第一話 エピローグ
コンビニからの帰り道、公園によると小学校低学年くらいの子供たちが鬼ごっこをしていた。
鬼ごっこ。
それ自体は嫌いではない。だが、その前に鬼を決めるジャンケンがある。だから嫌いになる。
僕はジャンケンが嫌いだ。なぜなら、僕は運がとても悪いからだ。今まで一度も勝ったことがない。
僕は、とても運が悪かったのだ。
福引きは必ずハズレ、席替えは最も嫌な席、道を歩けば転び、図書館の本は貸し出されている。
なぜこうなったのかは全くわからない。「運が悪い」だけでしか説明できないことが頻繁に起こる。病気にもなるし、事故にも遭う。電車早く遅延するし、外での用事がある時は雨が降る。
今日もせっかく休みが取れたのに観測史上初の猛暑。つくづくついていない。
このせいで就活にも失敗し、毎日ギリギリの生活。
運が悪いことを理由に学校ではいじめられっ子だった。
運動はできたが運が悪いので大事なところで転ぶ。それでいつもバカにされていた。
でも不思議と勉強はできた。
誰だったか人の能力を平均化するとどんな人でも必ず同じになると言っていた人がいた。その人によると、何か凄い特技がある人は、同じくらいの欠点があるという。
それが本当だとして、この凶運に釣り合うだけのものが僕にあったとは思えない。
何がダメだったんだろう。神様がいたとして、罰を受けるようなことはしていないはずだ。少なくともこんな罰は。
犯罪歴もないし、親不孝でもなかった。それに生まれた時からこんな感じなんだから……生前がダメだったとか?
ここまで運が悪いともう世界の全てを恨みそうになるものだが、不思議と僕はそうはならなかった。
運が悪くてもギリギリ日々の暮らしができ、不運だなぁと思うだけだったからだろう。
どこかしょうがないと諦めていた気持ちがあったのかもしれないし、運が悪いというのがどこか抽象的なものだからなのかもしれない。
そもそも、運とはなんなのだろう。確率論が正しければ、運の良し悪しなんてものは存在しないはずだ。誰がやるにしろ、その事象が起こる確率は等しい。人によって結果が変わるなんてことはあり得ない。
なのに、実際に凶運な人はいる。強運な人もいる。ただ単に良い・悪いというならその場限りのことだと流せるかもしれないが、僕のようにいつも悪い人もいる。反対に宝くじを買えば必ず当たるような人もいるのかもしれない。
一体、運とはなんなのだろうか。
そんなことを考えながら歩いていると、いつの間にか家についていた。ここで、鍵を無くしたことを知る。
慌てて探し回り、やっと見つけた頃にはもう15:00を過ぎていた。
少し眩暈がすると思いながら家へ向かう。しかし、途中で足に力が入らなくなる。
熱中症ー
そうだった。鍵を探している間一度も水を飲んでいなかった。
すぐにそう思った。だが、それだけではなかった。上から工事現場の資材が落ちてきて足を潰していたのだ。
本当に運が悪い。なんで僕が通った時にちょうどよく落ちてくるのか。
意識が遠のく中で、考える。
ーもう少し運が良かったらなぁ と。
そして彼、井上康史は死んだ。
【〜おわりに〜】
みなさん初めまして。
初小説ですのでグダつくかもしれませんがどうぞ最後までお付き合いください。
更新頻度は1週間に3回。日曜日・水曜日・金曜日です。
もし更新が途絶えても3ヶ月以内には何かしらの連絡をするつもりですのでもしそれ以上開いた場合は多分死んでます。もしくは入院とか。
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次回更新は12月3日です。