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つばめと学ぶ異世界生活事情  作者: とりあえずごはん(・ω・)
第四章 ゴブリンのスタンピード編
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244話



 更に頭の痛い話しが、浮上した。ゴブリンが溢れ出てる大きな城壁結界が展開されている場所はハイルング国の王都らしい。

 因みに城壁が壊されてるのは王都に1番近い都市みたいだ。


 更に厄介なのが、ハイルング国は港が2つしか無い。

 しかも、陸地の方は大型船は停泊する規模じゃ無いし、大型船に対応している入国審査用の島がもう一つの港だがそれがやたら遠い。




「羽馬で近づいても魔物だと思われて攻撃されるし、普通の兵士が近づいても敵とみなされそうだし、大型船で港に近づけないし……橋が使えなかったら詰んだ気がします」




 仮宰相が絶望の表情を浮かべている。私も絶望したいが、現実を見なければ。




「我々が取る最善の手段に何かお考えはありますか?」




「王都以外の都市は上級貴族が管理してます。城壁が破られた所が1番大きな派閥の上級貴族が住んでる所でしたね。女王陛下のいらっしゃる王都も城壁結界を最大範囲にして対応してるので恐らく外と連絡するのは相当大変でしょう…城壁から出る事は出来ますが結界の内側に入れないので私の手紙も届けられない」




 援軍要請を出したと知らせるなら、城壁に穴が空いて結界が機能してない都市の上級貴族と連絡を取るのが1番確実だと言われた。




「あそこに行くんですの………」




 何やらブツブツ言いながら考え事をしていた花子殿がカール様の提案にバッと顔を上げた。




「あそこの上級貴族が取り込めたら後は楽です……生きてたらですが」




「死んでたらどうするのかしら?」




 派閥やら声をかける順番を説明されたが、ちょっと頭がこんがらがって来た。

 軍には明確な階級や多少派閥はあるが、派閥争いで仲が悪いとか中立とか言われてもな。軍で上の者の命令を聞けないなら実戦で死ぬ。

 ベスティア国も強い者に従うスタンスなんで、私より寧ろよく分かって無い顔をしている。


 率直に「面倒ですね」と答えたらカール様に匙を投げられた。




「…………どなたか貴族や派閥にについて詳しい人はいませんか?いちから説明するのがとても大変なんですが」




「私は存じ上げますが、知識でしかわからないのでちょっと生粋の貴族の考え方は難しいですわ。多分、神聖帝国やフォーゼライド国出身者が理解しやすいと思いますの」




「ゴブリンまがいの神聖帝国と蛮族のフォーゼライド国ですか…………さて、どうしましょうかね」




 エルフ族とドワーフ族が仲が悪いのは何故か世界共通だが、ハイルング国もやはり例外ではない。

 そもそも交易自体もベスティア国と、カール様経由のカイザス国としかしてないからな。


 とりあえずこの話は一旦保留にして、花子殿が考えていた『エルフ族と魔道具でヌシが作れるか』と言う話しを聞く事にした。




「結果から言いますと、可能ですの。相当な魔力は必要でしょうけど、エルフ族が沢山いらっしゃるハイルング国なら魔力をゴリ押しで魔道具が機能すると思いますわ。なので、やはりカール様には親族鑑定検査かもしくは『ヌシ』に思い当たる人物がいたら教えて頂きたいんですの」




「検査は不要です。魔力量と性別から言って該当する人物が女王陛下しか存在しません。これは口外しないで頂きたい」




「………『ヌシ』が女王様で……討伐しても構わないんですか?後からベスティア国に責任問題とか言われても困りますよ?」




「構いません。寧ろ『ヌシ』にされてしまった女王陛下を早く殺して苦痛から解放して差し上げたい」




 言質は取ったぞ…しかし、カール様の実の妹が『ヌシ』か。魔力量から言ってかなり強敵だろう。『ヌシ』の正体を秘匿しながら討伐するのは中々骨が折れそうだ。




「カール様は、ゴブリンに攫われた女性の扱いに関してハイルング国ではどの様に考えておいでですか?」




「個人的には殺して欲しいと考えています。しかし、それはあくまで此方のゴブリンの資料やカイザス国に長年住んでいる私の考えで、ハイルング国の者の考えはバラバラでしょう」




 「王太子が無事なら楽でいいのですが…」と言って話を止めてしまった。


 もしかして、カール様でもハイルング国ではまだ柔軟な考えの方なのか?誰か違うと言って欲しいが、入隊したての今より更に非常識なユリエルを思い出して「あ、エルフ族無理かも」と思ってしまった。


 トイレ標識を未だに間違うユリエルだが、そんなのはまだカワイイもんで、移住当初は一体何人の人物が正当防衛で「他種族は脆いな」と言って大怪我させられた事か。



 ユリエルの所為で『過剰防衛』の法改正が正式に受理されてからは半殺しで済んでいるらしいが………報告を受けた私は死んだ方がマシなレベルの半殺し具合だと言いたい。



 新規移住者が学園都市で一定の教育を受ける義務が発生したのは全部ユリエルの諸行の所為である。


 大陸は違うが、あんな非常識なエルフ族がいるハイルング国に向かわねばならない部下達が物凄く心配。


 心配なんで、私はハイルング国の大まかな法律をカール様に説明されて後で文書で提出してもらう約束を取り付けた。



 語学に堪能な軍の者と学園都市にハイルング語やエルフ族古語に詳しい者を招集命令を出さなければ、と頭の中で考えを巡らせる。




「ハイルング国に大元の法律はありますが、基本的には都市によって上級貴族に采配が違うのが特徴ですね。大体派閥で同じような決まりもあるので……どうされました?」




「大規模な援軍派遣の前に勉強会を開催しようと思います。お手数ですが、カール様にもご協力頂かないと現地で大変な事になりそうな予感がします。第7文官長の仕事の方は部下の方に仕事の割り振りをお願いしたい……後はとりあえずベスティア国元宰相の撮影した映像記録をこの後公開して、軍とカール様で何処の城壁から向かうか認識の違いの誤差について擦り合わせをしたいと思います。魔女様だけ残っていただいて、一回解散いたしましょう」




「学園の教師の手配と、カール様と考えて軍の草案だけでも私お作りしましょうか?映像を見たのは私とカール様だけですのよ…第1隊長の仕事が少し減ると思いますの」




「大変助かります。後、私の部下に事付けを幾つかお願いしたい」




 もう花子殿には何も突っ込むまい。草案とは言え軍事行動の立案まで出来るとか、本当『自称お茶屋』の佐藤家らしいと思う。



 カール様は結界が展開出来る懐中時計の魔道具を魔女に手渡して、ユリエルにひと声かけてから花子殿と一緒に部屋を出て行った。


 さて、私は魔女様に話を切り出そう。




「コンスタンティン様は今何をしていらっしゃるかご存知か?」




「ふふふ…」




 毒々しい笑顔に私は心が折れそうになるのをなんとか耐えて、少しでも情報を聞き出す為に勇気を奮い立たせた。


 私の考えだと…魔女様とキチンと交渉しなければ、エデンは滅びると思う。




何も知らずにつばめは皐月先生に対してフレンドリーに対応してましたが、皐月閑話後だと如何につばめが凄い事してたか分かりますよね。

気軽にジャム贈ったり、お家に呼んだり。終いには神聖帝国の方とか交えてお食事会なんて開催しちゃったり。


護衛組

ウルスラ「女子会も凄かったが…食事会……」

クマ「お姉ちゃんだから」

ミア「…………そーだネ」(遠い眼差し)

ハル「このメンツ…ぇ…ん?あ?えぇ?」(涙目)


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