表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つばめと学ぶ異世界生活事情  作者: とりあえずごはん(・ω・)
第一章 王都一人暮らし編
83/499

物語82.5閑話ロジャー


 今まで普通だと思っていた生活が世間では一般的では無かったと知ったのは、私の『母』と名乗る人に出会って少ししてからだった。




『母』は初めて会った時私に縋り付いて泣き始めた。


 何が起きたか分からなくて始めは唖然としたが、嗚咽を噛み殺す様な泣き方をする母の背中をさすっていると、何だか私まで胸が苦しくなって…途方に暮れた。


  


 その後、父と弁護士が部屋に入って来て弁護士に「お父さんとお母さんどちらと暮らしたい?」と聞かれたのでーー



「お母さん」



 と、まだ泣いている母の背中をさすりながら答えた。


 父に何度も「自分と暮らさなくていいのか」「後悔するぞ」と言われ、終いには激怒して部屋を出て行った。


 正直に言うと…この後どうなるとか深くは考えて居なかった。しかし、「父と暮らす」と言ったら、この泣いて縋っている頼りない母にもう一生会えない気がしたのだ。この人は私が居ないと生きて行けないだろうな、と。



 ちなみに、頼りないと思っていた母がとてもアクティブな人だと判明するにはそんなに時間は掛からなかった。



「この国を出て、カイザス国のお父様…貴方のお祖父様の所に行くわよ」



 よく分からないが頷いた。

 そして、物心ついてから初めて家の外…神殿を出て感動し困惑した。



「あの…外に出ても大丈夫なのでしょうか?お叱りを受けませんか?」



 母にまた泣かれた…しかも道端で。私は母の背中をさすり、本日2度目の途方に暮れた。





 カイザス国までの道のりは大変だったが、書物で読んだ外の世界とは全く比べ物にならない位、毎日新たな発見とワクワクに満ち溢れていた。いやー、実家(神殿)出てきてよかった。




 そして、カイザス国に到着し入国審査時に種族判定の魔道具で調べた時に私の『普通』が偽りだったと理解した。



 種族 人族

 性別 男性

 



「人族?わたしは『●●●』では無いのですか?」



 母にいつもの様に泣かれた。

 通行の邪魔になるといけないので、道の端によけて背中をさすりながらハンカチを手渡す。

 そうか…私はただの人族だったのか。




 その後、王宮の医務室で細かな検査を受け、私を人族の国からカイザス国に連れ出すのを手助けしてくれたコンスタンティン様に挨拶とお礼をして、お祖父様の居る屋敷に到着した。

 これから私は勉強しながらここで暮らすらしい。母は離婚手続きがどうとかで一旦人族の国に戻るらしい。



「お母様と一緒に暮らすと思っていたので少し寂しい」



 母に泣かれた…私もちょっぴり泣いた。


 お祖父様のお屋敷での暮らしは旅をした時の様に色々大変だったが、勉強が楽しくて毎日充実している。







 ちなみに母はカイザス国に戻って来なかった。

 父との離婚を取りやめて人族の国で暮らすらしい。「一緒に暮らさないか」と手紙が来たが私は断りの返事を書いた。と言うか、遠慮した。


 だって、手紙の半分以上がお母様と父のノロケ話しで、しかも「今度貴方の妹か弟が産まれるわよ」と言う文面だったからだ。口から砂糖が大量に出るかと思った。


 お母様の背中をさするのは私じゃなくて父の役目になったんだな。

 お母様はところ構わず泣くから…強く生きてねお父様。


 もう人族の国に行く事は無いと思っていたが、妹か弟には会いたいからその内里帰りでもしようかな。



 私の現在の名前は鈴木ロジャー。

 人族の国の国教分家『巫女の家系』に生まれ、数百年ぶりに巫女の力を宿して新たに生まれた『当代巫女』である。



補足とオマケ


 ロジャーのお母さんはカイザス国の生まれですが、お父さんに丸め込まれて駆け落ち同然で人族の国で結婚しました。


 その後身籠り、ロジャーを出産後、ロジャーに『巫女』の素質を確認。直ぐに引き離され長年会うことが出来ませんでした。


 これではまずいと思ったお母さんは鈴木に土下座して頼み込み、コンスタンティンを巻き込んでロジャーを神殿から救出。


 ロジャーさんがあんまりにも世間知らず過ぎてお母さんは毎回号泣。「もっと早くに助け出せれば…」と自責の念に囚われます。

久しぶりの対面時


ロジャー「高貴なる巫女の家系に生まれし『●●●』なり、我の尊顔を拝謁する名誉を与える。面を上げよ。」

※神殿お仕事時の営業用口調。


お母さん「うっ……ひっぐ…」

(うちの子ヤバイ奴になってる)


 お母さんはロジャーを鈴木家に置いて人族の国に向かいますが、お父さんにまた丸め込まれて結局和解。

 ただ、お父さんも何やかんや国からの圧力やらで懲りたので、この先は大人しくする予定。


 産まれた妹はお父さんとお母さんにデロデロに甘やかされてロジャーとはまた違った意味でヤバイ奴に育ちそうだったので、鈴木が家庭教師を手配。多少我儘だが、何とか矯正は間に合った。

『巫女の家系』のある日の会話


ー妹ー


妹「わたくち、おにぃちゃまとケッコンしゅる!」


ロジャー「うん。」

(妹って可愛い生き物だなー)


父「パパは!?パパと結婚しようよ!なんでたまにしか来ないロジャーに1番懐いたんだ娘よ!?」


鈴木祖父「日頃の行いだな。」


妹「おとーしゃまはヤ」


父← orz


母←弟を授乳中のため別室




ー弟ー


弟「ぼく、おにぃちゃまとケッコンしゅる!」


ロジャー「うん。」

(弟って可愛い生き物だなー)


妹「わたしはおじいさまの家の子になりたい!」兄弟だと結婚不可。プランB

(これでお兄さまと一緒にいられる)


鈴木祖父「今よりもっと沢山勉強しなさい。そしたら考えよう。」


父「何故だ…このままじゃみんな鈴木家行きの未来しか見えない」(号泣)


母←妹2を授乳中のため別室



※人族の国は同性婚が認められています。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