62話
支度を済ませて、マシロさんに挨拶してから出かける。
「おはようございます鈴木さん、昨日はありがとうございました。今日もよろしくお願いします」
「つばめ様、おはよう御座います。御礼を申し上げるのは私めの方で御座いますよ。それでは参りましょう。」
馬車に乗り込み、いざ出発。
王宮の馬車乗り場に着いてから、今日行きたい所を鈴木さんに相談した。
「良い調理器具をご購入予定でしたら店が営業時間外の可能性が御座いますので、食器類をオススメ致します。」
仕事帰りに行くお店は手提げ袋を買うお店と食器類を扱うお店に決定した。楽しみだなー。
鈴木さんとは一旦別れて、馬車乗り場で待機していたウルスラさんにあいさつして仕事場に向かう。
「つばめ様、お昼の件ですが軍の方の部屋を手配しますので、そちらでご一緒しても良いでしょうか?」
「はい、大丈夫ですよ。よろしくお願いします」
もしかして軍部の方に行くのかな?軍だと皐月先生のいる第3医務室位しか用事が無いので未知だ。ちょっとワクワクする。
第7長官室の部屋の前に来たので、ノックをすると、いつもより出勤時間が遅かったのでロジャーさんの返事があった。
「はい、どうぞ」
「失礼します。ユリエル長官、ロジャー副官おはようございます」
「つばめさん、おはようございます。」
お辞儀をして入室する。鞄を所定の位置に置いて、お弁当を冷蔵庫に入れる。
冷蔵庫の中にバナナ4本とクルミ入りの瓶が2つ入っていた。きっとユリエルさんとロジャーさんのお昼だな。
給湯室から出て、仕事用の机に着席して仕事を始める。
今日の急ぎは…何だろうこの封筒?中身を見ると紙が入っていたーーー
『こんにちは』
ガタッ
「っ!!!?」
え?え???なんで?
「……さま」
なんで?
「つばめ様!」
「あ……はぃ……」
「急に立ち上がってどうされました?お顔の色が真っ青ですよ…大丈夫ですか?」
「………すいません…」
気がついたらロジャーさんとユリエルさんが目の前に立っていた。
手にしていた紙をユリエルさんに引ったくる様にして取られる。
「……コレは何と書いてある?」
「ただ『こんにちは』と書いてあります…」
「不思議な文字ですね?獣人族の文字ですかね?」
「………何処の国のものだ?」
そっか…この文字をユリエルさんもロジャーさんも知らないのか………そうだよなぁ。
「コレは…私の故郷の文字で日本語と言います」