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つばめと学ぶ異世界生活事情  作者: とりあえずごはん(・ω・)
第六章 グールVSエデン連合軍編
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387話



 自宅を後にし、馬はそのまま南門の者に任せて私は羽馬鳥に同乗者として乗せてもらった。



 政府施設には結界があるので、手前に降ろしてもらって私は道なき道を進む。豪華な扉の前に辿り着いたところで、内側からキンが開けてくれた。


 リビングにはコンスタンティン様と朔夜殿が何やら話し込んでいるな。



「只今戻りました。遅くなって申し訳ない。コンスタンティン様、お土産の酒ですがキンに預けて大丈夫ですか?」



「おかえり。キン、預かって。一本は今飲みたいかな?」



「ズームォ様、オススメは?」



「常温なら……このウィスキーだな。コッチは冷やした方がいい。これはーーー」




 キンに酒の説明をしながら、良ければ何かツマミも頼むとお願いするとリビングを出て行った。




「早速で悪いけど、目の精密検査と簡単なテスト受けてくれる?」



「はい、かしこまりました」



 魔道具で現在の魔力保有量を測定。裏にされたカードを当てさせられたり……終いには箱に仕舞った物が何かを当てさせられたり。時限爆弾の魔道具解除させられたり。



「うーん……君ってヴァニア大陸のダンジョンに行ったことあるんだよね? 入ればダンジョンのマッピングとか出来る?」

 


「同階層はわかります。下の階層は離れれば離れる程わかりづらい。ボス部屋は入らないとわからないですね」



「……そっかー。罠も大丈夫?」



「罠の解除は得意ですが、回避不能の作りの物はどうしようもない。そこは避けるしかないです。宝箱も同じで、危ない物は開けられない」



 開けた瞬間、中身共々爆発するような物は私は開けたことがない。



「コンスタンティン様、研究所に欲しいです」



「まだ諦めてないの? 完全にダンジョン攻略の方が使い勝手いいでしょ。でもなー……君って罠ダンジョン単体で攻略出来るんだよね?」



「『極悪罠ダンジョン』ですかね。いえ、ボス部屋の前で引き返して来ましたが……剣も抜いて来れませんでした」



「でも、あの無数の宝箱の中からアタリを引くことは出来ると……何かチグハグだよね? あそこのダンジョンボスは『ケルベロス』だけど、剣を引き抜けないなら火力不足で倒せないし」



 ケルベロスって何だ? 頭が3つある特大の犬? うわぁ……あの大剣を使わないと倒せない仕様のダンジョンボスなので、私では攻略無理だと。



「『お化け屋敷』はどう?」



「裏しか行ったことがないです。ジャンケンして帰って来ました」



「『裏』でジャンケン? カラスの方かな? ああ、今はアッチが裏なんだね。一応正規ルートはそちららしいよ。ゾンビが出る方はオマケみたい」



「驚きです…………」



 オマケがS級ダンジョンとかちょっとと言うか、かなりどうかしている作りだと思う。

 てか、コンスタンティン様はダンジョンにやたらと詳しいな。




「もしかして、どこかのダンジョン攻略に私を行かせたいのですか?」



「端的にはそうなんだけど、入場制限があって1回しか入れないんだ」



 1度しか入れないダンジョンは聞いたことがないな? そんなダンジョンなら有名になりそうだが……。



「何というダンジョンですか?」



「『魔王城』だよ。裏ルートが1回しか入れない。私も長年もう1度入れないか試したけど、無理に入ろうとすると壊しそうだから未だに入れないんだよ。君行けそう?」



「足を踏み入れてみないことには何とも…………」




 アレか、読んで字の(ごと)く魔王の城か? 魔大陸にもダンジョンって存在するんだな。そもそも正規ルートも何だか足を踏み入れたくない名前の場所だ。




「攻略方法はわかってるんだ。ダンジョンモンスターを全部殺し尽くすか、全く殺さないかの2パターンしかないけど……殺し尽くすのは難しいらしいよ? ちっちゃな虫型のモンスターとか大量に出るフロアとかあるから。けど、殺さないので試した奴が気づかずにトラップに巻き込んで入り口に戻ったかもって言ってたかな? 君はケルベロスを倒せないなら、殺さない一択だね」




「コンスタンティン様はどうされたんですか?」



「面倒くさいから、殺し尽くすにしたよ? けど時間オーバーで駄目だったね。キンはどっちだったっけ?」



「私は殺さない方にしましたが、恐らく罠で自分が死にました。気がついたら入り口に居ましたから」



「自死も『殺す』のカウントで死に戻り可能なダンジョンなんですか……」



「でも、ダンジョン産の『身代わり人形』が機能しないみたいなんだよね。お手上げだよ?」




 コンスタンティン様がクリア出来ないダンジョンか。そんなところを私が入って果たしてクリア出来るのか……わからん。



「とりあえず行ってみる?」




「は?」
















 いつの間にか私は不気味な城の門の前にいた。



「お疲れ様。ちょっと入らせてね」



「誰だ? どっから……ぐふっ!」



「ぐがっ!」



「ギャァッ!?」



 全く持って状況が分からないけど、多分魔王城前なんだな。門番? 魔族だこれ。急所が心臓部にある。



「とりあえず入ろっか?」





 コンスタンティン様の導かれるままに、敷地に足を踏み入れると微かに魔力が徴収されたな。ここからダンジョンなのか……ふむ。



「どう? 何か分かりそう?」



「コンスタンティン様が言う裏が全くわかりません。どこにあるんです?」



「32階層の隠し扉の先だよ? とりあえず近くまで行こうか」



 城の前まで行くと魔法陣が光り輝き、魔法陣が展開されてそのままあたりの景色が変わった。



「ここは……」



「この『鳥居(とりい)』って言うのをくぐって。で、前まで行ってくれる? 隠し部屋に入らなければカウントされないから、後はやってみて」



 やってみてって……合言葉…………違うな。先に動作か。


 腰を1回……2回折り曲げてから、2回手をたたいて、何か言えと。




「世界が平和でありますように」

 


 で、もう一度腰を折り曲げる?







