第7話 溶けた記憶
ユカタは、ヒロが放った吹雪を直撃で食らってしまう。カインが見た時には既にユカタの炎と火花は消えてしまい、白く冷たく輝いていた。
『ユカタちゃん--』
このまま、私--負けるのなんて嫌だ。
判定が下されるその時だった。白い氷の中から赤いルビーの眩しくて熱い光が周りのコロシアムの試合場をよぎった。それでも、ヒロから食らった氷は、その時にはまだ解けなかった--。ヒロがユカタが負けだと思い込んで勝手に場外にズラかろうとして歩き出した途端ヒロが赤黒く黄色い雷に撃たれてばたりと倒れてしまった--。
『---!?』
そして、氷が2発目の雷鳴と共に一気に溶け始めてユカタは、ヒロに勝ったのだった。試合が終わり、カインはユカタの元にかけついた。そこまでは普通で良かった--。しかし、観客席の場外から謎の黒い鎧を着た軍団が現れた。
『ヘリオス兵--!?逃げないと!』
『エッ!?』
カインが黒い兵団を見るととっさにユカタと左手を繋ぎユカタは、グダリとしたヒロをいきなり背負いながら走り出した。観客席のみんなも息を絶えるぐらいグダリとしてしまった--。
『なんなの!?アイツら!』
『敵よ!捕まったら殺されるから逃げて!!』
『え...!?人が人を殺すの--!?』
人が人を殺すなんて...そんなこと--
その間--ヒロ『マヒロ』は走馬灯を見ていた。過去の楽しい思い出だった。雪兎のクロニカとして生まれたヒロは、ユカタと一緒で何をしてもダメだった。ユカタとカインとヒロはいつも近くで遊んでいた。雪兎のイグニア『擬人化』だが、夏もヘッチャラなヒロ。春は、姉も混ざってみんなでお花見したり、夏もリリィ、ルピナスも含めてみんなでリグにバカンスしに行ったり、秋はレイキー・タウンで色々買い物して見回ったり遊んだり冬はみんなで雪遊びしたりなど楽しい時間を過ごしていった--。1人にはなりたくない--いつまでもみんなといたいんだ。そう思っていた。なのに--どうしてあの人はカインのことを--
『ねぇ!どうして!!?』
『それはお答え出来ません。我々には複雑な内容です......。』
『嘘だろ--!』
それならずっとカインは、ひとりがいいと言うようになった。誰も助けられないというのに--本当は一緒にいたいと言うのに。
再び、夢から現代にヒロは目が覚めてヘリオス兵団との攻防に戻ってきた。気絶して倒れてたところやっと起きたが前で兵団の金棒のような石の棒の攻撃を受け止めていたのがルピナスとリリィだった。
『ここは私達がやるから!--心配しないで!みんながいるし追いつく!』
『わかった--!行こうカインちゃん!』
『うん、ユカタ!』
『---今、初めて言われたよ?ユカタって--』
いつもユカタのことをユカちゃんとカインは言うはずなのにカインがユカタと言うなんて初めてだ。なのにいきなりなぜ?とりあえず今はヘリオス兵団から逃げることを考えないと--。
ユカタとカインとヒロは左に曲がりコロシアムを抜けた---。これからどうするのかよりも今は逃げる。
TO BE CONTINUED
アドバンテイルユナイト7話いかがでしたか?今後はアドバンテイルユナイトに更新を注ごうと思っております。この作品は元々はアナログでかなり10年前から原作を制作したものとなりますのでかなりの賜物です。ぜひ、これからもこのアドバンテイルユナイトを見届けて欲しいです。
次回 星巌の森