52話
ーウェルエル挨拶時ー
『僕はシュルェルウェルエルカイザー』
『こんにちはクマさん』
(中略)
『聞いてると思いますが、私の名前はつばめです。よろしくお願いしますシュルェルウェルエルカイザーさん』
『長いから「クマさん」って呼んで』
ー回想終了ー
…………ちなみにクマさんに名前を呼ばれた記憶は無いけど、ややこしい事になったのは理解した。もしかして婚約してる?
「えっと…私とクマさんはどうなるんですかね?」
とりあえず目の前で土下座している元王女のミアさんは置いといて、ウルスラさんに聞いてみる。
「勘違いから始まった話しですが、一応獣人族のウェルエルが求婚した事には変わりありません。実際はどうとでもなりますし…幾つか問題があります」
知らぬ間にクマさんに求婚されてたのか私…
「まずはウェルエルが未成年なので、そもそも求婚名はこの国ではまだ名乗れないコトになっています」
いきなりぶっ込んで来たなウルスラさん!!クマさん未成年なの!?
「ちなみにクマさんおいくつですか?」
「僕は17だよ」
日本だと高校2年生位か………よく育ったねクマさん。いや、まだこれから育つのかな?
元々クマさんは獣人族の国の生まれらしい。
獣人族の国では成人は15歳だが、カイザス国では20歳。国が違えば法律も違うので、カイザス国ではクマさんは未成年の扱いらしい。
結婚も20歳からなので、結婚自体まだ出来ない。
「しかし、獣人族の国では成人にはなるので…親の許可があればこの国でも婚約自体は出来るかと思います。そこが2つ目の問題でややこしいところなのですが……お二人は書類上は姉弟ですね」
「姉弟?………もしかしてクマさんもコンスタンティンさんの養子扱いですか?」
「はい、そうなりますね。未成年だと保護者のサインや書類関係が面倒ですので、獣人族の国から出てカイザス国の軍に入る際に養子縁組の手続きをしたそうです」
私はそもそもこの世界に戸籍が無かった。なので、ユリエルさんの親戚って事にしてコンスタンティンさんの養女にしてもらったのだ。
何故ユリエルさんの養女にならなかったのかはまた別の話しね。今はクマさんだ。
「クマさんは私の弟だったんですね」
「書類上だけどよろしくねお姉ちゃん」
ちょっとほっこりした。弟の熊がかわいい。モフモフしたいな…ダメかな?
「なので、コンスタンティン様が許可して、片方が養子から抜けるなどすれば結婚は出来ませんが、婚約なら可能だと思います…どうされますかつばめ様?」
どうって…
「弟がいいです」
「かしこまりました。では、ウェルエルの求婚の話しはお忘れ下さい。部下2名がとんだ失礼を致しました。申し訳ありませんでした」
「こちらこそすいませんでした。以後気をつけます」
「それでは職務に戻ります。起立!挨拶!」
「「はい!失礼しました!」」
そう言って、3人は部屋から出て行って、クマさんとの婚約騒動は幕を閉じた。
ー
婚約騒動心中
ウルスラ(ちなみに獣人族の国に連れ帰れば婚約どころか結婚も出来るが、どう見ても2人共結婚する気がなさそうなので黙っておく。)
クマ(女神がお姉ちゃんかぁー…恐れ多いよ)
つばめ(モフモフの弟バンザーイ)
ミア(ウェルエルに変なこと吹き込んですいませんでしたぁあぁぁぁ!!)
ロジャー、ユリエル(空気)