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この歌声(こえ)君に届け  作者: 水乃琥珀
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痛いくらいの覚悟と 勇気 #3

  今回の話は、次男が暴走しそうになり何度も書き換える羽目になりました……。

  奏良そらみこと、認識が 微妙に食い違っているところがポイントです。


  全国行脚《三日目》を目前に控えた、十一月 二十九日。



  今朝のみことは、目覚めてからが早かった。

  洋服は寝る前に用意していたし、持ち物などの準備も抜かりない。

  唯一 時間をかけるとすれば、こだわっている《髪型》くらいであり、それも今日は一発で理想的な感じにキマった。


  見た目の良さは、自分でも自信がある。

  人から見られる職業だし、ある程度は《見た目》でファンの数も決まってくる世界。

  いつでも、百パーセント《カッコイイ》でいられないと、生き残れないのも事実だ。


  けれど、芸能活動をしているとはいえ、みことだって『一人の人間』。カッコつけてばかりもいられないわけで、たまには『今日はいいか』と気を抜くというか、手を抜く日だってあったのだが―――――。


「…………それじゃ、ダメだ」


  彼女を目の前にしたら、そんなことなど 言ってはいられない。

  《イケメン》なんて、見慣れてしまっているような人。そんな 目の肥えた彼女の《視界》に入りたいし、自分のことを意識して欲しい。

  純粋に、『かっこいい』と言われたいのだ。


「……………よし」 

  今までの最短記録かと思えるほど、手早く支度を済ませ、家を出る。

  向かうは、もちろん最寄り駅―――ではなく、少しだけ回り道をして、奏良そらの住むマンションへと急いでいた。


  午前中は、『ティーオーツー2』との合同練習に時間を取られてしまう。

  個人練習の時間を 少しでも確保するために、奏良そらは最近、より早く家を出てしまうから。

  すれ違わないように メールを送ってみたが、向こうも支度などで忙しいのか、未読のままだ。


「まだ、いてくれるといいけど……」


  別に、一緒に行く約束をしているわけではない。ここ何日か、ずっと先に行かれてしまっていた。

  本社ビルに着けば すぐに会えるのはわかってはいるけれど。

「それじゃ、足りねぇ」


  近付きたくて。

  もっと、触れてみたくて。

  でも上手くいかなくて、空振ってばかり。


  この際だから、思い切って『一緒に行かないか』と誘ってみるべきか?

  何も、不自然ではないはずだ。

  朝とはいえ 辺りは薄暗いし、人通りも少ない時間帯なのだ。『心配しすぎ』と笑われるかもしれないが、みこととしては冗談で済ますつもりはない。


「…………………早すぎ、か?」

  彼女に対して、どういうペースで攻めていけばいいのか、正直 みことは悩んでいた。

  なんたって、相手は あの奏良そらだから。

  過去の《経験》など、何一つ《通用しない》と考えて間違えない。


「……………………余裕ねぇな、俺」


  嫌われたくないし、もちろん傷付けたくだってない。

  笑顔が見たいし、笑顔でいて欲しいし――――そうでないなら、笑顔にさせてあげたい。


  本来、《直球勝負》が得意な性分だ。

  駆け引きとかは苦手だし、好きではない。何となく気付いてしまうから、嘘も嫌いだ。

  ただ、それが裏目に出ることもある。

  『相手の《気持ち》や《都合》を考えなさい』と、学生時代から言われてきたが、今が まさにそうかもしれない。


  奏良そらにとって、自分の『この想い』は《邪魔なもの》かもしれない。《負担なもの》かもしれない。

  人生を賭けた 大切なプロジェクトの最中に、何を浮ついたことをやっているのか、と 怒るだろうか。困らせてしまう可能性もある。

  

「……………そういったって、どうしようもないんだよ」


  気持ちは、止められない。

  気付いて、自覚をしてしまったら、無視することなんてできない。

  この想いを、無かったことにはしたくない。できない。


  とはいえ、自分の気持ちばかりが 先走り過ぎて、から回って大事故にならないように――――恋をすると周りが見えなくなるというから、そこは十分注意していかなければならないだろう。  

「!」

  目的のマンションに到着すると、タイミング良く 奏良そらがエントランスから出てこようとしているところだった。

  ――――今日は、ツイてる!


