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つばめと学ぶ異世界生活事情  作者: とりあえずごはん(・ω・)
第四章 ゴブリンのスタンピード編
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240話



 カール様、ユリエル、ベスティア国代表仮宰相の猫種、第1部隊隊長の私の4人で別室に移り、床に座らせられた。




「全員魔道具類は身につけるな。全部出せ」




 全部って…わかった、わかったからそんな怖い顔で睨むな。

 身分証その他色々全部ユリエルに手渡して、恐らくユリエル自前の封印の魔道具に仕舞われた。ん?どっから出したその箱?




「マジックバッグか。そうか、限定解除中だったな」




「あぁ、エデンに来てから没収されて研究所送りにされていた。やっと手元に戻って来て一安心だな。武器の一部が特級扱いで未だに封印中だがな…」




 武器の一部はエゲツない性能の『カミュシリーズ』だろう。黒い槍とか特級だな。弓に後は大剣に双剣。ブーツも入ってたか?


『マジックバッグ』はサミュエル・カミュが考案したとされ、見た目は普通の鞄だが容量が普通の鞄レベルじゃ無い。



 取り扱いは上級魔道具使用免許以上、もしくは上級魔道具技師免許保持者だ。


 ユリエルは現在中級魔道具使用免許(限定上級)免許保持者になる。確か技師の方は中級だったな。

 国に縛られないギリギリの免許や資格類を上手に取っているヤツだ。

 国を跨いで商いする商会の護衛とかはこんな取り方をするのが多いな。



 ユリエルは封印の魔道具の箱を部屋の隅に置いてから、懐中時計を取り出して結界を展開させた。




「誰かここのダンジョンの設定をイジった者がいる。コンスタンティンじゃ無い」




「やはりそうか」




「コンスタンティンの住処を荒らすなんて…正気とは思えません。本当ですか?」




「?」




 ああ、流石に仮宰相は他国人なので知ら無い様だが、神様の住まいであり政府施設でもあるココがダンジョンだと言う事は軍だと隊長、文官だと文官長は知って居る筈だ。仮宰相に説明すると驚いた様子だった。




「ダンジョンって…え?私の知ってるダンジョンと違う様な……」




「まぁ、今はとりあえずここがダンジョンだと認識すればいい。話の続きだが、前から設定が変わっている箇所が何箇所かあった。コンスタンティン様も点検を怠ってるので気がついて無いんだろう。今日は一夜にして建物が増えている。明らかにおかしい」




「もしかして、奈々彦さまの威厳を保つ為に建てたと言う住まいの事か?」




「そこまでは私も知らないが、北側に建っていたな」




「ではそうだな…」




 ダンジョンコアの場所までは知らないが、恐らくマスター登録は神様の筈だ。てっきり神様の了承を得て建てたのだとばかり思っていたが、カール様のあの様子だと誰にもお会いして無い様にも見える……妙だな。




「ここは危ない。盗聴盗撮は自由にされてると思った方がいい…流石に私の結界内なら安全だろうが、これでも盗聴防止などは出力最大に設定している。結界内以外では不用意な発言は控えろ」




「わかった」




「わかりました」




「緊急時にこの人選で外で話すのも不自然ですし、困りましたね」




 結界維持が大変だろうと言う事で、カール様が代わりに懐中時計の魔道具に触れて魔力供給する事になった。


 話を援軍要請の話に切り替える。




「援軍要請は出しますが、橋の設定はハイルング王家の者にしか機能停止が出来ないんです。私が行けばいいのてすが、コンスタンティンとの誓約により私はここから動けません。しかも、最悪な事に持ち回りの緊急時城壁結界発動者がずっと私のままになっています。コンスタンティンに解除して貰いたいがそれも出来ない」




「そうだったのか………」




 カイザス国の城壁結界は神聖帝国や恐らくハイルング国と違って常時発動では無い。


 警戒レベル2になると発動するそれは首都クリスタだと強力な物を二重に使う関係で持ち回りだ。外側の城壁が1層、内側の首都クリスタで2層目になる。

 軍はこれから1層目の医療都市に移動する事になる。


 医療都市の住民は一部を除いて首都クリスタ地下にあるシェルターに移動する事になる。


 高い土地代や金を払ってでもこぞって首都クリスタに移住希望者が絶えないのは、神様の存在と強力な城壁結界のお陰だ。金で安全が買えるからな。




 城壁結界の持ち回り人物は神様、カール様、魔女様。


 一方通行の橋は全部で2箇所。ベスティアれ国とハイルング国を繋ぐ南側3本と西側2本。更に『島地』と呼ばれる王都がある所と西側の土地を繋ぐ橋が4本。西の土地には港があるな。 




「他の王族はいかがだ?」




「女王と王太子……しかし、王都の結界が範囲ギリギリまで発動してゴブリンが中から出て来ていました。中の様子がどの様な状態か分かりませんが、恐らく女王が結界を維持してます。王太子も王都に居るでしょうが、アレでは城壁外に出るのは無理でしょう。後は……ファイもですが、今更こちらに返してくれるとは思えません」




「詰んだ………」




 仮宰相が絶望的な顔をして呟いた。

 私は行儀が悪いとは思ったが、床に大の字で寝そべった。しばし独り言を呟きながら考えを巡らせる。




「橋が使えないとして…仮に船で輸送したとしても西側までだな…島地行きの4本の橋が一方通行では…そらから地道に…」





「一方通行と言っていますが、実は一方通行ではありません」



「へ?」



 ゴロンとしていた体を起こして、カール様の話を聞く。




「あの橋はエルフ族…推定寿命400歳以上の魔力保持者と魔物なら行き来が可能です。設定を逆手に取られてたまにゴブリンまがいが無断で入り込みますが……スタンピードが終わったら完全鎖国に切り替えます。私たちの事はそっとしといていただきたい」




「わかった。しかし………もしかして、魔物は魔族でも入れるのか?」




「………胎内に魔石が有れば入れます」




「まさか、獣人族の一部が橋を渡れる?」




「理論上は入れますね」




 獣人族に紛れた魔族が入れるのか…空からの輸送とそれだけで大分マシにはなりそうだ。




「カール質問なんだが」




「はい、何ですかユリエル」





「俺に橋の解除は出来ないのか?」










 ユリエルの質問でカール様の微笑みが消え失せた。




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