第一二話 神眼の儀(下)
パリンー
「「「「え?」」」」
【才能】鑑定不可
【ステータス】N
なんということだろうか。触っただけでぶっ壊れてしまった。普通ガラスが割れると鋭利な刃物が出来上がるのだが、細かく割れすぎてサラサラになっている。もうこれは砂だよ。
え?待って?これどうなるの?変人として殺されたりはしないよね?
あ、風で飛んでった。
うーん。やっぱりかー。ナビさんが言ってたんだよね。僕の才能は謎が多いって。
で、それはともかくステータス!何よNって!普通に考えたらめっちゃ弱いことを表しているみたいになるけど、そうじゃないだろ!ぜったいGとかHとかより先に行かないから!
normalか!?naturalか!?絶対違うだろ!
はあはあ。
「なんということだ。あの大勇者メテアス様すら渾身の魔力でヒビをつけるのが精一杯だったのに…」
「しかもあれはレベルを最大まで上げた場合ですよ。」
「ありゃいったい何もんなんじゃ?」
神官たちが何か騒いでいるような気がする。
ナビ:提案。彼らのセリフを再生しますか?
《あー。だめだめだめ。聞かなかったことにするから。》
はあ。現実を認めたくない!現実逃避行!
「え、えー神眼の宝玉が壊れてしまったので続きはまた後日行います。まだ鑑定を受けていないものは明日お集まりください。」
神官はとりあえず解散することにしたそうだ。
で、解散というので僕が帰り始めるとエリンがやってきた。
「くるとつよいの?」
「いやいやそんなことないよ。ちょっと狩りができるだけだよ。あれも多分故障とかじゃないかな。ははは。」
クルトとしては、なんとかして誤魔化そうと必死なのである。だがしかし。
普段から変なスキルを使っている様子を見ている村人は、それが故障ではないのではないかと薄々疑っていた。
それもこれも、クルトが教育水準の低い村人をどこか侮っていたからであろう。
この国では一応義務教育はあるのだが、高等教育となると村には受けていない人がほとんどである。日本でいう「中卒」というやつだ。
でも、高校に行っていなくても成功している人物はたくさんいる。それは歴史に記された事実である。
教育が行き届いていないだけ野性の勘というようなものが研ぎ澄まされている村人たちの観察眼は意外と鋭い。
完全に、舐めていたら痛い目を見たというクルトの慢心が生み出した結果であった。
「じゃあかりみせて!」
「ん、別にいいよ。」
見られて困るものではない。
すると、エリンの父親のグースがやってきた。
「エリン。危ないから家にいなさい。」
「えー。みたいよー」
そこにルダンが助け舟を出す。
「私がついていきましょう。うちの子の狩りも見たいので。」
そうなんだよな。放任主義というかなんというか、狩の様子見に来たことないんだよな。
まああれかな?子供と大人は住んでいる世界が違う的な何かかな?
地球での生活に慣れている身からするとちょっと寂しいんだけどね。
「まあそれなら…いいか」
「やったー!」
そんなこんなで3人で狩りに行くことになった。子供には見られてもごまかせるいいけど大人に見られるとまた面倒なことになりそうだな……
対策考えるか……
〜〜〜〜
その日、神官たちは既に鑑定が終わった隣村から神眼の宝玉をとってきた。
「しっかしなんなんだ?宝玉が壊れることなど今まで一度もなかったぞ。」
「わかるもんか。いま魔通玉で上司に連絡をとっている。けどそんな話聞いたことないよな。」
「え?魔通玉つかったの?」
「いやどう考えても緊急案件だろこれ。」
「そうだそうだ。しかも壊れただけでなく粉々になったんだぞ?信じられるか?」
「でもこの目で見たしなあ。」
「お、上司から連絡だ。」
…………
「戯言を言うなって怒られた。」
「わかる気がする。」
「俺が上司でもそう言うな。」
「はぁ。とうする?内容まとめて国に報告しなきゃならんが。」
「もうなんでもいいよ。ステータスはDぐらいにしとこ。どうせ学園で測るんだし。」
「ま、そだな。」
こうしてクルトの知らないところで情報の改竄が行われたのだった。
【〜おわりに〜】
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次回更新は12月31日日曜日です。