  朝一番に、『おはよう』と言える。

  一番最初に、自分を見てもらえる。


  それだけで、今日一日が 無敵でいられるのだから、恋の効果パワーというのは 凄いと思う。


「―――――そ、」

  声をかけようとして。  

「!」

  彼女の顔を 真正面から見て。


  ―――――言葉が引っ込んだ。


  元々 色白ではあったが、いくらノーメイクだとしても顔色が悪すぎる。

  マスクをしていても わかるほど《蒼白》。そんな言葉がピッタリのような、青白い顔。

  倒れてもおかしくはないような、消えてしまいそうな雰囲気。

  

  …………っていうか、どうして今まで気が付かなかったんだ。


  舞台ステージに向けて、トレーニングや食事制限をしているのは間違えないのだが。

  朝から晩まで ずっと一緒にいるからと、油断していたのかもしれない。

  

  昨日も、奏良そらは 何を食べていた?

  いつ、休憩を取っていた?

  ふらりと いなくなった時間、どこで 何をしていた?

  浮かれていた心が、急激に冷たくなっていく。


  トレーニングで身体を絞ったとか、引き締まったとか、プラスの意味の そんな感じではない。

  グループ結成してから 約二ヶ月の間に――――奏良そらは確実に痩せてしまっている。

「……………マジかよ…………」 


  何かあっても『何でもないよ』と笑って。

  本当の意味で、人前では《弱さ》を見せないようとしない。

  無理なことでも『何とかする』と、一人で戦いに行ってしまうような、そんな人。


  そんなふうに毎日を送っていれば、疲労も 心労も、受けるダメージは他人の何倍にもなるだろう。


  わかっていた、はずだった。

  華やかな外見だけで 好きになったわけではない。

  《限界》を無視したストイックさと、危ういバランスで 突き進んでいく姿。

  彼女の あの《姿勢》に、尊敬をしつつも 惹かれたというのに。


「……………………………奏良そらさん」

「みっ…………みことくん?」


  暗がりから声をかけられ、驚きながらも。

  相手がみことだとわかると、表情を緩めて近付いて来てくれる。


  あぁ、もう。

  何で、そんなに可愛いんだよ。


  そんなふうにされたら、俺はどうすればいい?

  今すぐ 自分のマンションに連れ帰って、思う存分 寝かせてあげたい。


  寒がりだから、めいっぱい部屋を温かくして。

  彼女の好きな香りの アロマでも焚いて。

  『何もしなくていい』、『何も考えなくていい』と―――神経が昂ぶって眠れないなら、幼子を寝かすように 優しく抱きしめて、キスをして。それから…………。


「……………………みことくん?」

「!」

  あやうく、とんでもない言葉を口走るところだった。


  気持ちを伝えてもいないのに、怖すぎるだろ、俺。

  自分が女性の立場だったら、完全に ドン引くやつだ。


「おはよう。………もー、また遠回りして来たの?」

  青白い頬に、わずかだが赤みが戻る。

  わざわざ迎えに来たことが、少しは伝わったらしい。


  嫌がられては、いない。

  その事実に、ほんの少しだけ 勇気をもらって。

  続けて、勢いそのまま『正直な気持』をぶつけてみるしかない。


  小細工は、嫌いだ。

  想いを表現するのに、まわりくどいやり方なんて必要ない。

「……………明日から、ちゃんと迎えに来てもいい?」

「…………え」


  ――――言った。

  言ったぞ。

  もちろん、聞こえたよな?


