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男は悪魔を食った。  作者: 満たされたい心
3/28

第3話 金稼ぎ。






 翌朝。私は森の中で目を覚ました。


 何故、ここにいるのかと疑問に思ったが、横に置いてある本を見て、思い出した。


 ・・そうだ、私は悪魔になったんだ。・・これから先の人生に不安を感じていた。


 ・・別に人間から差別を受けるとかはどうでもいい。・・今時、悪魔を信じる奴はいない。・・こちらが力を見せない限り、そいつの空想で終わるのだから。

 ・・問題なのは、別の悪魔達の動向。


 レベルを上げる為に戦う。


 随分と物騒な話だ。・・今で満足できないのか?と言いたいくらいである。・・しかし、どうしようもない。

 相手はこちらの言い分など聞くはずがないからだ。


 ・・と、先のことを考えても仕方ない事に気付いた。


 ・・今はやることがある。


 この本を使って資金を獲得するのだ。


 ・・そう思い、`飛行`で近くの街に向かった。


 さすがに、ど真ん中で降りるのは目立ちすぎるので、人が全く来ない林の中にした。


 目的の場所に向かったがまだ開いていない、開くのは十時。


 ・・時刻は、朝の九時。


 ・・あと一時間ぐらいか。


 ・・そう思った私は。


「・・・とりあえず、買う為には、金がいるな。・・・アパートに戻るか。」


 そう考えて移動した。


 ・・この街にしたのは偶然ではない。


 前の街に行ったのは気分転換の為に遠出しただけである。


 これが良かったのか悪かったのかは今の私には分からない。・・何故なら、人をやめ、悪魔になった。

 ・・もし、行っていなければ人として退屈で何もない人生を歩んでいた。


 ・・・家族はいるが、両親は博打好き。


 ・・仕事は自宅で簡単にできる内職だけ、金を貰えば即座にパチンコ。


 ・・・典型的なダメ人間である。


 ・・・そんな二人が嫌いだから、遠く離れた場所で暮らすことにした。・・今では連絡する所か、生きているのかさえ知らない。

 ・・博打は嫌いだ。・・・外れれば全てを失う。


 そんな物に金を掛ける人間の気持ちなど知りたくもない。


 ・・だが、この本さえあれば、確実に金が手に入る。


 ・・そんな考えをしているとアパートに到着。


 ・・警察はいないようだ。・・それもそうだ、身分を証明する運転免許証を持っていない。


 車やバイクを持っていないので習得する理由がない。


 ・・移動ならば電車を使えば良い。・・・病院の医者は私の名前を知っていたようだが、カラオケ店に入る時、名前を記入している。・・そこから知ったのだろう。

 ・・扉を開けようとしたが鍵が掛かっていた。


 ・・あれは病院にあるかもしれないが戻る気はない。


 ・・仕方ない、私は力任せに扉を開けた。・・あっさりと開いた。


 私の腕力がかなり上がっているようだ。


 ・・部屋の中に入り、まず、ボディバックの中に通帳とカードと印鑑、前に使っていた財布。それだけ入れた。・・携帯は持って行ったから火事で無くなった。


 ・・まぁいいか。・・この通帳も何時まで使えるか分からない。・・今日だけ使って、適当に破り捨てるか。


 ・・そう思った時、あることを思いだした。


 ・・昨日のインプが持っていた本、カタログにある物のことを。


 ダメ元でインプを心の中で呼んでみた。


 すると。


「・・何か用か?」

 

 あっさりと出てきた。


 私は驚きながらも。


「・・あ、あぁ。・・昨日見せて貰ったカタログをもう一度見せてくれるか?」


 その言葉にインプは。


「ん?・・・あぁ、すまん。忘れていたが、カタログはもうお前さんの中にあるぜ。・・見たい時は、`カタログ`と唱えれば出てくる。・・但し、カタログは他の人間にも見えるから、出す時は注意しときな。・・それじゃあな。」


