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つばめと学ぶ異世界生活事情  作者: とりあえずごはん(・ω・)
第四章 ゴブリンのスタンピード編
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230話



 密書の内容を追加して、後続の伝令に手渡す。



「魔道具はどこまで扱える?」




「私のです?初級になります」




 初級でも扱える頑丈な保冷箱の魔道具に焼いた高級肉をこれでもかとプラスチック製品に詰めた物と、保冷袋に入った干し肉をついでに手渡す。


 後は大きめの保冷・保温の魔道具の水筒に氷水の入った水筒。今年は猛暑だ。幾ら夜でも外は暑い。羽馬もまだ疲れてるだろうから、カイザス国のを貸し出した。



 鳥種の獣人族は獣化したのもそうだが、日中飲まず食わずで来たため、脱水気味だったらしい。




「もし、映像記録の撮影許可が出たらコレで記録映像と写真を撮って来て欲しい。封印してあるので初級でも問題無い」




「分かりました…ハイルング国上空からは撮れないんで、ベスティア国側からになると思います。映像記録だけじゃ無くて、本当は上空も飛んじゃいけないんですけどね。私はこれから処罰されて来ます。食事美味かったです…どうか、御武運を。」




「協力に感謝する」




 ハイルング国は不可侵条約が組まれている。エルフ族以外が『隷属の首輪』を付けないで国に入った場合は魔力の強制徴収で全ての魔力が吸われ、ハイルング国に提出する義務がある。後続の伝令は国に帰ったら死刑だ。










 神聖帝国の代表者が到着した。参謀役だと言う人物で、軍属だが『聖女の家系』筋の分家に当たるらしい。家名を言われたが、私はピンと来なかった。副長は分かったらしい。ふむ…。



 情報の照らし合わせをして、参謀の話しを聞く。



「神聖帝国民は戦闘には余り向かない。軍の派遣は少数にして、どちらかと言うと食料生産で補給物資のバックアップと特に魔力量の高い皇家、『聖女の家系』、『巫女の家系』から1人づつ人を出しますので、現地の魔力供給、血統結界でも好きにお使い下さい。人選は只今吟味中ですが、皇家は軍属の第2皇子健介様を出す予定です。酒は既にフォーゼライド国に送りました」




「ありがたいが。しかし、軍人や人員は出していただかないと困る」





 後は世界会議に皇家からでは無く、最高司祭様が代わりに出席される為に既に船で向かわれる準備をして居るとか。




「そんなに今回はまずいのか…」




「神聖帝国では既に『スタンピード』だと発令しています。エルフ族から生まれて来るゴブリンです。用心した方がいい。」




「同意見ですわ。ゴブリンに続いて『グール』が混じって来ると厄介ですもの」




 今は夏でそんなに心配は無いが、涼しくなって来るとグールが湧いてくる。人と一緒でゴブリンの死体もグールになりやすい。



 グールの食事で齧られた人も、食べ残しからグールになる事がある。

 酷い個体だと、ワザとひと口齧ってから次の食事を探しに彷徨うんだとか。




「新鮮なヤツですと、喋ったりするのもいますものね」




「「え゛?」」




 しかも、増殖スピードがゴブリンの比じゃ無い。齧られて数時間でグールになってしまう。




「私の兄がグールになったんですけど、『オハヨウゴザイマス』と喋りかけられましたの。私、どちらかと言いうとグールの方が詳しいんですのよ。ああ!そんな顔なさらないで!ちゃんと見分け方はございますわ、安心して下さいね」




 花子殿以外全員ドン引きである。死者に挨拶されるとか勘弁して欲しい。


 ベスティア国の代表者はまだ来ないので、船で送る予定の援軍第2陣の編成を副長に任せ、その他は花子殿が用意したゴブリンと、これまたエデンでは珍しいグールの資料を読み込み質問も混えながら話を聞いて行く。


 今後の対策や、予想される出来事を幾つか仮定を交えながら聞いて行く。



 順次仮眠を取って朝を迎えた。






 ぴーんぽーんぱんぽーーん♪



 おはようございます。


 只今マイクのテスト中です。



 各城壁の軍関係者は聞き取り範囲の調査に、人員を配置して下さい。



 1時間後にもう一度放送致します。



 既に配置済みの所は順次狼煙を上げて下さい。



 繰り返しますーーー。






 事前に各城壁に放送を流すと言ってあったので、全ての城壁から『ちゃんと聞こえました』と狼煙が上がった。



 


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