  これまでメンバーの誰かが 交代でしていたことだけど、これからは俺にさせて欲しい。

  俺だけに、行き帰りの時間を《独り占め》させて欲しい。


  ほとんど、告白めいた言葉ともいえる。

  言ってみて、後から自分でも 恥ずかしくなってきた。


「………えーと………」


  自分のこととなると、途端に 不器用になって。

  好意を向けられることに、極端に不慣れで。


  …………やっぱり、抱きしめたい。

 

  気持ちを押し付けたり、強引に迫ることは したくはないけれど。

  抱きしめて。

  腕の中に囲って。

  

  あぁ、そうか。癒やしてあげたいのか。

  彼女が、安心して休めるような、そんな《場所》に 自分がなりたい。


  何と返事を返せばいいのか 迷い、ちらりと こちらをうかがう様子が、もう 勘弁してほしいくらい 愛らしくて。

  利用されてもいい。

  他に、好きな人がいてもいい。


  そんな馬鹿な考えさえ、浮かんでくる。


  ―――――いいわけ、ないだろ。

  自分だけを、見て欲しい。他の男なんか、冗談じゃない。

  …………恋敵ライバル? それが、なんだ。

  気持ちを自覚した時から、そんなことは百も承知だ。


  身近だと……………おりとか? 

  合同練習を始めてから、千尋ちひろの態度だって、怪しい。

  ティーオーツー2 リーダーの真央まおや ダンサーの仁だって、怪しいという意味でいけば、十分怪しい。

  ―――――考えたら、きりがない。


  壁を作っていた人でさえ、いつの間にか《虜》になってしまうくらい、抗えない《魅力》を持っているのだ。

  ぼーっとしている場合ではない。

  見ているだけの《その他大勢》になりたくないのなら。

「……………ダメ? 俺とじゃ、イヤ?」

「………嫌、とかじゃなくて、なんていうか………」

  …………オーケーして? 頼むから。


  まだ、正式に《告白》をしたわけではないけれど。

  俺を選んでくれれば、めちゃくちゃ尽くすし、大事にするから。


「…………みことくんが、困ることになると思うんだけど………」

「俺が?」

  また………そうやって、他人ひとのことばかり心配して。

  自分が《口説かれている》ということに、少しは危機感を持ってほしいんだけど。

「俺は、なにも困らないけど」

「え、でも………」

  スキャンダルとか、そういうのを心配しているのだろうが、みこととしては むしろ噂になりたいくらいなのだ。


  熱愛報道? 上等じゃないか。

  想像しただけで、興奮する。

  男ってのは、カッコつけながら、内側では こういう《下心》を持っているものなのだ。


「………それは、オーケーって解釈して、いい?」

「!」

  《仲間》に対する《優しさ》や、彼女なりの《情》からくるものだとしても、引き下がる気なんて さらさら無い。

  戸惑ってはいるものの、《嫌だ》と思ってはいないのなら。


  悪いけど、その権利――――俺が貰うから。

  

「じゃ、決まりな?」

「えっ」

「ほら、行こう?」

  手を差し出して、最後は 渾身の《甘い笑顔スマイル》で仕留めにかかる。


  日に日に、奏良そらの魅力は増すばかり。

  他の男に 触れさせるつもりはない。本音を言えば、見せたくもない。

  こんなに自分は《独占欲》が強かったのか、と 改めて気付かされる。

   

  恋を自覚した男、というものは。


  ある程度のラインを超えると、案外 強気に攻められるようになるのかもしれない。


*  *  *  *  *  *  *  *

  