 ゴゴゴゴゴッ……




 小さな建物みたいのが横にスライドしたと思ったら、ポッカリと穴が空いてる洞窟らしきものが現れた。




「どうかな?」




「コレは……全くもってわかりません。もしかして、ダンジョンの中にダンジョンがあるんですか?」




「すげー……よく解ったね。行けそう?」




「希望を言えるなら、出来れば万全の準備を整えてからにしたいですね。モンスターを全部倒すか、生かすのかは中に入ってから決めたい」



「なるほど? じゃあ、戻ろうか」




 また行きと同じ動作をしてから、コンスタンティン様は気絶してる門番らしき魔族に張り紙をしていた。




『また来るから、パイロンに宜しく伝えといてね。コンスタンティンより』







 いつの間にか、私はコンスタンティン様の居住区リビングに突っ立っていた。今のは白昼夢だったのか? 違うな。現実か。




「ズームォ様!!? ご無事ですか? お怪我は!?」




「大丈夫だ……ビックリし過ぎて腰を抜かしそうだが」




「ビックリしてるの? 本当に? そうだ、必要な物って何かな?」




「『極悪罠ダンジョン』の槍が欲しいですね……アレが1番手に馴染んでいるので。あそこは何回層まであるかご存知ですか?」




「1階が選択部屋。2階層にジャングル。3階小虫の迷宮。4階層目で中ボス部屋、5階層目がボス部屋だね。君なら時間はかからないかな? 3時間あれば攻略出来るよ」




「では、あそこのダンジョン自体は食料は手持ちで何とか。槍の入手の方が難儀しそうです」



「いや、槍は私が持ってるから大丈夫だよ? コレでしょ?」 



 コンスタンティン様がいつの間にか槍持ってるんだが。おー。コレだよコレ。



「買い上げたいが、オークションでも出回らないみたいなので相場が……幾らでしょうか?」



「あげるよ? 後3本あるから」



「では、お言葉に甘えて。コンスタンティン様は何か欲しいものなどありませんか?」




「…………私の欲しいもの?」




 何か固まってしまわれたがどうした? 凄い色々考えてるようで、元からよくわからない思考だが今は更にぐちゃぐちゃだな。



「悩ませてしまったようです。すいません。また酒など持って来ます。緊急時なんで、私の手持ちの物になりますが」



「悩む? ……悩んでると言うか、私に欲しい物を聞いて来るヤツ珍しいなって。欲しい物を用意する側だからいつも。とりあえず、あそこのダンジョンコアは取り急ぎ欲しい物かな?」



「わかりました。荷物を整理したいので、置いておける場所などありますでしょうか?」



「キッチン横に小さい部屋あるから、ソコ自由に使って? 終わったら声かけてね。もう1回行こう」



 キンにキッチン横の部屋に案内してもらって、マジックバッグから不要な物を出していく。


 携帯食と干し肉、大きめの水筒、予備の市販の槍、コンスタンティン様からいただいたダンジョン産の槍、弓と弓矢の補充は帰って来た時したから大丈夫だな……魔石、救急箱。予備のナイフ2本は腰に火、水の出る魔道具もだな。魔物避けと一応の着替え一式……あ。



「水スライムも欲しいな……」



「水スライムですか?」



「捕まえて来るか……コンスタンティン様に外出許可はいただけるだろうか?」



「聞いてみないと何とも……」




 軽い防具は身につけてるから、後は荷物を持ってリビングに。

 支度は終わったが、水スライムが欲しいと言うと5個手渡された。



「足りるかな?」



「充分です。後で捕まえて返します」



「……わざわざ返してくれるの???」



 また微妙な顔された……何か変なこと言っただろうか? とりあえず、コンスタンティン様はお急ぎみたいなので今はいいか。



「ズームォ様お供させて下さい」



「キン、お留守番してろ。甘い物でも……甘い小豆を煮たのが食べたいから、ついでにコンスタンティン様の分も作って待っててくれ。余裕があったら水スライム捕獲して来てくれるか?」



「……承知しました」



 シュンとしてるキンの頭をわしゃわしゃ撫でて、コンスタンティン様に向き直った。



「私も今回は遠慮しましょうかね。研究所に戻って今の内に水島さんの目玉の保管道具一式揃えて来ます。義眼選び放題。ハァハァ……」



「「ハァハァすんな変態」」



「………」



 私は帰って来たら目を抉り出されるのか……まぁ、なくても困らないからいいか。


 咲夜殿チョイスの義眼入れるくらいなら、ない方がマシな気がして来たな。


 飛び出るヤツとか、目から光線が出るのとか切実にやめて欲しい。



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