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男は悪魔を食った。  作者: 満たされたい心
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第15話 爵位の悪魔。


 




 地下に降りた私たちはまず現状を把握する事から始めた。

 

 私は。


「・・よし、基本的な事として自分の力をコントロールできるのか試してみよう。とりあえず、体の中にある魔力の流れを感じるか?」


 この言葉にレナは。


「・・と言われましても。よく分かりません。・・・何か体に纏わり付く膜のような物を感じますが。」


 戸惑いの言葉に私は。


「・・それが魔力の流れだ。意識すれば、膜が動く感覚になるはずだ。それを利用して元の体をイメージすれば戻るはずだ。・・はい、集中。」

 

 レナは目をつむり、集中した。


 ・・約五分後。翼が徐々に小さくなり、気配も薄くなっていくのが分かる。・・そして、レナの体は元通りになった。

 私は等身大の鏡を用意し、彼女を写した。


 ・・しばらくして彼女の顔から一筋の涙が流れた。


「・・戻れたのですね?私?」


 微動だにせず自分を見ていた。


 しかし、私は。


「・・残念だが、姿が戻っただけだ。・・悪魔としての力や寿命が消える事は無い。・・どうするのだ?これから?」


 この疑問にレナは涙を拭き。


「・・私に戻る場所はありません。・・差し出がましいとは思いますが。・・ここに住まわせてください。・・私にできる事は何でもします。・・悪魔の力も使いこなせるようにしたいのです。」


 真剣な眼差しに私は。


「・・いいのか?・・聖職者が悪魔の力を使うのは?主義というか気持ち的に反するのでは?」


 この疑問にレナは。


「・・その通りです。今すぐという訳ではありませんが。・・それでもこのまま良くないと思います。・・万が一、何かの拍子で悪魔の力が暴走したら、その時こそ私は自分を許せなくなり、自暴自棄になると思います。・・そうならない為にも私にはこの力を制御する必要があるのです。」


 強く決意を込めた瞳と顔である。


 私はしばし考えて。


「・・分かった。・・俺の訓練はキツいぞ?」


 スパルタ教育する教師の笑顔で答えた。

 








 とある高級マンション。


 豪華絢爛の部屋で一人ワインを飲む女性。・・・とある会社の会長である。


 その部屋に秘書が入ってきた。


「・・・お寛ぎ中失礼します。・・・教会の神父が消滅したそうです。」


 この言葉に会長は。


「・・?!あの神父が?・・あいつは百年しか生きてないけど実力はあるでしょう?・・誰にやられたの?・・あの老人の手下?」


 その言葉に秘書は。


「・・いいえ、情報によりますと、二十年前に悪魔になった者が仕留めたと。」


 この言葉に会長は。


「・・二十年前?・・・あぁ、新人潰しを殺した悪魔ね。・・あいつを倒すなんて。・・ねぇあなた?・・何か知ってない?」


 質問してきた。


 その目はウソは許さない。


 秘書は冷や汗を掻きながら。


「・・その。・・・実は二十年前、悪魔は人間の体を乗っ取る事に失敗し、逆に取り込まれていたのです。・・つまり、体は悪魔でも心は人間です。」


 その言葉に会長は。


「・・・どうしてそれを二十年前に言わないの?」


 その言葉と同時に秘書の前に立っていた。


 そこからは殺気が溢れていた。


 秘書は汗を掻きながら。


「・・・そ、それは。話していたら会長が興味を持つと思われたからです。あの時は色々とごたついていたので、席を外されたら・・」


 続きを言う前に秘書の左腕が飛んだ。


 全く見えない会長の右手刀による斬撃。・・・秘書は苦悶の表情を浮かべた。


 会長は。


「・・そんなのはどうでもいいの。・・でもね、話さなかったのがいけないの。隠すようで気分が悪い。」


 無表情で答えた。


 そこから静かなる殺気を放っていた。・・・秘書は震えだした。寒さと恐怖が頂点に達し、汗を掻く事もまともに呼吸さえもできない。


 そんな秘書を見て会長は。


「・・まぁいいわ。貴女が知っている事を全部話しなさい。その後は、軽いお仕置きだけで済ましてあげるわ。・・・今夜は寝られないと思いなさい。」


 冷たき非情宣言。


 秘書は。


「・・かしこまりました。()()()()()会長。」


 頭を下げて受理した。


 この悪魔こそ、ソロモン王が召喚し、使役したとされている七十二柱の一人。


 ・・・シャックス公爵。・・盗む事に特化し。あらゆる悪魔、力を持った人から奪い、自らの力として生き続け、あらゆる使い魔を作りだし使役する爵位級の悪魔。


 ただし、彼女はその名を冠した悪魔であり本人では無い。





 とある武家屋敷


 鹿脅しが規則正しく響く庭園が囲む屋敷にキセルを吹かしている家の主、親分がいた。


 その前には十人の組員らしき人達が土下座の体勢でいた。・・・理由は簡単。親分の機嫌がすこぶる悪いからだ。

 ・・・あれから二十年。


 進歩も無く、何も起きていない事から部下は親分に`新人が死んだ`と予測した上で報告した。・・しかし、教会に住む悪魔がとある悪魔を仕留めに行って返り討ちに遭ったと言う報告を受けた。・・しかも、とある悪魔とは新人である。


 親分は。


「・・・で?おめぇら?俺になんて言ったか覚えてるか?記憶が正しければ、死んだと聞いているが?」


 口からキセルを話して紫煙を吐き出した。


 組員は。


「・・そ、それは。・・あくまでも予想でして。・・勿論、それなりに探してはいまし、た。・・・」


 冷や汗を掻きながら発言した。


 親分は不機嫌な顔で。


「・・・それなりに?にしては後れを取ってるんじゃぁねぇのか?・・・教会の悪魔、確か、ヨウルだったか?・・そいつが先に見つけたようだが?」


 少し怒気を込めていた。


 組員達は冷や汗が滝のように背中から流れる幻覚を感じた。・・・恐怖に怯え、何も言えなくなった組員達に親分は。


「・・・テメェらが手を抜いていた事に関しては。・・・本来なら厳罰もんだ。・・しかし、機会を与えてやる。・・今すぐにそいつをここに連れてこい。・・居場所はわかってるんだろう?」


 組員達にとって最大の機会が舞い降りた。


 確かに、悪魔ヨウルの一件である程度場所は絞り込めた。・・・そこから全力で探せば見つける事は簡単。


 組員は。


「!!・・お、お任せください。必ずや連れて参ります。()()()()親分!!」


 組員達は急いで走り出した。


 この悪魔こそ。ソロモン王が召喚し、使役したとされている七十二柱の一人。


 ・・アガレス公爵。・・・地震を起こす能力を持ち、配下の逃亡者を強制的に戻ってこさせる制約を確立させ。超自然的な尊厳さえも破壊できる。・・数ある悪魔達の中でも恐れられる存在。


 無論、彼もその名を冠した悪魔であり、本人では無い。

 


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