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この歌声(こえ)君に届け  作者: 水乃琥珀
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グループ発表 #8

ルーカス目線 入ります。

  〜♪〜〜♪♬〜〜


  本社ビルの一階入口付近で、ルーカスは鼻歌を歌っていた。

  過去一番、気分が良いといっても過言ではない。




  歌手になりたい―――そう本気で思ったのは、十八歳の時。他の候補生と比べたら、スタートから出遅れていた。

  アルバイトで稼ぎながら、ヴォーカルレッスンに通う日々。

  受けるオーディションは、どこの事務所にも ことごとく落選。

  自分には、歌手という夢は無理なんだ。

  早く諦めて、違う道を探そう。


  そう、何度思ったことか。

 

  次に落ちたら、やめよう。

  次こそ、最後にしよう。

  何度も決心したはずなのに、踏ん切りがつかなくて。

  DHEオーディションの帰り道、一人の女性スタッフに声をかけられたのが、人生の《転機》だった。


  難関と知っていながら、DHE MUSICのオーディションに参加し、当然だが落選した。

  もう、いいかな。

  これ以上 続けたら、立ち直れないかもしれない。

  逃げることばかり考えて、周りが見えなくなっていた。

  自分の武器である《笑顔》まで、失いかけていて。


  そんな情けない姿に、その女性スタッフは―――

  『やり切ってから 諦めても、遅くはないよ』


  そう、言ったのだ。


  無責任ともとれる言葉だが、その時の自分は 雷に撃たれたような衝撃を受けた。

  本当に、やり切ったのか?

  やり切っていないから、こんなに未練が残るのではないか?


  『もし、まだ挑戦する気があるなら、参加してみない?』

  そう言って、手渡された一枚の用紙。

  DHEが主催の、無料ヴォーカルレッスンの案内。


  そこから、自分の再挑戦が始まった。


  DHEが開く 一般スクールなど、誰でも参加できるものは すべて参加した。

  オーディション生、訓練生が集まる場には、必ず あの女性スタッフがいて。

  彼女は 自分のことを覚えてくれていて、気付くと声をかけ、色々なアドバイスをしてくれた。


  オーディションに落選しても、不思議と前ほど 辛くは感じなかった。

  まだ、自分はできる。

  まだ、やり切ってはいない。


  やり切った、と。 自分が思えるまでは。


  大型プロジェクトの、第一期、第二期。

  連続して、落選。特に 第二期は最後まで進めたからこそ、これまでで一番 悔しくて、泣いた。


  涙が出なくなるほど 泣いて、泣いて。

  あぁ、今度こそ、本当に 終りなんだ。


  やり切ったはずなのに、悔しさが消えなくて。

  やっぱり 諦めきれない―――持て余した気持ちを、どこにぶつければいいのか。

 

  わからなくなって、フラフラと駅前をさまよい歩き。

  糸の切れた風船のような、抜け殻状態の自分を 現実に戻してくれたのは。


  『電話に出ないから、心配してたんだよ! よかった、出てくれて!』

  着信履歴が消しきれないほど 電話をかけ続けてくれた、またもや あの女性スタッフだった。


  『………落ち着いて聞いてね? プロジェクトの第三期が開催されます。今度は、誰も 落とさない。そんなオーディションにするから』

  だから。 まだ、気持ちが残っているのなら。

  『合宿とかレッスンとか、これまで以上に厳しいだろうけど』

  今度こそ、デビューしよう。プロになろう。

  君が参加するのを、待ってるから―――。



 

