59話
「ごめんね、今日はオヤツは作らないから、待ってても何も出てこないよ?」
台所で白菜と玉ねぎとしめじのコンソメスープを作っていると、マシロさんが足元で待機していた。
「野菜食べます?」って聞いたらリビングに逃げて行った…野菜嫌いなのかな?きゅうりとか食べさせたらいい咀嚼音が聞けそうだよね。
ちなみにマシロさんに敬語は無しになったよ。本人も了承済みだ。あ、そうだ…お土産選んでもらうの忘れてた!
スープは粗方煮えたので、火を消して粗熱をとって置く。後で冷蔵庫に仕舞おう。
冷凍庫の苺ジャムを冷蔵庫に移しておく。コレで明日には解凍されて食べれるはず。
「マシロさん。布をいっぱい買ってきたけど、お布団にどう?もし使うなら選んでもらってもいいかな?」
私は手芸屋さんで購入したハンカチサイズの布の束を見せた。
ピョンピョンピョンピョン
「みせてみせて〜」って感じかな?跳ねまくってる。
ローテーブルの上に布を並べていき、マシロさんが気に入った布を何枚か選んでもらった。最終的に残ったのは3枚。
うん、全部モコモコな布だね。
しばらくして1枚返却され、残りは2枚……………マシロさんはジーっと布を見てるんだろうな…目があるかは謎だが。
「何枚でも使っていいんだよ?」
ぺこり
マシロさんは布2枚を持って部屋の隅にピョンピョン跳ねて行った。
モコモコ布の1枚を敷布団にして、もう1枚を畳んで枕の様に使いだした。
ちなみに、前にあげたハンドタオルは掛け布団の様に使っている。
ツッコミどころ満載な寝方だけど、私は黙っておく。
ちょっとマシロさんサイズのドールハウスとか買いたくなったけど、それも黙っておく。
「使うなら一回洗濯してもいいかな?」
ふるふる………ズリズリ…ズリズリ
首を振って何やらモコモコ布の上を這いずって、さらに器用に布をひっくり返して同じ作業を始めた…え?まさかそれで綺麗になるの?洗濯機いらずで便利だわー。
就寝準備をしたり、スープを冷蔵庫に仕舞ったりしてマシロさんに「おやすみなさい」して、水曜日の1日は終わった。