第6話 実地試験
実地試験が始まった--。
ユカタの初めてのバトルとなる。カインは、遺跡のような黄色い岩の観客席に座りながらユカタの勝利を見守っていた--。
『ユカタちゃん--』
ユカタの前に現れたのはカインの妹である"マヒロ"だった。カインは、知らずに目を拭くようにした。
『ヒロちゃん!!』
マヒロは、うさぎのイグニア族。雪と冷気を操る力を持つ者として有名だ。この私がヒロに勝てるのかどうかも不安だった。いつも訓練を受けていたとしてもヒロの方が確実に上だ。ただの火打石のような"伸長鉢"なんかで勝てっこないだろう。
『ついにこの時が来たようだな!--待っていたよ!ユカタ!!』
『あ、私...?』
細々とカインがユカタに聞こえないくらいで言う。
『ユカタちゃん、頑張って...』
合図と共に試合のゴングが鳴る--。
ユカタとカインはこの実地試験を突破出来れば冒険者としての称号を貰える--。
マヒロがユカタに向かって言いかける。
『君は、まだ本気を出してないようだね??』
『どういうこと?』
『分かっているのさ。君...それに私のお父さんが優しい人だったからな!』
その瞬間氷の破片がユカタに飛び交う。しかし、ユカタは何事もないように避けることができた。なんでだろう?いつもよりもなんか...。
一方でカインの横『左』の観客席にリリィが座り込んだ。そこでリリィは今のユカタの現状について話した。
『やっぱり--ユカタは奥深いね--』
『まさか、魔眼拡張式の技を使っている為にわざわざ訓練の時もアレだったんですか!?--でも、私も魔眼拡張を...!』
『恐らく、パワーはカインよりややユカタの方が本人が自覚してなくてもかなりの火力が詰まっているんだろう。だから、クロスは、小さい頃ユカタに特殊な魔装"魔眼拡張"を付けたんだろう。』
視点は再びユカタとヒロのフィールドが炎と氷で相対的に技と技で造られた。氷と炎のフィールド。お互いが苦戦し始めた。炎は紅く煌めいて氷はキラキラと青白く輝き咲いていく--。確かに互いにデメリットがあるのだがメリットもある。ユカタは火打石のような鉢をジャリジャリン!!と擦り付けてそのまま、ヒロに突撃した。
『ぐっ...やるゥ!』
『ありがとう!』
凄い...私にこんな力が--これは、シリウスも夢ではない!!
宇宙に輝くアステリアに2つの衝撃が飛び交った---。そこに黒い渦の雲が出来てユカタの真上に訪れたのであった--。観客席の人たちはどよめき始めた--。
『何?そのまま、雲をぶつける気?だったら、その雲のような渦を利用させてもらうわ!!』
その時、雲からユカタの方向に向けて冷たい風と風雪が一気にユカタを包み込んでしまった--。身動きが取れない--。それにかなり冷たいし凍てついている---。
『まさか--』
カインが周りを見た時は既にユカタはヒロの起こした吹雪の吹き溜まりで凍りついてしまっていたのであった--。
TO BE CONTINUED
凍りついてしまったユカタ。
どうなる!?
次回
溶けた記憶