  そうして、今。

  第三期の候補生として 迎えられ。

  ついに、STELLAステラ LOVEラヴ HAPPINESSハピネスという最高のグループの一員として、デビューへの道が見え始めた。


「………思い出してみると、ちょっと涙出てくる」


  あの女性スタッフ――――――そう、奏良そらがいなければ。彼女と出会わなければ。


  中途半端なところで尻尾を巻いて逃げた、ただの負け犬になっていただろう。


  自分にとって、彼女は文字通り《特別》な存在だ。

  恩人とか、軽々しく言葉で語れるものでもない。


  笑顔を忘れずにいられたのも。

  悔しさをバネに頑張ってこれたのも。

  悲しみから立ち上がれたのも。


  すべて、彼女がいたから。

  感謝しても しきれない。

「その奏良そらさんと、同じグループなんて……」


  夢を みているようだ。

  これが夢なら、永遠に目が覚めなくてもいい。

「………ハァ」

  奏良そらさんが歌った オーディションの五曲、すごかったなぁ。

  自分もいつか、あんなふうに歌えるだろうか?

「いや、歌えるようにならなきゃ」


  何度転んでも、這い上がる。不屈の精神。

  長所は、発揮してこそ意味がある。


「あ」

  エレベーターから降り、周囲を見渡す奏良そらを発見し、自然と笑顔がこぼれる。

  ずっと前から 知っていた。

  候補生の中では、自分が一番 付き合いが長い。

  ただ、それは候補生とスタッフ、という立場での話だ。

  これからは、同じグループ、同じ道を歩いていく《仲間》になるのだ。

  どんな道になろうとも、楽しみでしかない。

  だって。

  きっと、この先。

  彼女がいれば、自分はいくらでも強くなれる。


奏良そらさーん! ここです!」

「ごめん、遅くなった!」

「大丈夫ですよ、アニキたちも、お店探すのに時間かかったみたいで」


  こだわりの多い おりと、選択に時間がかかる のんびり屋の春音はると、その二人に振り回される 不憫なみこと

  会話までが 想像できてしまう、楽しいメンバーたちだ。

「ここから お店まで十分くらい歩きますけど」

「ありがとう、じゃあ行こっか」


  こんなふうに、並んで歩けるようになるなんて。

  今すぐに、叫び出したい。

  世界のすべてを手に入れたような気分だから。


「あ、電話かかってきた……もしもし、みことくん? うん、ルーくんと、今から出るところ……あぁ、おりくんが早くしろって? うるせぇ、すぐ行くから 大人しく待っとけ、って言っといて!」

  乱暴な言葉使いでも、下品になり過ぎないところが不思議だ。毒づいても 可愛いなんて。


  地味な見た目をしていた時から、ナチュラルな人柄の良さに みんなが好感を持っていた。

  今日も、女性だからと 当たり前に待っていたのだか、正解だったかもしれない。


「リーダーが 空腹で暴れてるって。早く行かないと、末っ子くんが犠牲になっちゃう」

「それはマズイ。じゃあ急ぎましょう!」

  大幅にイメチェンしたのだ、周囲が放っておかないだろう。街を歩けば、きっと誰もが振り返る。


  奏良そらさんは、一人で歩かせない方がいいな。アニキたちにも協力してもらわなきゃ。


  ルーカスが密かに決意した、そのすぐ後。


  自分の判断が間違えではなかったと、別の意味で痛感するのである。


*  *  *  *  *  *  *  *


  視線を感じる。

  ビルの入り口を出てすぐに、ルーカスは気が付いた。


  時刻、二十時半。

  辺りは街灯が点灯しているが、影になった場所は当然 暗い。


  自分の身長は、百七十ニセンチ。男性として、そんなに高身長というほどでもない。

  ただ、外国の血が流れているせいか、恵まれた容姿とスタイル。

  両親に感謝するべき ビジュアルの良さは、しばしば周囲の視線を集めてしまうから、そのせいかもしれない。


  しかも、今は 奏良そらが一緒だ。

  彼女もまた、今朝とは一転して、目立つ容姿をしている。

  男女の組み合わせでは 絡まれる確率が上がるから、特に気を付けなければ。

  そう思った矢先―――――。


「…………………」

「!」


  どこからか、人が前に立ち塞がる。


  逆光でよく見えないが、背格好からして 間違えなく男だろう。

  スボーツブランド名の刺繍されたキャップを目深に被り、顔の判別はつかない。


  ―――何だ?