  みことが《変わってきた》――――と感じたのは、やはり気のせいではなかったらしい。


  今朝は、本当にビックリした。

  誰とでも仲良くなれるような性格とはいえ、『迎えに来てもいいか』なんて言い出すとは 思いもしなかった。


「………………どうしたんだろう?」


  嫌われていないのは、わかる。グループ活動で 毎日一緒にいるのだ。

  仲良くなれたのは嬉しいが、ファンや 周りから《どう見られるか》というのは、一番に考えなければいけない事項であって。


  《特定の誰か》と、親しくなってはいけない。

  まして、候補生やアーティストなど、《商品》として《価値》のある彼らとは、絶対に《距離》を置くべきであり。


  心を込めて 全力で応援したとしても、必ず《一線》は引いて、接すること。

  相応しい 態度。適切な 距離感。

  それが、スタッフとしての《心得》であり、これまで長い間、ずっと守ってきたつもりだった。

  立場が 候補生に変わっても、大きな違いはない。彼らと過ごすのが楽しいとはいえ、守らねばならない規律ルールというものは 間違えなく存在する。


  そんな中での、みことの新たな《変化》。

  内面の変化は、すぐ《歌》に現れる。

「………………威力、あり過ぎるんだよなぁ」


  元々、溶けてしまいそうな 甘い歌声こえの持ち主だ。

  真面目で、頑張り屋で、でも少し不器用で。

  性格と歌声こえの アンバランスさが、彼の《歌の魅力》であったのだが。


  前とは比較できないほど―――――――甘い。

  ものすごく甘くて、色気があって、蠱惑こわく的で。

  一緒に歌いながら 横で聴いていると、その《糖度の高さ》に クラクラしてしまうほど。



  もちろん、いい意味での変化だ。

  歌手としての《成長》は喜ばしいことであり、同じメンバーとしても嬉しい。


「私が………気を付けてれば、大丈夫」

  彼が示してくれる純粋な《好意》を 無下に拒否することは、人間ひととして間違っているし、失礼なことである。


  行き帰りを共にすることも、深く考えるから おかしくなるわけで。

  友達だって、このくらいはするだろう。ましてや、運命を共にする《仲間》。

  最寄り駅は同じなのだし、ありがたく受け入れるのが正解なのかもしれない。


「……………大丈夫」

  ずっと、一緒にやっていきたいからこそ、忘れてはいけないこともある。


  みことの《将来》のためにも。

  自分は 惑わされてはいけない。集中しなければいけない。


  奏良そらは《やるべき事》を再確認し、自分を戒めながら、次の目的の場所へと向かった。


*  *  *  *  *  *  *  *



  午前中の 合同練習が終り、時刻は ちょうど十二時半。


  今日はダンスレッスンを中心に行ったので、全員 終わった後はシャワー室へ直行だった。


  明日から 全国行脚が続くため、しばらく合同練習はお休みとなる。

  合同ミーティングも 今日だけは先に済ませ、午後は 自分たちのグループに戻って、練習の再開だ。



  ――――――奏良そらに、何を食べさせようか。


  シャワーの最中、みことが考えていたのは その事だった。

  歌い手は、体力勝負の仕事。食べないと、身体がもたないし、声の出も 悪くなる。

  かといって、舞台ステージ前の時期は 食べ過ぎも厳禁。


みことくんたち、早くないっすか!?」

「お前らが遅い」

「えーっ」

  《プロ活動》をしてきたからか、シャワーや着替え、食事など、限られた時間で動くことには慣れている。

  他の候補生は まだ無理だろうが、当然 おり千尋ちひろも、似たようなものだ。


「………さて、どうするかな」

  シャワー室から出て、一旦はレッスン室へと向かう。


  希望としては、二人きりになりたい。

  だが、現実的に それは難しいし、奏良そらだって了承しないだろう。

  一番の目的は、食事をさせることなのだ。

  自分の 個人的な《願望》は二の次にして、まずは 捕まえることを優先にしないと、逃げることが得意な彼女は 簡単に逃げてしまう。


  STELLAステラは《家族設定》のため、基本的に 食事なども含めて《一緒にいる》ということを掲げて活動しているから、他のグループと比べて 一緒にいる時間は長い。

