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316話



「クマさん、臭いをかぐのはやめなさい。着替え出来ないから」



「くんかくんかくんか……すー…はぁー…」



「えぇ〜……クマさんちょっ…待って!そこはくすぐったっ!!?あははははっ!コラー!」



「………ハルには1回部屋に戻ってもらおう」




 朝からクマさんに激しいスキンシップをくらい、玄関先で待っているハルさんには申し訳ないけど1回自分の部屋に戻ってもらう事にした。


 コンスタンティンさんがクマさんをひっぺがすのを手伝ってくれて、どうにか着替えと朝の身支度を済ませる。

 マシロさんはお留守番するみたい。









「すいませんハルさん、お待たせしました」



「つばめ様、おはようございま…………今日はやめときますか?」



「へ?」



 何だか私の体調が悪そうだと言われた。

 いや、大丈夫ですよ?買い物もしたいし行きましょう。

 てか、行かせて下さいお願いします。












「暫くぶりに来たけど、店がかなり増えたね?」



「いつぶりに来たんですか?」



「いつだっけか?ごめん、あんまり覚えて無いな………アホと来た記憶が……………………200?300?400?500年よりは後だね。確か、朝市が立ち始めた頃に来たかな」



「………建国してるからな。500年だと」



「僕串焼き食べたい」



 クマさんのリクエストでユリエルさん以外串焼きを食べて、目の付いた物を各々買って行く。クマさんの支払いはコンスタンティンさんがしてくれてた。



 鶏肉の串焼きにパクついてるミアちゃんにバッタリ会ったので、ご挨拶。



「ミアちゃんおはようございます」


「つばめさんおはようございます!ウェルエルにハル先輩にユリエル様まで………そちらの方は???」



「私の養父さんです」



「おはよう。君がミアか…おっきくなったねー。産まれたての時に会ったの覚えてる?」



「えー!ココココンスタンティン様ですか!!?すみません、覚えて無くて…」



 挨拶を済ませて、折角だから一緒に回る事になった。

 ミアさんとハルさんって2人とも鶏肉好きだから、結構話が弾んでオススメの鶏肉屋台に足を運ぶ事になった。



「この店の鶏肉って美味しかったんですね!」



「そうなんだよ。ここ普段はお肉屋のお店で土日しか出店出して無いから今日はラッキーだったね。余ったお肉で作るらしいから、何が出て来るかは当日のお楽しみかな」



「もぐもぐ…本当だ。僕牛肉の串焼き屋さんが一番だと思ってたけど、ここのも美味しかったんだね」



「ユリエルさん、隣のお店でスープ買いませんか?」



 テーブルがあったので、隣の出店に移動して皆んなでワイワイしながら朝ごはんを楽しんだ。



「……ミア、カールと今日話し合いをする」



「もぐもぐ…話し合いって何です???」



「……カールと今後の話をするんだ。場合によってはミアは国に返すかもしれない」




 ミアさんは顔色を変えて、固まってしまった。



「………いや、帰りたく無いなら俺の戸籍に残ってもいいが。一旦ミアを引き受けた身で途中で投げ出したりしない。しかし、カールの動きが読めないから、もしかしたらそちらの籍に移る可能性も無くはない」



「……あ、私…出来ればカイザス国にいたいです。…いや、でも帰りたいけど…どうしよう。お父様も心配だし……」



「……そうか。とりあえず方向性だけでも見えたらミアを交えて話し合いたい。大丈夫、ミア本人の今後の事だ、君の考えを無視して勝手に決める様な真似はさせない」



「ユリエル様が何か急に優しさが増して怖いんですけど、どうしたんですか???」



 「私もこの短期で色々学んび、思うところがあってな」と、ユリエルさんが話を締めくくり食事に戻った。


 その後、ミアさんとハルさんは軍に出勤するので、お別れ。クマさんは自宅待機みたい。



「クマさん、お昼のお弁当何食べたい?」



「んー…今お肉はいっばい食べたからお野菜多めに欲しいかな?」



 色々と見て周りながら、各々好きな物を購入。最後にいつものお粥屋さんに寄ってからお米を買い足す。後は用事があるのはお昼用のパン屋さんかな?



「ユリエルと買って来るから、つばめとウェルエルは先に戻ったら?」



「すいません、そうさせて貰います」



 私は荷物持ちを引き受けてくれたクマさんと一緒に一旦自宅に帰って、マシロさんにただいましてから買った物を仕舞って行く。


 お布団は既に圧縮済みだったのでウォークインクローゼットの定位置に戻しておいた。


 暫くすると2人が戻って来たので、さて昼の食事の支度をしようかなと思ったらコンスタンティンさんに呼び止められた。




「ちょっと見せたいものがあるから、ウェルエルとつばめは座って待っててくれる?ユリエルはどっちでもいいや」



「…待て、見せろ。術式の定着だろう」



 素直にクマさんと座って、ユリエルさんも私の横にあぐらをかいて腰掛けつつ、3人並んで待ちの姿勢だ。


 コンスタンティンさんは服を脱ぎ始めた………何処まで脱ぐの?