  ただの通りすがり?

  知りあい?

  変質者?

  様々な予想が、頭の中を駆け巡る。


「………………奏良そらさん」


  小声だが、ハッキリと聞き取れた。

  その声に、奏良そらは身体を固くする。


  …………奏良そらさんの知りあい?

  それにしては、表情が険しい。

  迷惑な相手? 付き纏われている?


  この場で 彼女を守れるのは、自分だけだ。

「……奏良そらさん、急ごう!」


  奏良そらの手を掴み、いっきに駆け出す。

  

  不審者を通り過ぎて、ちらりと振り返った時。

  街灯の光が当たり、一瞬だけ相手の顔が見えた。

  自分の記憶が確かならば―――――


  『PHANTOM』のメインヴォーカル、壱哉いちやだったのだ。


*  *  *  *  *  *  *  *


  決起集会という名の、メンバーとの 初の食事会。


  全員が成人しているからと お酒が入り、場の雰囲気もイイ感じに出来上がっている。


  お手洗いに―――と言って奏良そらが席を外したのを見計らって、ルーカスは 先程の《事件》をメンバーに打ち明けた。

「………って事があったんですよ」

「……マジで?」

「それって、待ち伏せってことですか?」

「多分、そう。……ビルの入口出てからすぐ、視線を感じてたんですよね」

「…………本人は、何て言ってんの?」

奏良そらさんは………」

  大丈夫、何でもないよ。

  少し困ったように、笑うだけ。


「本人がそう言ってるってことは、触れられたくないコトなのかもしれないだろ」

  他人が、簡単に首を突っ込むべきではないかもしれない。

「いい歳した大人なんだから、いろいろ あるんじゃないの?」


  おりの冷静な発言も、一理ある。

  でも――――

「………奏良そらさん、《彼氏》いないんですよ!?」

「!」

「!」

  ルーカスの言葉に、みことおりが同時に吹き出した。


「お前っ………いきなり何を言い出すんだよ」

「だって、知ってます!? 奏良そらさんてば、ずーっとサポートスタッフ続けてきて、それこそ寝る間も無いし、泊まり込みとか 徹夜続きとかで!」


  仕事が恋人。

  若いのに勿体ないよね―――他のスタッフから、常に言われていたのだ。

「そんな奏良そらさんが、ワイドショーみたいなことになるなんて、絶対 想像できないんですもん!」

「お、落ちつけルーカス! お前、声がデカいんだから」

  生まれ持った声の大きさが、アルコールが入ったおかげで割増されている。

「………で、結局 何が言いたいんだよ?」

「アニキ、思い出してくださいよ。PHANTOMって………今はホライゾン所属ですけど」

「………あ」

「………デビューしたのは」

「DHE MUSIC……ウチか」


  同じDHEなら、奏良そらと何か接点があっても不思議ではない。

「それに、一時期 噂があったじゃないですか。移籍した直後……」

  一身上の都合での移籍。その影では『スタッフとのトラブルがあったからではないか』、と。


「そのトラブルに、奏良そらさんが関係してるって?」

「バカ、お前 ワイドショーの見すぎ」

「でも、だって! さっきのアレは………」


  男の自分でも、ぎょっとした。

  異様な目つき。普通ではない空気が、確かに存在していた。

「……お前の予想が合ってたとして、どうしろって?」

  関係性を知らない限り、対策の立てようがない。

「DHEの中までは、多分入ってこないとは思うんですよ」

  彼は、すでに退職した身。

  セキュリティのある入り口は、社員IDが無いと入れない仕組みになっている。

「だからこそ、外で待ち伏せてた、ってことか」

「相手もアーティストなら、そうそう暇じゃあないだろうけど、時間的に不規則だよな」

「いつ現れるかは、わからんってわけか」

  さすがに、明るい真っ昼間から堂々と現れることはないだろうが、昼間にだって 殺人事件は起こる。


「おいおい、物騒なコト言うなよ」

