70話
保冷袋は購入決定したが、魔道具店に来たならついでに見たい物があった。
「鈴木さん、腕時計は魔道具店にありますか?」
「『腕時計』とは…何で御座いましょうか?」
もしかして、この世界に腕時計って無いのかな?
「腕につけるタイプの時計なんですけど…外出した際に時間を確認するのに欲しくて」
「ふむ………この様な物はいかがで御座いましょう?これでも時間は確認出来るかと。」
そう言うと鈴木さんはポケットから懐中時計を取り出して見せてくれた。
「素敵な模様の懐中時計ですね。時間が確認出来れば懐中時計でも大丈夫です」
「畏まりました。それでは2階に参りましょう。」
鈴木さんの説明によると、店にもよるらしいが…物を運ぶ関係で大きい物や関連商品は下の階に、小さい物や高額商品は上の階に置いてある事が多いらしい。
昨日見に行ったガラス専門店では、2階にガラス工芸品の値段高めの物やアクセサリーなどの細かな物が置いてあったそうだ。
1階で瓶を見つけてしまったから、2階はノータッチだったな。
魔道具店の2階に階段で上がって、時計が販売されている場所に来た。懐中時計はガラスケースに入れられて数種類並んでいる。
「懐中時計って時間の確認だけじゃ無くて、色々カスタマイズ出来るんですね」
「私めも使っておりますが、身分証やクレジット機能の魔道具が埋め込まれた物が人気で御座いますね。他にも様々な機能がつけられますよ。」
私はペンダント。ペンダント型の魔道具にクレジット機能や身分証が内蔵をされていが、懐中時計も人気らしい。
ユリエルさんが懐中時計から水を出していたのはそう言う機能を付けたからだったのか…なるほど。
身分証の発行の際にコンスタンティンさんから「指輪とペンダントどっちにする?」と聞かれたので「指輪だと料理する時邪魔なのでペンダントでお願いします」と希望した経緯がある。
「鈴木さん…機能をつけないで懐中時計だけ買う事は可能ですか?」
「大丈夫で御座いますよ。何か気になる物が御座いましたか?」
デザインは無視して、1番安い物を指さした。それでも50000ぺリンするけどね。
店員さんに声をかけて取り出してもらう………うん、シンプルでいいね。この懐中時計を買おう。
手提げ袋と懐中時計を購入して店を後にした。
ー
魔道具店の店員さん
鈴木さん「此方の懐中時計を見せて頂きたい。」
美猫「はい、かしこまりました。」
つばめ(この間の綺麗系美猫さんだ!)
美猫(この間のエルフ族だ!)