42話
早めに出勤したので、今日もそのまま仕事をはじめる。
出勤するのは私が1番早いが、毎朝仕事が割り振られた書類等が机に置いてあるってことは仕事割り振ってるユリエルさんは毎日残業してるんだろうな………お疲れ様です。
急ぎの仕事を先に片付けて通常の翻訳作業をしていると各々出勤して来たので挨拶をする。
「実は給湯室に冷蔵庫が導入されたのでつばめさんも使って下さいね」
「はい???ありがとうございます」
第7長官室にはトイレ、洗面所の他に給湯室と言ってお茶を入れたり洗い場がある小さな部屋がある。
ロジャーさんに話しかけられて気になって給湯室を見に行った。
給湯室には洗い場と電気ケトルの様なお湯を沸かす魔道具、流し台下に埋め込み式食洗機の様な魔道具。ティーセットや食器、茶葉などが入った棚がある。
うん、棚の横に昨日まで無かった冷蔵庫があるな。中を覗いて見たらりんごが2つ入っていた…誰の?
冷蔵庫の上は冷凍庫になっていて製氷器で氷も作れるみたいだ。
お言葉に甘えて早速冷蔵庫にお昼ご飯を入れさせてもらった。一応保冷剤は入れて来たが、冷蔵庫に入れられるならその方がいいよね。
給湯室から出たらウルスラさんと見知らぬエルフ族がいた………美人さんだ。
「おはようございますつばめ様、昨日説明した部下を紹介してもよろしいでしょうか?」
「おはようございます。はい、大丈夫ですよ」
「ご…ごしょーかいにあ…あずかりまちぃた………アメリアミアジョ…」
ゴスッ
「誠に勝手ながら、挨拶は改めさせていただきます。申し訳ありません、一旦失礼します」
美人エルフさんはウルスラさんに回し蹴りされた後、ズリズリ引きずられて廊下に消えて行った。何だったんだろう?
「えっと………何だったんでしょう?」
「コレをやれ急ぎだ」
私が立ちすくんでいると、ユリエルさんに書類の束を手渡された………あ、1番上は昨日のエルフ族の古語の嘆願書の返事だ…共通語からエルフ族の古語に直すのだが、コレ私見ていい書類なのかな?絶対ダメなヤツな気がするけど。
まぁ………いっか、仕事しよう。
私は自分の机に戻りあまり深く考えない様に…………私は何も見てません!この書類の束だけで一体いくらに…ダメ、色々考えるな…無になろう…………お家帰りたい。
ー
嘆願書の内容チラッと
エルフ族の古語
『先王兄殿下、国の一大事ですのでエルフ族の国へお戻り下さい(中略)カール様!お願いだから帰ってきて!王太子殿下がもう限界だよ!頼むよぉぉおぉぉぉおっっっ!?もう我々には手に追えない国滅びちゃうタスケテ』
返信の手紙チラッと
共通語
『カール様はお手紙の受け取りを拒否されたので、代筆失礼致します。エルフ族の国の大事にお力になれず大変申し訳なく(中略)帰ってって言ってるんだよ前から…本当だよ?でもカール様が拒否するんだよ(涙の跡)もういっそ引き取りにきて頼むよ!!』
つばめ(私は何も見なかった、私は何も見てません、カールさん………ダメ考えるな)