「……ボク、やっとここまでこれて、全部 奏良そらさんのおかげで―――本当に、あの人がいなかったら、ボクは この場にいないんですよ」


  恋人がいるなら、その人に頼めばいいのだが。

奏良そらさんは、彼氏いないんですよ! 帰り道とか、夜とか、一人なんですよ!? 怖いじゃないですか!」

「だから、声がデカいって………」

  ボクたちで守らなきゃ―――そう力説している背後から。

「な・ん・の、話をしているのかな?」


  戻ってきた、笑顔全開の 渦中の人。

「うわっ、そらさん………えーと」

「なんていうか」

  年少組は 上手い 言い訳が思いつかず、あたふたする。

「人が席を外した途端に、なーにウワサ話してんの? っていうか、大音量で彼氏いないとか叫ぶのヤメて、めちゃくちゃ恥ずかしい」

  ただでさえ、周囲の視線を集めてしまうイケメン集団。他のテーブルから注目されやすいのだ。


「ごめんなさい、悪い意味ではなくて」  

  配慮が足りなかった、以後 気をつけよう。

「……………で、ホントに彼氏いないの?」

「え、おり。それ ストレートに聞いちゃう?」

「…………どうせ、モテモテのおりくんには、一般人のことなんて わからないでしょうよ」


  一般人代表だと信じて疑わない奏良そらは、どれだけ自分が地味で、面白みが無くて、モテないかを 熱く語り始めた。

「………えーと」

「………これさぁ」

「もしかして」

「………自覚無いだけじゃね?」


  グループが結成されて、ほんの数時間。

  改めて、メンバー同士でお互いを深く知ろう、と集まった食事会。


  この数時間で、奏良そらの 無自覚な可愛さを、すでにたっぷりと味わっている男四人である。

  先程のルーカスが主張する《トラブル云々》が、あながち 的はずれな想像ではない気がしてきた。

  知らず知らずのうちに、相手から好意を寄せられていても、当の本人が気付いていない。………奏良そらに限っては、十分に あり得る。


「…………何で、みんな変な顔してるの? 聞いてる?」

「何でもない。……で、どうすんの?」

  おりがグラスを傾けながら、メンバーに問う。


「とりあえず、奏良そらさん?」

「外に出るときは、俺たちと一緒に行こう。そうしよう」

「そうですね、それがいいと思います」


  男たちの 突然の提案に、奏良そらは目をパチパチさせた。

「何で?」

「………リーダー命令」

  ビシッと、長男が宣告する。

「?」


  納得がいかない、腑に落ちない。

  そんな表情が また無駄に可愛いから、おりは 素早く話題を変えることにした。

「そういや、アー写。 どうする?」


   アー写―――アーティスト写真。アーティストや芸能人が撮る、宣伝素材のことだ。


  グループ活動が開始になったのだから、そのことを考えなければならない。

「アー写かぁ………」

  写真を撮られるのが苦手な奏良そらにとっては、まさに《苦行》というべきか。


「普通のアー写っていうより、オリジナル曲の宣伝として、撮るべき?」

「ジャケ写みたいな?」

「デビュー前だしね。フリースタイルというより、全国行脚の衣装として、そのイメージで撮れってことらしいよ」

「ボクたちの曲に合った衣装か……」

「ステージ衣装、初めてです……」


  男女混合の、五人組だ。

  それを、どう考えるか。

「………大きく分けて、三パターンある」

  全部お揃いにするか、バラバラにするか、基本だけ揃えるか。

「ボクたちの……家族感を出すなら、バラバラじゃない方がいいと思います」

「僕も」

「そうなると」

「完全なお揃いか、一部だけ揃えるか……の二択か」


  完全なるお揃いは、アイドル事務所がよくやる手法だ。

  統一感はあるが、一人ずつの個性を出すには インパクトに欠けるところがある。

  一方、一部だけ揃えた場合、個々の個性が強く出すぎて 失敗することもある。


  STELLAステラとして、どちらが合っているのか?


