオス高等学園の3つである。王都にはもう一つリートロドル最高等学園というものがあるのだが。ちなみにエリンとロックは才能の試験結果から自動的にリートロドル学園になった。
一般生は受験会場でもう一度神眼の儀を行いそのあと筆記試験、実技試験が有る。神眼の儀といえばあの……いやなことを思い出すな。てか大丈夫か?また割るんじゃないか?
いったいどうすれば……力を緩めたらセーフかな?
何で割れたのか全く分からないんだよな。あれ以来身近なところで何か困ったりはしていないから。むむむむむ。
それはともかく、これから受験である。
「それじゃあいってくるね」
「がんばってきなよ」
そんな風景があちらこちらで見える。
日本の受験戦争を潜り抜けたものからすると随分と軽く感じる人もいるかもしれないが、これは学校に行けるかを決めるというよりどの学校に行くのかを決めるテストであるからというのが正しいだろう。成績で合否が決まるのではなく学校が決まるだけなのだ。そんな硬くはならない。
僕の受験番号は358番である。いま350番の人が行ったのでもう直ぐだ。
待っているのも暇なので、今僕は色々な物を作っている。
そう。異世界での定番であるリバーシ…ではなくトランプである。リバーシは何故か元々あった。
サイズが微妙なので今色々と改造しているところである。
トランプは一つで遊び方が無限大だ。ババ抜き、7並べ、大富豪……
僕の運の数値も∞だから縁担ぎみたいなものである。
紙はセルロースを大量につなげた(C6H10O5)nで表せるため、作れるのだ。もう製紙産業で生きていけるね。うん。
作っているうちに僕の番になった。さあ、行こう。またあの時みたいにならないといいなぁ。
クルトは警戒心が薄い。日本で暮らしていたのも原因の一つだが、より大きな原因はすでに敵となるような相手が身近にいなかったからでもある。
ーーだから、クルトに向けられた粘つくような視線に気が付かなかったのだろう。その視線に脅威を感じなかったからというものもあるが。




