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つばめと学ぶ異世界生活事情  作者: とりあえずごはん(・ω・)
第四章 ゴブリンのスタンピード編
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284話




 野営地をほっつき歩いていると、元同期に声をかけられた。



「何処行くんだよ」



「ほっつき歩いてるだけだが?」



「じゃあ、ついて行く」



「いいのか?」



「おうよ」



 世話好きの部下がさては漏らしたな。仕方ないから連れて行くか。何となくそんな予感はしていた。



 羽馬の繋がれているところで3人仲良く羽馬を借りる。勿論私がチョイス。



「どちらまで?」



「ちょっとベスティア国側を少し見て来る。明日は雨だからよろしくな」



「では、羽馬は明日休ませます。行ってらっしゃいお気をつけて」




 実は明日は昼間晴れなんだがな…夜から雨なんで嘘は言って無い。その先は当分雨だ。





 そのまま羽馬に乗り、行ける所までベスティア国を飛んで行く。




「ここまでだな。休ませてやろう!そろそろ限界の様だ!」



 2人に手で合図すると声を張り上げて羽馬を着陸させる。羽馬を世話好きの部下に任せて、私と元同期は近場を散策。




「ここら辺がいいな」



「相変わらず唐突だな。俺は何すればいい?」



「魔物避けでも吸ってろ」



「了解」



 私はマジックバッグから手持ちスコップを取り出し、地面に穴を掘り桃の種を植える。


 離れた場所にも何箇所か植えて行く…コレはクラーケンに果物剥いてやった時のを取っといたんだ。



「何してんだよ?」



「?見れば分かるだろう。種を植えてる」



「いや、そりゃ見りゃ分かるが……まぁ、いいや。てか、こんなところに埋めて芽が出るかそれ?」



「全部は無理かもしれないが多分出るだろ。ダンジョン産みたいだし」



「………は?他大陸の桃の種が何でこんな所に???」



「いや、多分エデンのだな。大輔が送ってくれたんだ」



 意味が分からないって顔されたが、いつもの事なんで放っておくか。

 エデンにダンジョンがあるなんて普通の奴は知らないよな。



 ここら辺は植え終わったんで、休むか。






 羽馬の横にマジックバッグから出したテントを張ってーーー。



「見覚えあるなその鞄………」



「昔買ったマジックバッグとテントだな」



「良く壊さず使えるよな」



「手を動かせ」



 マジックバッグは内容量は精々浴槽分だし、分類が出来ない。

 出し入れする時魔力を使うんで、ハズレを引くと辛いらしい。後は引いた物を直ぐにまた仕舞うと耐久が減る。


 私は手を突っ込んで目当ての物が大体分かるんで余り不便では無いが。


 ユリエルが持参したマジックバッグは上級魔道具使用免許扱いだが、これはヴァニア大陸のダンジョン産でカイザス国の免許分類は今は中級扱い。


  重さは軽減されるが、入れすぎると壊れるみたいだし、利用者登録を必ずしないと使えないので常人にはかなり不便だ。

 何より、魔法陣を刻んだ魔石の類は中に入れると反発し合うんでダンジョン産じゃ無い魔道具の類いは仕舞えない。


 結局、値段と耐久性考えたら普通に運んだ方がいいとの事でエデンでは全然出回って無い。

 ヴァニア大陸の冒険者にはマジックバックは結構人気だがな。それでもこの性能だと粗悪品だ。

 エデンに持って来るとなると輸送費もかかるからなー………。




 テントは2人用のポンッとワンタッチで広げられるやつ。久しぶりにフィールドで広げるんで、一応性能確認がてら出してみた。2つ広げて、問題無さそうなんで付属の杭を地面に打ち込む。主に雨の日用だな。







 テントが出来た所で夕食。とりあえずサンドイッチを水で流し込むようにして食べる。

 これから先は傷みの早い物から食べて行かなくてはな。



「ちゃんと人数分あるところが凄いわ。俺現地調達だと思ってレーションと干し肉位しか持って来なかったぞ?」



「もぐもぐ…何となくな。水スライム持って来たか?」



「一応」



「それがあれば充分だ。羽馬はもう帰しても大丈夫だろう」



「手綱を離して来ます」



「俺も行く。水島は来るなよ、あいつら帰らなくなっちゃうから」



「わかった」



 魔物避けに火を着けてボケーっとしてると、直ぐに2人共帰って来た。



「見張りの順番は?」



「今日は無しでいい。4時間後に出発する」



「了解」




 私が1人でテント使っていいと言われたんで、お言葉に甘えて休ませてもらう。それじゃ、また後で。










ー4時間後ー


 テントを片付けて魔物避けで一服してから、3人仲良く手を繋いで夜道を歩く。私は真ん中。




 今日は月も無くて僅かな星明かりのみ。風もないんで靴音がよく聞こえる。


 所々腕を引いて2人に障害物を避けさせる。転ぶ前に立ち止まる。



「見えてるのか?」



「いや、何となくかな。ちょい待ち…よし、いいぞ進もう」



「昔より何か色々磨きがかかってるな〜」



 1回トイレ休憩。2人にはマイスライムを携帯させた。私?私は野良で充分だ。今回は小さい方だったんで必要無いしな。







 それから、ひたすら歩き続けると朝日が立ち昇って来た。




「ここら辺が良さそうだな」



 また、桃の種を植える…ここは3個でいっか。



 魔道具から水を出して手を洗い、朝食にまたサンドイッチとおまけの林檎。



 林檎の食べ残しも埋めてみた。ダンジョン産じゃ無いんで、これは育たないだろうな。分からないが。



 少し長めの休憩なんで、私は地面にゴロンと横になった……あー、疲れたな。


 ウトウトしはじめたので、1時間だけと言って目を瞑った。









 起きたら世話好きの部下の背中の上だった。



「……む?どう言う状況だ???」



「その歳でおんぶされて爆睡とか、笑わせるなよ。よだれ垂れてるぞ」



「ああ、すまん。とりあえず下ろしてくれ……もう昼か?」



「かがみますよ。はい、どうぞ」




 あー、方向は合ってるっぽい。世話好きの部下には城壁を回避して向かうとアバウトに教えてはいたが…よく分かったな。

 因みに元同期は道順どころか何処に行くかも知らないで着いて来たみたいだ。凄いよな。






 




 もう少し先の森の方に進んでみよう。



 


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