「個性は……それぞれ強いよね」

  奏良そらの言葉を受け、メンバーのタイプについて、一人ずつ百パーセントで考えてみる。


  ◆おり

    セクシー 四十%

    ビューティー 三十% 

    クール 十%

    キュート 十%

    ワイルド 十%        

  まさに無敵、魅せ方の天才だ。


  ◆みこと

    クール 四十%

    ワイルド 三十%

    セクシー 二十%

    キュート 十%

  彼もまた、色々な面を併せ持つ魅力満載の男である。


  ◆ルーカス まどか

    ハピネス 五十%

    クール 四十%

    ワイルド 十%

  明るい性格が溢れ出る、カッコつけないイケメンだ。ふと真面目な表情をしたときに、ドキッとさせられる。


  ◆春音はると

    キュート 八十%

    クール 二十%

  二十歳とは思えない可愛さは、彼のおっとりした性格故か。本人は、かっこいいと言われたくて、男らしさを日々 研究中である。


  ◆奏良そら

    クール 四十% 

    キュート 三十%

    ビューティー 二十%

    セクシー 十%


奏良そらさんの場合、歌ってる時と 普段のギャップがあり過ぎるよな」

「歌ってるときはかっこいいけど、普段は断然キュートですよね!」

「……セクシーなところもありますよね。ちょっとドキドキする感じの。曲によるのかな?」

「………無自覚、人たらし」

「……ねぇディスってるよね? おりくんだけ、褒めてないよね?」

「オレ、正直者なんで♪」


  五人揃うと、どうも この流れになってしまう。


  遠慮のない わちゃわちゃとした雰囲気が、STELLAステラとしての《日常》なのかもしれない。

「うーん、そう考えるとさぁ」

「一部揃えってのは、なんか違うかも」

「ぱっと見、かっこいいかもしれないですけど」

「…………なんか、バラバラな方向を見ている気がしませんか?」

「………だな」

  

  ありのままの、自分たち。

  一番 それを表現してくれる衣装でなければ、魅力が半減してしまうだろう。


  と、なれば。

  全揃え、それしかない。

  全員で、同じ衣装。できれば、髪色なども揃えた方が、効果的だろう。

「これだけ個性が強いメンバーが集まってるんだ。同じ衣装にしたとしても、見分けがつかないってことはないだろ」

「……わー、なんか、お揃いってワクワクします!」


  方向性は、決まった。

  後は、どんな衣装にするか、だ。

「そこはやっぱ、曲の雰囲気を取りますか?」

「あの曲、歌詞としてはLove songだぞ?」

  君がいい、君しかいらないとか歌うのだ。

  情熱的な歌詞に似合う服とは?

「えぇー、普通どんなの?」

「Loveのイメージ……ラヴ? ラヴってなんですか!?」

「………うん、ムズイわ。話が脱線する」

「Loveに色とか形って、無いですよね。単純に赤、とかじゃつまらないし」

「…………あ、だったら こういうのは?」


  迷走しかけたところに、リーダーのおりが提案する。

「服のさ、ブランドを決めるってのは?」

  さすが、おしゃれ番長。

  ファッションへのこだわりの強さは、人一倍。

  服に無頓着な奏良そらでは、すぐに思いつかない発想だった。

「ブランドかぁ」

「ブランドを決めて、実際に見に行ってさ。それで決めるとかは?」

「出た、その日の気分……とかいうやつ」

  みことは呆れたように言うが、なかなか良いアイデアに感じられた。

「ブランド、それにしましょう!」

「それがいいです!」

「……おりくんのオススメに、期待しようっと♪」

「……何それ。オレ、プレッシャーかけられてんの?」

「かけてまーす♪」

「……見てろ、腰抜かすくらいの見つけてやるから」

 



  親睦会でありながら、自然とミーティングの場と化した その夜。

  それぞれが 思い思いのことを語り合い、さすがに話のネタは尽きなかった。



  次の日が 休み(オフ)ということもあり、遅くまで楽しい会合は続いたのである。

次話から、彼らグループの本格的活動開始、の予定です。

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