  それでも、スタッフや上層部から呼ばれたりすることが多いし、彼女自身が 自主的にふらりといなくなっていることもある。

  じっとしている時間なんて、無いに等しい。


  何でも解決してしまう、凄腕のスタッフ。

  自分も ずっとそう思ってきたけれど、その状況こそが そもそも《異常》なのだ。

  今は 同じ候補生として《同僚》になったというのに、目の前の課題だけではなく、常に《もっと先》を見据えて、あれこれと考えていて。


「!」

「…………………あれ、他のみんなは?」

  レッスン室で待っていると、さほど経たずに 奏良そらが戻ってきた。


  毎回 思うが、シャワー後の色気が 堪らない。

  心を強くもたないと、理性など呆気なく吹き飛びそうだ。

「まだ戻ってない」

「………いつもの通り、俺たちだけ」

「なんだぁ、私が最後かと思った。………さすが、三人とも早いね」

「………………ちょっと、奏良そらさーん?」

「え?」


  手にしているのは、《書類》や《資料》の束。

  これから《昼休憩》を取ろうとしている人間とは思えない姿に、頭を抱えたくなる。


「………まさか、昼 行かない――――なんて、ないよな?」

「!」

  ニッコリと指摘してやると。

「ま、まさかー………」

  そんなことないよ、と答える目が泳いでいて、明らかに嘘だとすぐにわかる。


  これは、もう――――強制連行しかないな。

  おりたちと顔を見合わせて、頷き合う。


  この人は、一人にしてはダメだ。

  見張っていないと、際限なく動き回ってしまうから。

  

「……………行くぞー」

「とりあえず、紙の束は置いといてー」

「どこに行くかなー」

「えっ、ちょっと……」

  三人がかりで 連携してこられたら、さすがの奏良そらだって逃げることは難しい。


  他の候補生は、とりあえず 抜きだな。置いていこう。

  今日の昼は、この《四人》で、というのも 新鮮でいい。

  

「………この四人でって、そういや今まで無かったよな?」

「……だな。千尋ちひろメシって、そもそも久々だし」

「確かに、初かも」

「わかった、わかった、行きますって。……ちょうど、三人に《話》もあったしね」

「話?」

「オレたちに?」


  観念した様子の奏良そらは、それならば………と、もう次の《一手》を考えている。

  本当に、この人は―――――

  

  ある意味、最高に《世話が焼ける》。


  ………………いいさ、世話を焼くのは得意だ。  

  彼女自身を変えようとしたって、そう簡単に変わるようなものでもないし、決めたら 何があろうと貫くような人だから。

  だったら、俺が 変わればいい。


「…………………みことくん?」

「何でもない」



  自分のことしか考えられず、求められているレベルに到達するだけで精一杯だった、半年間。

  技術的にも 精神的にも、奏良そらに頼りっぱなしで、ずっと先にいる『追いかける対象』としてしか 考えられなかったけれど。


  その考え方こそが、自分の《弱さ》だったのだ。


  候補生として、《歌》で結果を出していくのは もちろんのこと、それだけじゃ もう足りない。

  《全体》のことにも目を向けて、プロジェクトに何が必要か、自分たちは 何をすべきか。

  奏良そらが《いつも考えていること》を 共有できるような、視野の広い男になっていかないと――――いや、なってみせる。



  愛らしくて、抱きしめたくて。

  純粋だからこそ、一生懸命で、危なっかしくて。


  胸を焦がすような想いは どんどん溢れてくるけれど、ただ彼女を《想うだけ》では、何も持たない《子供》と同じだ。


  大人なら、大人らしく。

  自分に出来ること、自分にしか出来ないこと―――これからは それを見つけていくのが課題。

  奏良そらが、一人で行かなくていいように。何かあれば、真っ先に 自分の所へ来てもらえるように。



  俺を、見て。

  もっと――――俺を頼って。


  ちゃんと、丸ごと全部受け止めて、耐えられるような男に なってみせるから。


  

  みことは、湧き上がる 強烈な想いを抱えながら、奏良そらが打ち明ける《話の内容》を待った。

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