「コンスタンティンさん、寒くないですか?」



「………つばめ、ツッコミを入れる位なら『きゃー』と顔をそむけるとかのがまだ可愛らしいぞ」



「お姉ちゃんはお姉ちゃんだよね。コンスタンティン様はコンスタンティン様だし」



「つばめは私のパンツたためるらしいよ?私は流石に無理かな…ふふっ」



 コンスタンティンさんの居住区に泊まった時に私の洋服と下着畳んだの誰ですか?まさかカールさんじゃ無いよね???



 パンイチのコンスタンティンさんは、服を一旦置いて何処からかブレスレットを取り出して両腕に装着した。



 すると、スーーーッと入れ墨が消えて行く。




「………お前、そんな顔だったのか?」



「え?コンスタンティン様ってこんな姿だったの」



「んー???」



「内緒だよ?時間が無いから、説明は後にするね…………………はい、お終い」



 ブレスレットと外していつもの神父さんみたいな服を着終わったら、質問タイムである。



「どう?ちゃんと見えてる?」



「……変わらないな」



「変わらないね」



「何が変わったんですか???」



「つばめはずっと私の姿見えてたからそうなるよね?魔力量多いから。術式の阻害は効いてるみたいだったけど、姿の『認識阻害』は多分効かなかったっぽいね。逆にユリエルは術式の阻害は自前の魔道具で読めちゃうみたいだったし」



「………ローブに強力な『術式看破』が組み込んであるからな。『認識阻害』の方はワザと余り身につけて無い。カイザス国には姿を偽るのが居るから、故意に本来の姿を見てしまったら最悪消されかねない」



 私消される!と、思ったら魔道具とかで故意に見る訳じゃ無いんで大丈夫らしい。



「まぁ、暗黙の了解ってヤツだから、つばめはそこまで気にしなくていいよ。見られた相手もつばめの魔力が高いの分かってるだろうし、何か接触が会ったら相手の意向に従えば大丈夫かな?変装みたいな感じだから、そこまで気にするのもいないだろうし」



「………………分かりました……結局、コンスタンティンさんの顔は元から素敵だったと言う話しですね」



「ふふっ…ありがとう褒めてくるて?ユリエルそんな変な顔するなよ?もう魔力が漏れないから痛めつけるとしたら直接やらないと駄目じゃないか」



「……全力で遠慮する」



 コンスタンティンさんは変わらず黒髪短髪の黒っぽい肌に紫色の眼で変わらない。

 そして、ちょっと男らしい顔付きの超絶美貌。今日も素晴らしいね…毎日見ても飽きないよ。


 クマさんとユリエルさんも本来の姿を見たのでそのまま固定で見えてるみたい。他の人はイメージで変わるか、良く見えない様な仕様になってるぽい。



「大地神教者の偶像対策もあるんだけど、余り私の顔が割れてると動きずらいしね?ユリエル大変だよね」



「……1回試そうとしたが魔力量が足りなくてダメだったな、仕事に支障が出そうなのでやめたな。既に顔が割れてると普段使いは向かない」



 ユリエルさんをユリエルさんと認識出来なくなった人がいて駄目だったらしい。確かにそれはそれで不便だね。



「僕にも教えてくれて大丈夫だったの?」



「ウェルエルはいい子だから、故意に私の容姿を広めたりしないでしょ?」



「そうだね…いつも落書きみたいなお顔だったから、僕はこのコンスタンティン様のお顔の方が好きかな」



 落書き顔ってどんなだろう?ちょっとクマさん視点で見て見たかったな。

 その後はひたすら4人で料理した。今日はギョーザパーティだからね!

 野菜のや、海老が入ったのに、変わり種。ご飯も炊いて、パンも一応用意。


 タレも各種作って甘い物はお菓子店に買いに行こう。



「お酒飲みますかね?」



「………欲しいな。酔ってから話したい」



「私酒選びたいから、ウェルエルつばめとお菓子選んで来てよ?…はい、これ財布代わり。ウェルエルのオヤツは10万ぺリンまでね」



「わかったー…………オヤツに10万ぺリン?……まぁ、もういっか。ごちそうになりますコンスタンティン様」



 コンスタンティンさんがクマさんの餌付けに成功してる。よしよし、着実にクマさんにご飯をいっぱい遠慮無く食べさせよう計画が進んでいるんで何よりです。



 その後、初めて『お菓子店シャングリラ』に足を踏み入れたクマさんさんは、涎を垂らしそうな勢いで色々購入していた。





「お菓子屋さんのお菓子ってあんな高いんだね…」



「材料もいい物なんだろうけど、殆ど人件費とかだよ。ほら、お菓子作るのって手間暇と魔道具使うから。私が作る時は朝市とかの安い材料で簡単な物しか作って無いからクマさんは気にしないでね」



「わかった。僕気にしない…お姉ちゃんの作る甘い物美味しいしね」






 自宅前に馬車が停まってると思ったら、どうやらコンスタンティンさんとユリエルさんが酒を大量に買って運んでもらったらしい。



 どんだけ飲む気だあの2人。



 クマさんのお弁当を後で届ける約束をして、コンスタンティンさんにお財布代わりの指輪を返却し、クマさんは隣の自宅に帰って行った。

 



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