44話
「先程の挨拶時は大変申し訳ありませんでしたっ!!!」
目の前で美人エルフと何故かクマさん(熊型)が土下座していた。
ウルスラさんは少しうしろで綺麗な90度お辞儀を披露している。カオス。
現在はお昼ご飯を食べ終わってお茶を飲んでいた所だ。
「えっと…大丈夫ですよ?お顔を上げて立って下さい」
お顔上げたら美人エルフさんは号泣していた。鼻水出てても美人ですね。
挨拶に失敗?しただけでそんなに泣くほどなのかな?回し蹴りされて土下座までさせられる程の事はなかったと思うが、異世界の軍はそんなに厳しい所なのだろうか?
「ウルスラさん…軍ってとても厳しい所なんですね」
「誤解されてる様なので私からご説明しますが、先程私の部下のミアが名乗ろうとした名前は一般的な挨拶では使用いたしません」
「一般的では無い………」
「求婚名です」
何か…どっかでサラッと聞いたなぁ………あ。
「もしかして、獣人族がプロポーズする時に、両親の名前も一緒に名乗るアレですか?」
「そうです。獣人族のほとんどは母の名前、自分の名前、父親の名前の順に名乗って求婚の意思表示をするのですが…ミアがどうも変な勘違いをしまして…」
美人エルフことミアさんは獣人族では無いのに一体全体どういう?
「た…隊長、発言をお許し願いますでしょうかうか?」
「許す」
「はい、ありがとうございます。………実は異世界人はフルネームで名乗り合うのが一般的だと書物で読みまして…違いましたでしょうか?」
「確かに私のいた世界の日本と言う所では、家名を名乗ってから自分の名前を名乗る習慣がありますね。外国だと前後したりしますけど…」
「そう…ですよね……」
土下座再び。
話しをまとめると実はミアさんはエルフ族の国の元王女様で……そう、女性だ。緑のローブ着てないエルフ族初。
『元』と言うのは国を捨てて出てきたのだ。
その時に家名も一緒に置いて来て、異世界人の私に名乗るのにフルネームが無い、さて困ったどうしよう。と、同期のクマさんに相談したら異世界人の常識に合わせるなら獣人族流のフルネーム(両親の名前付き)にしちゃえば?と言われたらしい。
あれ?クマさんシュルェルウェルエルカイザーって自分の名前じゃなかったんだ…長いから愛称がウェルエルだと思ってたよ。
私も王宮に住んでた時に、カイザス国の人は獣人族に合わせて自分の名前もしくは家名の片方しか名乗らないと教わったので、てっきり全て自分の名前だと思って………。
あれ?まずいな…クマさんにはじめて挨拶した時私なんて返事したかな?