第29話
一夜明け。
・・・私たちは車の中で寝ていた。時間が時間なだけに寝ずに家に帰るのは難しかった。
いくら悪魔とは言え睡魔には敵わない。・・・目が覚めると後ろの席でレナが気持ちよく寝ていた。今回の戦いで疲れたのだろう。私は起こさずに車からでた。
・・欠伸をしながら周りを見渡す。・・・色んな車がまばらに駐車しているパーキングエリア。・・道の駅にある駐車場である。
早朝だが、店は開いている。私はあんパンとコーヒーを二人分買って車に戻った。
戻ると同時にレナが起きて。
「う、うん?・・おはよう、ございます。」
寝ぼけ眼で挨拶した。私は朝食を手に。
「おはよう。飯を買ってきた。取りあえず食っとけ。」
手渡しした。
レナは受け取ると呆然としながら食っている。完全に半意識状態である。
食いながら私は。
「さてと。仕事も終わったし、一度家に帰るか。・・だが、少し遠回りして帰る。」
これにレナは。
「?どうして?そのまま帰るのでは?寄りたいところでもあるのですか?」
疑問顔である。
私は。
「・・いや、あの闘技場の一件で目を付けられている可能性がある。付けられていると想定して入り組んだ道を使って帰る。」
レナは真剣な顔になった。
・・・あれが政府の所有するかは分からないが無関係では無い。調べようとするのは当然。私は二十年も雲隠れしている。世間では死んでいる者だ。
・・・レナは微妙な立ち位置だ。悪魔神父が住民登録しているのか不明だからだ。
つまり、パソコンでの調査では成果は上げられない。ならば、尾行する以外に方法は無い。
私は。
「・・レナの方はどうなんだ?闘技場での傷は治せたが、気分の方は?」
レナは少し、目をつむると。
「問題はありません。寧ろ好調です。どういうわけか知りませんが。」
疑問符を浮かべている。
・・・スキルの習得かそれとも対戦した悪魔を吸収したからか。いずれにしても良いことだ。私の方もあの強敵との戦いで体が妙に軽い。というより何だかモヤモヤする。
・・・インプに聞きたいが車から次々と人が現れ始めた。ここでは見せられない。・・・私はエンジンをかけて出発した。
険しい山道をひたすら走り、道のりはかなりの遠回り。これで尾行をまけるのは絶対である。
・・・そんな工作をしながら村に到着。
時刻は昼時。
もっと早く着ける距離の倍はかかった。家に到着するとレナは軽い昼食を作ると言って厨房に。
私は居間でインプを呼び出した。
「ぎゃはははは!!呼ばれて登場!!・・ってなんだお前さんか。聞いたぜ?力ある悪魔を次々と倒していっているって。・・まさに快進撃ってやつか?すっげぇなぁお前。」
感心した声を上げる。
私は。
「それはどうも。情報が早くて助かるよ。・・したくもないケンカを買って、目を付けられる始末だがな。・・っとこんな愚痴を言う為に呼んだんじゃ無い。聞きたいことがある。最近、何だか胸がモヤモヤというか落ち着きが無いんだ。こんなことは初めてだ。何か知っているか?」
インプはじっくりと私を見た後。
「・・・ん?何だお前?もう条件を満たしているじゃねぇか。速いじゃねぇか。」
感心していた。
私は。
「条件?・・それって前に話していた爵位級の事か?」
インプは真剣な顔で。
「そうだよ。爵位級になれば身体能力が急激に上がり、固有の力が手に入る。全ての悪魔達が目指す存在。それが爵位だ。見てみ?お前さんのレベルを。」
私はすぐに`表示`と唱えた。
レベル五十二。
とんでもなく上がっている。
・・・五十以上超えると満たせるということか。易しいのか?いや、難しいのかも知れない。
兎も角、条件を満たした以上選択するのは当然。
インプは。
「・・あぁそれと分かっていると思うが、なんにでもなれるわけじゃねぇぞ。そいつに合わせた属性が必要だからな。最初に説明したはずだが。」
これは覚えている。
・・・どんな悪魔にも属性があり、それに類似していなければなれないことに。
私は。
「・・じゃぁ。なれるのはどんな悪魔なのかリストみたいな物があるのか?」
インプは空間から本を取り出した。
・・・私はそれを受け取り中を見たが、白紙だった。
疑問を持った私にインプは。
「何も載っていないだろう?見る場合は魔力を込めなければ見れない。その本は相手の素質を魔力から判断し、適切な悪魔の名を記す。」
私は静かに魔力を込めた。
・・・すると、`フェニックス`という文字が浮かんできた。私は内心喜んだ。フェニックス。不死鳥。どんな怪我や病気も一瞬で回復し、死ぬことも無い。
戦い続けられるし、不便というわけでも無い。
そんなとき、インプが。
「フェニックスか。こいつはとんだ外れを引いたな。」
呆れていた。私は。
「外れ?俺は当たりだと思うが。」
インプは。
「・・?だってこの悪魔は治すだけの存在だ。通常の悪魔は大概の怪我は時間をおけば治るし、長寿だから不死になる必要も無い。おまけに攻撃手段がほとんどない。悪魔達にとっては外れも良いところだ。」
淡々と説明した。
・・・確かに、ゲームでもアニメでも治療や蘇生で大活躍する場面はあるが、攻撃する場面は見た事は無い。
だが、どんな能力でも使い方次第では強くなる。
仕事でも応用力は必須。おまけに昨今のマンガにはハズレでも修行次第で強くなるのは定番となってきている。
私は。
「問題ない。むしろ一瞬で治るにはメリットはある。攻撃手段はいくらでもあるからな。」
例えるなら、持っているグローブに磨きをかけて技を作っていき、それに対応するようにフェニックスの力を磨けば。
・・・最強の奥義を放つこともできる。それを考えると胸の高鳴りが止らない。
インプは。
「・・まぁ、お前さんが言うのならそうかもな。なんだかなぁ、俺も変になったのか。お前さんの言うことが正しいと思えちまってると。不思議だ。」
私はほくそ笑みながら。
「それが変わったっていうんだよ。無自覚にな。」
インプは傾げながら。
「・・・まぁいいか。んじゃ早速、爵位を授けるか。な~に。そんなに難しい事は無い。コレを読めば良い。」
インプは羊皮紙を渡した。
そして、私は呪文を唱え、フェニックスとなった。
・・・・それから先は。
・・・レナは順調に強くなっていき。色んな事があったが、それは気が向いたときにでも話そう。
長らくお待たせして申し訳ありません。
私の感性ではここまでが限界です。先の展開は皆様のご想像にお任せします。
それではありがとうございました。