 そう言って消えた。


 ・・先に言えよ。・・私は唱えた。・・すると左手からカタログが出てきた。


 ・・中身を見て、やはりあった。


 偽造書。


 ・・・説明欄によると、これに書いた後、変換したい物を唱えればそれになる。・・変換後、その国の情報機関に書いた内容が自動的に入る。・・但し、人の記憶には入らない。


 ・・つまり、これを使い、免許証に偽造すれば、バイクを運転中に警察に補導されても、データ上には載っているので疑われ事は無い。

 ・・銀行で新しい通帳とカードを発行する際にも役に立つ。


 ・・今の世の中、データが全て、載っているのならそれ以上は何も言わない。


 ・・人の記憶に残らないが、そんなことを聞きに行くのは、事件の当事者として指名手配を受けた時だけである。


 ・・・心配することは何一つ無い。・・だが、問題がある。


 ・・五十ポイント必要である。


 今は二十ポイント。・・・悪人の魂を送らなければ、手には入れない。


 ・・・できれば早めに手に入れたいが、焦って、人々の目の前で殺せば、さすがに手配される。


 ・・今後の課題として動くしか無い。


 ・・・時間もそろそろ、私は荷物をまとめ、目的地に向かった。



 ・・人が大勢入っていくドーム状の建物。・・その人々の手には新聞。・・競馬新聞である。


 ここは競馬場。


 馬が競走し、一位を当てる場所。


 当てれば一攫千金が手に入る。・・博打好きの聖地である。・・・普段は絶対に行かない場所だ。


 ・・・予想するなんてほぼ不可能だから。


 馬の情報が記載されていたとしても、その日の体調管理ができていなければ、いくら勝つ馬でも負ける。・・途中で落馬もする。


 ・・負ける要素が多すぎる。


 しかし、私には予言の本がある


 。・・早速、見えない場所で発動。・・内容は一位と二位の馬の名前。・・すると、馬の名前と一位と二位が記載されている。

 ・・これで確定。・・一レースから十二レース、全て書かれている。


 ・・私は早速買いに行こうとしたが、全て当たり馬券を買うのはさすがに目立つ。


 ・・・ここは、新聞を買って、大きい金額と三つの小さい金額のみにしよう。


 ・・店で新聞を買ったが、全然分からない。・・とりあえず、一レースの馬二頭は、百と書かれている。・・・大きいようだから買うことにした。・・・百円で購入。


 ・・・そして、入場料として百円払い、席に着いた。


 ・・すると、アナウンスがなり、レースはスタート。・・かなりの白熱。観客達は応援していた。・・私はしなかった。


 結果が分かっているから。・・・そして、馬がゴール。


 ・・結果は、本に書かれたとおりであった。


 ・・早速、中にある自動払い戻し機という場所で金を受け取った。・・金額は一万。


 ・・なるほど、馬券の数字は倍という意味であったか。


 ・・その後は、一万から十万、一万から五万、一万から二十万、合計で三十三万。


 ・・・まずまず稼ぎである。・・それに目立ってもいない。


 ・・順調である。


 私はこのまま銀行に向かった。・・時間は十四時。


 ・・・銀行に行って、まず、手帳の金を全額出すことにした。・・と言っても金額は五十万。そんなにない。・・さっきのと合わせて八十三万。


 ・・・アパートに戻るつもりはない。・・そろそろバレそうだからだ。


 ・・寝る場所を探そうと銀行を出ようとした瞬間。


 ・・怪しい三人組が現れ、そして、銃声が響いた。


「動くな!!!・・全員、その場にしゃがめ!!!」


 叫んで拳銃を見せびらかした。


 ・・銀行強盗か。・・初めて見た。・・全員、その場から動かず、ただ座っていた。・・職員にシャッターを閉めさせ、現金をリュックサックに詰めるように指示していた。監視カメラを銃で破壊し、痕跡を残さないようにしていた。

 ・・客達からは何も盗らないようである。


 ・・・私は考えていた。・・こいつらを殺せば、ポイントは手に入る。


 ・・・しかし、問題は目撃者だ。・・ここには見る限り三十人はいる。・・・さすがに目の前で殺せない。・・・どうすればいいのか。


 ・・・混乱に紛れて殺す。・・それ以外に思いつかない。


 ・・どうやって混乱を起こすか、・・その時、観葉植物が目に入る。


 ・・・あのクソガキと同じだが、それ以外にないか。・・・とすると、どうやってやるか。


 ・・そんなことを考えていると、突然、頭の中に`発火`というスキルを覚えた。


 ・・見える範囲に火を起こすことができる。


 ・・こんな簡単に習得出来る物なのか、そう思ったが、とりあえず、小声で。


「・・`発火`。」


 唱えた。


 ・・・すると、観葉植物が燃えた。・・・小火ではなく植物一つ炎に包まれた。・・それを見た客達は騒ぎ出した。


 ・・それも当然。・・・いきなり燃えたのだ。・・驚かない方がどうかしている。

 

 客達は入り口に向かったがシャッターが閉まっていたので出られない。


 職員達は。


「!!皆さん!!裏口から出られます!!・・こちらに早く!!」


 誘導していた。


 ・・客達は一斉に裏口に向かった。


 それを見た三人組は。


「!?おい、動くな!!・・燃えたぐらいで騒ぐな!!」


 拳銃を見せびらかしたが、誰一人言うことを聞かなかった。


 ・・混乱の中、私は強盗の一人に近づき、`炎爪`で心臓を一突き、即死である。


 燃える死体を見た強盗二人に、私は一足で近づき、斬り裂いた。


 二人の死体も燃え、銀行は火の海である。


 ・・私も最後の一人として脱出。


 ・・外に出ると、客達は安堵の色で座り込んでいた。・・バレていないことを祈った。


 ・・そんな中、オーナーが。


「・・君、すぐに警察と消防車を、他の者達はお客様を誘導し、安全な場所に。・・すぐに取りかかってくれ。」


 指示していた。


 ・・さすがにこれ以上付き合う気はないので、忍び足でその場から離れた。


 ・・・幸いにも誰一人、私に気付く者はいなかった。






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