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つばめと学ぶ異世界生活事情  作者: とりあえずごはん(・ω・)
第四章 ゴブリンのスタンピード編
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255話



 作戦司令部に行く前に、軍の第1隊長室に向かう。別名書類部屋だな…大輔が隊長になったんで、重要書類時に使うハンコの登録書き換えやその他諸々引き継ぎやらだ。と、言っても実際は副隊長と隊長職の実務はそれ程の違いはない。


 命令系統をはっきりさせる為に序列をつけてはいるが、どちらかと言うと第1隊長代理の意味合いもある。


 他の部隊は違うが、第1部隊の副隊長だけは第2部隊以下の隊長にも場合にもよるが…命令権がある。実質軍のNo.2だな。

 



「神様の通路も確認しましょう」




「ええ、勿論」




 凄い嬉しそう。そうだよな大地神教者だもんな。ルート確認の為に2人でコンスタンティン様の居住区に向かう。




「いつもと道が違う……?」




「多分此方が正規ルートなんでしょうな。前第1隊長と一緒に来た時は私もこの道順でした」




 第1隊長だけに知らされる道順は流石に知らなかったみたいだな。


 私たち2人は他の隊長職も経験しているので、時間のかかるルートの道順は知らされていたが、コチラはショートカット出来て便利だ。


 相変わらず変な道やら壁やら通って……段々嫌な予感がして来た。しかし、気にせず進む。




「作戦司令部本部で大輔隊長の急ぎの仕事はありますか?」




「いや…粗方終わらせて来ましたが………」




 道順を必死に覚える為か…多分違う理由で返事がおざなりなのか。

 大輔の口調すら前の様になおっている。もう私に敬語は必要ないんだが、今はそっとしておこう。



 コンスタンティン様の居住区にたどり着いた所で廊下を進み、扉の前まで来ると内側から扉が開いた…………は?扉が開いた????













「丁度良かった。お腹空いたからごはん作って。炊き込みご飯作れる?」




「………………もちろんです。『我が君』」




「折角だから君も食べる?」




「あ…いえ。私は朝食を食べて来ましたので、大変申し訳ありませんがご遠慮します。仕事も残ってますので………」




「そう?じゃぁ、ちょっとコレ借りるね」




「どうぞどうぞ」




 『コレ』と言われた大輔と、コンスタンティン様は部屋の中に入って行った。


 扉が閉まった所で元来た道を早足で戻り、最終的に走って第1隊長室に転がり込んだ。

 服が汚れるのも構わずに、その場で疼くまってバクバク言う心臓を押さえて呼吸を…整えたいが無理だな。








 アレを神と崇めたくなる気持ちが私には分からない。





 至近距離で見たのは今回が始めてだが、点検作業と言う名の散歩の時は体内魔力を抑えてくれてたみたいだな………昔のユリエル来訪前後を思い出した。


 あの禍々しい圧力?はやっぱりコンスタンティン様のものだったのか〜………一時期カイザス国の大地神教者が大騒ぎしてたが、普段のコンスタンティン様とあの禍々しいオーラが神様と結びつかなかった。信じたく無かったとも言う。


 あの時は魔力に敏感な者が使い物にならなくて国の機能が一時麻痺してたな、うん。



『神様』って言うからもっと神々しい感じを想像してたんだが、とんでもない。

 アレは危険だろ。勘が全力で逃げろと警告をガンガン鳴らして……そして、大輔のあの笑顔に戦慄せんりつした。



 遭遇しただけで「あ、死んだ」と思わず言いそうになった程の存在を前にして心からの満面の笑顔だぞ?気が狂ってるとしか思えない。思い出しただけでも鳥肌が凄い。



 呼吸を整えながら体の強張りを解いて行きたいが、身体がまだ言う事を聞かない。



 バクバク言ってる心臓辺りを押さえながら、片手をゆっくりグーパーグーパーゆっくりし……駄目だな。よし、何か楽しい事を考えよう。嫁可愛い。嫁最高。嫁が全て。嫁の料理食べたい。いや、嫁さんを食べたい。




 嫁に会いたい。


 今すぐ抱きしめて、縋って泣いてしまいたい。「甘えん坊さんですね」なんて言われながら、どろっどろに甘やかして欲しい。




「ふーーー…………あ、生きてる。嫁ありがとう」



 深呼吸を繰り返して、問題無さそうな位になったので苺の箱と書類の入ったアタッシュケース片手に部屋を出て作戦司令部に向かう。

 仕事しよう。引き継ぎ終わって大輔は今日1日……いや、多分数日休みだと伝えよう。









 作戦司令部の会議室に到着後、引き継ぎが終わった事と大輔の休みを伝えて、幾つか指示を出して差し入れの苺を一箱除いて置いておく。

 適当に皆んな摘むだろう。私も早速食べる……実が大きくて甘酸っぱくてジューシーだな流石高級品。



 オヤジは恐らく城壁上にジョゼフィーヌといるだろうから…………折角だから、ベスティア国の鳥種の伝令を使おう。苺の箱と手紙を手渡して、オヤジに届けてもらう。




「オヤジには、無理だったら引き返して来る様に伝えてくれ」




「はっ!かしこまりました!行ってまいります」




 おぉう、ソコの窓から行くのか…豪快だな。苺の箱を袋に入れて、括り付けてから送り出してやる。





 暫くすると戻って来たて、獣化を解いて元気よく報告してくれたのでひと言忠告しておく。



「とりあえず何か羽織ってくれ。ベスティア国だと問題にならないかもしれないが、ここはカイザス国だからな。今回は不問にするが、この先毎回裸だと困る」



「はい!」



 「きゃっ♪」とか言って手で顔を覆っている女性陣の一部、指の間から見ちゃいけません。部屋に居合わせた恋人やら、この場にいない旦那に知られたら困るぞ。同性愛者もいるからな……。



 全裸を除けばいい伝達手段なんだがな。羽馬や羽馬鳥の所までわざわざ行かなくていいのは、時間短縮したい時には非常役に立つ。


 コチラで使ってもいいと言ってくれた2番目の伝令役に感謝だな。






 オヤジは次の日戻って来た。苺は無事に届いたらしい。正式な伝令では無いが、手紙と言う形のザッとした戦況報告が私の元に届いた。


 ベスティア国とハイルング国の島地を結ぶ3本橋は右のを誤って爆破して1本破壊。何やってんだぁ〜。

 まぁ、元々1本潰してもいいかも知れないと言ってたんで、カール様的には多分大丈夫かな?


 橋の設定解除の『協力者』に高級苺を手渡してくれた様だ。しかし、真ん中は今設定解除中と。


 ゴブリンが多すぎるんで、真ん中の解除が無事に終わったら西のベスティア国と港地を繋ぐ2本橋に向かいたいと。確かにあちらの方が静かだろう。



「ついでにベスティア国にカール様から援軍要請が出たと知らせてくれたのか……オヤジ、正規の伝令追い抜いたのか」



 ワイバーンに乗って来る様な強いオヤジの言う事だったんで、ベスティア国も信用したのか。普通は正式書類が無いとダメだろうが…お国柄だな。



 『協力者』ことナロ隊長とユリエルに苺も届いたし、次は違う果物と、ナロ元隊長に高級肉でも送るかな。




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