95話
「カールと申します。コンスタンティン様の身の回りの世話をしている者です。よろしくお願いします」
「つばめと言います。こちらこそよろしくお願いします」
コンスタンティンさんの……もう無数の階段とかドアとかなんの変哲もない壁とか通ったから、帰り道は分かりません……部屋に到着して現在エルフ族のカールさんとやらにご挨拶中。
エプロン姿で大きな鍋を持った姿が家庭的だ。
挨拶も早々にサラダと先程の大きな鍋から熱々のスープをよそってくれた。う…うまい。
ちなみにユリエルさんは職場に一旦戻ったらしい。
現在コンスタンティンさんと皐月先生と私の3人で食事している。
「コンスタンティン…さまは王宮に何のお仕事をされていらっしゃるんですか?」
「そんな改まって話さなくて大丈夫だよ?この国は身分階級とか無いから好きに呼んでね」
んー……皆んな「様」って付けてるけど偉い人じゃ無いのかな???
「コンスタンティン……さま?」
「パパとかダディとかお父さんでもいいよ?『様』を付けるならお父様でもいいかも」
「コンスタンティンさんとお呼びしてもいいですか?」
「うん、いいよ」
「さま」を付けて呼んだら凄い笑顔でパパ呼びしてと返された。
お父さん呼びは無理かな……私とそんなに年齢違わそうだし。
そして、コンスタンティンさんのお仕事は『人』の研究者らしい。
「『人』又は『人類』、『人間』と呼ばれるのは主に人族、獣人族、ドワーフ族、エルフ族の4種類。つばめの世界と違って種類が多いでしょう?種類が多い分、新種がたまに生まれたりするんだ」
『人』の新種や珍種、希少種が見つかったら保護したり、本人が望めば生活のサポートをしたりするのが主な仕事らしい。
私の養子縁組も仕事の一環だから気にしないでと言われた。
ちなみに養子縁組を解消したくなったらしてもいいけど、その場合不法移民扱いになるので注意して欲しいと言われた。
「不法移民だとどうなりますか?」
「元の国に強制送還だね。つばめの場合は異世界だから罰金刑の後、別大陸に島流しが妥当かな?」
この大陸を出たいならいいけど、せめて罰金分位はお金を稼がないと魔力の強制徴収支払いになるらしい……物凄く痛いし寿命削って魔力を吸われて、金額により寿命が縮むらしい。怖いね。
「後は、ユリエルみたいに戸籍を買うかだね」
ユリエルさんは別大陸から来た為、この国に戸籍があるカールさんの養子に入り、お金を貯めて支払いを済ませて無事に独立したみたいだ。
ユリエルさんが住んでいる所はカールさん所有だが、別の所にもご自身の自宅があるらしい。そちらは別の方が住んでるみたい。
カールさん自体は王宮のコンスタンティンさんの居住区に一緒に住んでいるので、ユリエルさんに家を貸す代わりに家の手入れなどをしてもらっているみたいだ。
「ユリエルの時は別大陸だから、確か戸籍独立に100億ぺリンだったかな?同じ大陸だと50億ぺリン。皐月はいくらだった?」
「私の時は30億でしたね。私は医者として来たので少し安かったです。血縁者がこの国にいて相続などの関係で移住して来るともっと安く済むケースがあるんですけどね」
皐月先生は元々お隣の人族の国の生まれだとか。別の国から軍人や研究者などをスカウトする時などに割引対象になるらしい。
後は別の国からお嫁やお婿に来る際もお金がかかるとか。
「養子を取るのはお金はかからないんですか?」
「普通はかかるわね」
「私は一体いくらかかったんですか?」
「つばめの場合はゼロだよ」
「???」
なんでゼロなの?
カールさんが運んで来てくれたサーモンのソテーを食べながら考え込んでいるとスープのおかわりを勧められたので「大盛りでお願いします」とお願いした。
ー
戸籍について
ユリエルはカールの財産相続として養子縁組に入るのに20億支払い。
財産相続を放棄して、戸籍を独立させるには一旦養子縁組を抜けるので元の別大陸の戸籍に戻り100億の支払いになります。
新たに戸籍取得
別大陸100億
同大陸(皐月)50億ー20億=30億
※皐月は割引20億
相続の為移住1億
結婚の為移住3億
つばめ「何でゼロなの?」




